ショタケット8報告 −その1−
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 午前中、地元の駅からひかりレールスター364号で出発。直前までTIS(駅旅行センター。東日本の”びゅう”と同じ)で粘ったが、やはり指定席は取れず。乗ってみるとさすがに混んでいたが、広島から座れて一安心。12:09新神戸着。後続のひかり156号に乗り換えのため下車。JR西日本では、新大阪ではなく同じホームで乗り換え可能な新神戸乗り換えを推奨している。ちょうど昼食の時間なので、名物「肉めし」を買う。同駅の特徴であるホームの柵(通過線がないため、乗客の安全を考えて柵と扉が着いている)を鑑賞してると、12:18、156Aが入線する。こちらは指定席が取れているので、余裕で乗り込む。早速肉めしを食す。美味。夕べ3時間しか寝ていないので、少しでも睡眠をとっておこうと思うが、なかなか寝れず。この列車、指定席が余ってるのでもわかるとおり、停車駅が多いので、駅に停まるたびに目がさえて眠れないのである。いつも東海道新幹線に乗ってると見られる現象だが、富士山が近づくと一人残らず山側に視線を集中させるのである。さすが日本の富士山と思う瞬間である。15:33東京着。小走りで山手・京浜東北線ホームへ。ちょうど入ってきた山手線で上野駅へ。常磐線特急ホームからスーパーひたち39号でSundewさんの最寄り駅を目指す。
 この時間に合わせたのは、彼が今日仕事のため。駅について「ついたよ」とスカイメールを送って、表計算(駅ビル)をうろうろして、駅裏のロータリーへ。ほどなく「今向かってまーす」とのメールが。待ち合わせはこれだけで充分。愛車パジェロミニが見えたので、足早に乗り込む。1年ぶりだが、いつも電話で話してるし、感動の再開…と言うほどでもなかった。いい意味で、一定のところまでいったかなと思う。放送局の角を曲がってSundew邸へ。犬の散歩帰りのお母様にご挨拶。愛犬チャッピーは、私のにおいを憶えていてくれたのか、差しだした手をぺろぺろ舐めはじめた。
 少し落ち着いたあと、趣味(?)と実益をかねてスーパー銭湯へ。食事の前に銭湯にしたのはもちろん…(*^^*)。ここは、去年のミニオフで、ELE坊、あしべるさんと来たところ。適当に入って鑑賞して(何を(^^;)、風呂上がりにお約束の牛乳を飲む。車中で「準にも引き締まったキュートなおしりを目指してもらいたい(つまり、そういう絵が描けるようになりたい)」とか妄言を言いつつ、Sundew邸に戻る。
 車をおいて近所の焼肉屋さんへ。混んでいるのでトンカツで妥協しようとも思ったが、出直すことに。Sundew室に戻り、愛機G4CUBEで作業開始。あらかじめ私が描いた準を、CorelDRAW(cdr)形式からイラストレーター(ai)形式に変換したのをメールで送り、Sundewさんが描いた蛍くんとイラストレーター上で感動のご対面といういつもの方式。1100キロ離れた場所で合作できるのは、ここに秘密があるのである。ふたりの位置調整をしたあと、もう一人(?)の名脇役、花の妖精オオイヌくんを描く。このキャラ、描きやすさを追求しているため、短時間でできるのが修羅場に優しい。ただ、表情がないので、いかに感情を表現するか視線や手の調整に苦労する。でも、それをふたりで「もっと右」とか「わー、やな犬だなー」とか言いながらやるのは、これまでになかったことなので楽しい。途中、同人活動の大先輩、「陽だまり荘」のすずねさんから陣中見舞いのメールを携帯にいただく。あちらも忙しそう。今、5日のイベントの準備をしている同志がいっぱいいるんだろうなあと想像するとワクワクする。
 一段落が着いて件の焼肉店へ。ファミリーセット、ご飯、キムチ、ビールにて遅めの夕食。やはり炭火焼肉はうまい。ミニ冷麺、レモンシャーベットで仕上げ。

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 Sundew室に戻り、帰りに勢いで買ったドクターペッパー500mmと、初めて見たご当地「なっとうスナック」という最強にして前人未踏(?)の取り合わせを食しながら続きをやる。我々の作品は、台詞をつけて背景を描けば完成。ここで、ありがたいゲストの方々の作品を取り出し、台割という作業に入る。つまり、何ページにどの作品を配置するか決める、同人誌制作でもっとも要となる行程である。我々の作品をトップにし、やはり紅白でもサブちゃんはトリだろうということで、一番貢献度の高いねこぱんちさんの作品を最後にして、間にまぁるさん、あしべるさん、nobiさん、拓ちゃんの作品を入れることにする。ページを振ってみると、表紙・見返し・トビラ・目次・あとがき・奥付などを入れてちょうど44ページ!。4の倍数でなければ成り立たないので、行き当たりばったりにしては上出来と、ふたりで喜び合う(かなりいいかげん(^^;)。次は、ページ割りである。当サークルの本は、袋綴じではなく先が90度回転するステープラーを使った中綴じ方式(別名「週刊誌綴じ」とも言う)なので、どの紙にどのページを持ってくるか考えて割り付けないと大変なことになる。つまり、3ページの反対側は42ページで、その裏は4ページと41ページという感じで、44ページならあとでカラー刷りする表紙・見返しを除く10枚を同じように組んでいってA4の紙の両面に刷り、折って真ん中を綴じればA5サイズの本ができあがるという寸法なのである。眠い目をこすりながら、間違えないように「次、12−33.34−11」とか声を出しながらやる。このあたりは全くアナログである。
 未明に割付が終わり、試し刷り。Sundewさんが首を傾げる。一部にモアレ(トーンの線がお互いに干渉して意図せぬ縞模様が発生すること)が見られるので、解像度の調整にはいる。ここは技術担当のSundewさんに任せて、私は仮眠する(おい)。
 2時間くらいか寝て目を覚ますと、Sundewさん満足のいく仕上がりになったとご満悦。文章担当の私は紙と鉛筆で「あとがき」の執筆にはいる。Sundewさん、かわりに寝る。ここでパソコンに入力したいところだが、Windowsなら迷わず「ワードパッド」を起動するのがMACはよくわからず。起こすのもかわいそうなので、Sundew機を探って「なんとかエディタ」というのを見つけて文書を入力する。IMEは私が使ってるのと同じ"ATOK14"なので、使い勝手はまことによろしい(私は昔からATOK派である)。
 書き終わったら、Sundewさん目を覚ます。ここで本のタイトルを決定(まだ決めてなかったんかい!)。私が温めておいた「『ぼくたち☆ドキドキ』はどう?」と聞くと、「うん、それで行こう」とたちまち決定。携帯はJフォン同士だが、ツーカーの仲である。

 少しまったりしていると、nobiさんからもうすぐ着くというメールがある。10時頃、nobiさん颯爽と登場。差し入れに近所で採れたというタケノコ(生!)を持ってくる。1年ぶりのご挨拶を交わす。Sundewさんとは、いつも会ってるという感じでちょっとうらやましく思う。こちらは表紙の作成をしながら、nobiさんと明日のイベントについて語り合う。nobiさんお絵かき中。S「その絵、本のあいたところに載せよう」、nobi「とんでもない!」。
 あしべるさんよりメールが届く。14時に来たいとのこと。こちらが昼食を一緒にしたいのでと書いて送ると、それから昼食にしたいとのこと。どうせ夕食遅くなりそうだし、合わせることにする。
 nobiさんに、自分の作品のタイトルを決めてほしいと頼む。「うーん…『スケッチから』とか」。いかにもだねえとか言いながら、それを頂戴する。
 表紙(カラー)も基本的に同じ。先ほどの方式なら、こちらがグラデーションをかけても色化けしないのである。蛍くん準くんを合わせ、魔法の絨毯(=ふとん)に載っけて、オオイヌくんを描く。背景は、『ぼくたち☆ともだち』が緑だったので、今回は水色にし、タイトルは緑にすることにする。S「どんな緑?」、M「エメラルドグリーン」、S「よくわからん」、M「あの、取手まで走ってる常磐線の色!」…聞いてたnobiさん大爆笑。
 蛍くん準くんのおしりの下の、魔法のふとんの影ともシミともとれる部分の色合いには特に気を遣う。何種類か色合いを変えたのを作成して刷ってみて、一番乾いたおねしょのせかいちずに見えそうなのを採用する。
 表紙の試し刷りが終わり、中身の試し刷りと丁合して量産試作誌が完成。手に取ってみるとなかなかの出来。「できたねえ」とか喜び合うが、実はトイレに着いただけで安心して気がゆるんだときにもらしてしまう蛍くん準くんのごとく、これから大どんでん返しが待っていたのである…。

 14時、あしべるさん愛車まり…(いや、この言い方はやめましょう)で到着。古いMACと怪しげなラジオを持って、Sundew室へ。少しゆっくりしてる間に、あしべるさんにも自分の作品のタイトルを決めてもらう(「せっかくだからこれでも…」)。
 それから、これも去年行った「びっくりドンキー」へ。去年の着ぐるみは今年はいなかった。おのおのハンバーグやカレーと、異常にでかい飲み物を注文する。
 食後、必要物資の買い出しへ。電気店で、実は今回は不要になってしまう紙とインクを買い、名刺専用紙も調達して、ホームセンターでホチキス、そして、もう一軒電気店へ向かう。この間、ELE坊からメールが入ったので、Sundew邸へ直行するよう返事を出し、我々もすぐ引き返す。

 ELE坊登場。長旅でお疲れのご様子。銘菓「萩の月」をいただく。
 それからはあわただしく表紙の印刷。ELE坊は別室にて委託品の増刷。
 表紙を折って、いざ中身…印刷を始めてSundewさん首を傾げる。 S「まずい。一枚に1分30秒かかる」、M「ふうん」、S「このままだと、22時間かかる」、M「えっ」、S「明日の朝まで刷ったら、18冊できるかなあ」、M「……」。もちろん印刷の質を落とせば速いのだが、それだとモアレが発生してしまう。とりあえず1ページ刷って、裏返して次を刷り始めると、くっついて3枚も給紙してしまう。その時点で、のんきな懲りない蛍くん準くん…じゃなかったみずもり・しょうは、初めて非常事態であることに気づいたのだ!(遅っ)。

 「どうしよう、どうしよう」(ここはオオイヌくんの魔法でプリンタを。「オオイヌフグリンブラリンリ〜ン」…って、それ、プリンタじゃなくてプリンじゃん!。ちがーう!。…とかいう余裕はなかった)。S「よし、レーザプリンタを買おう。Yまだ電機は9時までやってるし」、M「えっ」。それから、Macに強いあしべるさんと、プリンタメーカーに通じている(?)nobiさんと、パソコン全般に詳しいELE坊の英知を結集して、MacOS10対応のプリンタを調べてもらうが、適当なのが見つからず。あしべるさんが、「うちにプリンタ取りに帰ろうか」と言ってくれるが、気持ちだけありがたくいただく。M「コンビニでコピーしよう」、S「両面、やらせてくれないよ」…結局、やむなく袋綴じに変更することにし、お店の閉店時間が迫っていたので、Sundewさんとふたりで、厚い本が綴じられるでかいホチキスを買いに出発する。
 20:45閉まりかけのホームセンターに到着し、会社とかにある100枚綴じられるでかいホチキスと針を買う。三千数百円なり。帰り道、Sundewさんと話し合う。M「だめもとで、両面コピーやらせてくれないか聞いて回ろうよ」、S「そうしよう」。ここまで来て、袋綴じに変更では苦労が水の泡。もらしちゃっても、すぐに元気を取り戻す蛍くん準くんのごとく、我々もまた前向きに、わずかな可能性に賭けてみることにしたのだ。Sundewさんのカーナビを頼りに回るが、「両面コピー不可」と書いてあったり、店員に頼んでも「今オーナーがいないからわからない…」と断られたり、4店行ってもだめだった。最後、ここで断られたらあきらめよう…と入った店で、女性マネージャーみたいな店員に聞いてみると「手差しなら大丈夫ですよ」…まさに地獄に仏、ぎりぎり我慢にトイレを見つけた気分とはこのことである。とりあえず原稿を持って再来することにし、閉店が0時であることを確認して、22時前、一度帰宅する。
 「なんとかなりそう!」と仲間に朗報を知らせ、M「コピーが終わったら夕食(すでに夜中)に焼き肉を食おう」と約束する。仕切るM「お風呂はいりたい人は、行って来ていいよ。我々は原稿印刷して、コピー行って来るから。0時かなあ」、一堂「いいよ、待ってるから」。感謝の言葉もない…いつもみんなに支えられているみずもり・しょうなのである。
 原稿印刷して、再び出発。お店に着いたのが22時45分。閉店の0時までにすべてのコピーを終わらせないといけない。まさにシンデレラ。早速カウンタを借りて、コピーにかかる。ここでも、「次、12−33.34−11」と確認しながら、ふたりの見事な連携で順番に刷り上げていく。コピーとはいえ、結構時間がかかる。途中、紙を補充してもらったりして、23:45、印刷を完了する。お金を払って、靴のかたっぽではなく、恥ずかしい(なぜかズボンが濡れた絵ばかり(^^;)原稿が残ってないか確認する間もなく、あやしいふたり組は店をあとにした。
 「間に合ったねえ。もうだめかと思った」「9回2アウトまで行ってたからねえ」「正直あきらめようかと思った」「ゲストにどう謝ろうか、とか」…どちらともなく、そんな話をする。我々の頭の中には、中島みゆきの「ヘッドライト・テールライト」と、「誰にも認められない、おもらしショタに命をかけた男たちがいた」という田口トモロヲの語りが流れていた。
 これまで、いくつもの山を乗り越えてきたコンビも、今回は絶体絶命かと思った。でも、ふたりだからやってこれた。これまでも、これからも…。

 Sundew邸に帰宅すると、仲間の笑顔が迎えてくれた。
 「さあ、焼肉食べに行こう!」
 時間は、ショタケ当日を迎えようとしていた。

 −つづく− 

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