桜の木の下に座り、手をつなぐのりたまくんと準くん
絵物語特別編2:桜の木の下で 〜5周年記念
 絵:Meteor  文:Meteor
 特別ゲスト:同じく5年を迎えた「しとら」の看板息子のりたまくん (C)あしべるさん


 「準くーん。春が来たよ」
 外で仲良しの森下敬之(もりした のりゆき)くんことのりたまくんが呼んでいます。
 「え、何が来たって?」
 準くんは、表に出ました。
 「春が来たんだよ。いっしょに花見に行こう」
 「うん」
 のりたまくんは、準くんの手を引っ張ると、公園にやってきました。
 桜は、今が満開です。
 「この木がいちばんおっきいんだよ」
 のりたまくんに促されて、ふたりは一本の桜の木の根本に、ぺたんと座りました。
 「あー。萩の月と奥久慈のお茶持ってくればよかったねえ」
 「?。そ、そうだね」
 準くんは、よくわからないままうなずきました。
 「きれいだねえ」
 準くんが言いました。
 「うん。きれいだねえ」
 のりたまくんも言いました。なんとものどかな気分です。

 風が吹くと、こぼれるように花びらが舞いました。
 「きれいだけど…もう散っちゃうんだね」
 準くんが、寂しそうに言いました。
 「そうだね…」
 のりたまくんは、準くんの手をぎゅっと握りました。
 「でも、来年また会えるよ」
 「うん」
 「この木は、ぼくや準くんが生まれる前からずっと、春になったらきれいな花を咲かせてきたんだね」
 「そうだね。そして、これからもずっとだね」
 「うん。桜の季節じゃなくても、この木はいつもずっとここにいてくれるんだよね」
 見上げれば、覆い被さるような花、そして、枝。ふたりは、なんとも言えない安心感を覚えました。
 「ぼくたちも、ずっと仲良しでいようね」
 準くんが、のりたまくんの手を握り返しました。
 「もちろんだよ」
 のりたまくんはにこっと笑いました。

 限りがあるからこそ、たいせつないのち。お互いの手のぬくもりを感じながら、桜の木が教えてくれた、たいせつなことをかみしめるふたりなのでした。




 おかげさまで、遊来星図書室は3月21日、5周年を迎えることができました。

 恒例の記念絵、今年も桜の季節に合わせて、満開の花を描きました。
 特別ゲストとして、あしべるさんちののりたまくんを描かせてもらいました。よその子で、うちのトップに登場したのは、Sundewさんちの蛍くんに次いで二人目です。ちゃんとのりたまくんに見えるのでしょうか?。のりたまくんの特徴は、頭の上にぴょんと立った髪の毛(通称:のりたまくんの触角?!)、大きな瞳、そして、見えそうなぶかぶかの服(…今回、パンツ見えちゃってますけど、あしべるさんも描いたことあるし、うちならおっけーかなと(^^;)ですが、もっと重要なポイントがあるのです。Sundewさんも同感だって言ってましたが、顔の輪郭に個性を感じるのですよ。”斜め顔”って呼んでいますが、この絵の角度で、蛍くんや準は反対側の耳が見えるのですが、のりたまくんは見えないのです。で、そちら側の輪郭が、何とも言えない微妙なカーブを描いていて、難しいのです。蛍くんや準、そして、ほかのオリキャラくんたちと比べてみてください。チャームポイントだけに、力を入れて描きましたが、いかがでしょうか?。あしべるさんには、同人誌とかでよく準を描いていただくのですが、主催者としての立場上、のりたまくんだけ描くわけにはいかないので申し訳なく思っていましたので、こうして大事な場面で描くことができてよかったと思います。あらためて、この子のかわいさを味わうことができました。みんな自分のオリキャラくんを愛していますが、あしべるさんののりたまくんに対する想いは特別なように感じます。あしべるさんのなかののりたまくんのイメージを壊さないように、また描いてみたいなあと思いました。

 でも、のりたまくんにご登場願ったのは、もっと重要な意味があるのでした。
 うちの記念日から数えて6日前、あしべるさんの「しとら」も5周年を迎えました。
 こんなに誕生日が近い同期生として、お互いよくやってきたねという、強い連帯の思いがあります。実際、5年もサイトを続けていくのは、本当に大変なことなのです。あしべるさんも、今の形に落ち着くまで、いろいろ試行錯誤をされていますし(改名前のHPは思い出したくないらしい(^^;)、私も、何ヶ月も更新できない事態に陥ったりして、お互いいろいろあって今日を迎えたわけです。実際のおつきあいは、のりたまくんが今の姿になってからですが、5年の歳月を共に歩んできた喜びを感じているところです。

 ローアングルって難しいです。足をでっかく描いたらアオリに見えるかなと思いましたが、どうも今ひとつですね。でも、今回どうしてもこの角度で描きたかったもので。桜ちらちら・おぱんつちらちら…って、そうじゃなくて(^^;。
 私の生まれたまちに、木に象徴される大手メーカーの工場があります。あしべるさんのまちは、その会社の発祥の地です。そういうつながりがあって、木を感じさせるアングルで桜を描こうと思ったのです。花の季節が終わっても、木はいつもそこにいてくれます。我々のサイトは、まだ5年ですが、いつもそこにあることで、見てくださる方に安心感を与えることができたら…これからも、木のようにどっしりと、それぞれの花を咲かせていきたいなと思っています。


 そういうわけで、5年を迎えることができました。ここまで来れたのは、支えてくださるすべての方々のおかげなのは、今更申すまでもありません。迷いもありましたが、これからもずっとここにいます。どうかこれからも、遊来星図書室と準くんを、よろしくお願いします。

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