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(2011.冬) |
本田先生は済生会栗橋病院の副院長で外科医として働きながら、医師不足など日本の医療政策の問題点を訴える講演活動をねばり強く続けていらっしゃる方です。
私は青年劇場に入る1年前、東京女子医大腎センター医局でアルバイトをしていて、その時に本田先生とお会いしていたのです。アルバイトなど相手にして下さらない先生がほとんどの中で、本田先生は私の目をしっかり見て受け答えをして下さる先生でした。素朴なあたたかさを持った先生として私の記憶に静かに深く残っていました。
それが、偶然にも今から5年ほど前に新聞で先生の活動を知りました。
先生が埼玉の病院に赴任してから、外科医が人手不足のため、手術から抗ガン剤の投与、緩和ケア、救急患者の診察、緊急手術時の麻酔、手術前の説明、書類作成、研修医の教育、一人で何役もこなさなければならなくなりました。医療が高度化しインフォームドコンセントも求められるのに、現場の体制が追いつかないストレスと危機を感じていたとき、医療制度研究会と出会い日本の医療制度の抱える根本原因を次第に考えるようになったそうです。
日本の勤務医はみんな過労死寸前。勤務時間は、週70時間以上が48%、なかでも80時間以上が29%にものぼる現実。このままでは疲れきった勤務医の退職に歯止めがかからなくなり、医者不足のため手遅れで患者が盲腸で死んでしまう事態になるかもしれない。日本から病院がなくなる・・医療崩壊は目の前にある。
「これまで医師がほとんど何も建設的な動きをしてこなかったことが、今の医療崩壊を招いた一つの原因だと思う。その反省を込めて、私は忙しくても日々、情報を発信しつづけている。」
外科医として多くの方の死に接してきた先生は、たった一度の人生、悔いが残る生き方はしたくないと日々現場で働き講演活動も情熱的にしています。
その先生から「青ひげ先生の聴診器」観劇のメールが届きました。青年劇場の公演を通して先生と再会出来る日を私は今からたのしみにしているのです。
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本田宏 編著書
・「医療崩壊」のウソとホント PHP研究所
・誰が日本の医療を殺すのかー「医療崩壊」の知られざる真実
・医療崩壊はこうすれば防げる!上記2冊とも洋泉社

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