風花を見上げて

風花を見上げて   みずもり・しょう
きみとぼく ふたりっきり
ベンチでバスを待っている

「あっ、雪だ」
きみが言う
「わぁ、ほんとだ」
ぼくがこたえる
ふたりで出かけた帰り道
バスはなかなかやって来ない

「はっくしょん」
ぼくがくしゃみをする
「ほら…これ」
きみがマフラーの半分を
ぼくにそっとかけてくれる

「あったかい?」
きみがにっこりと笑う
「うん、とっても」
ぼくがほほえみを返す

つないだ手を ぎゅっと握りしめる
きみのぬくもり
ぼくのぬくもり
きみのほっぺが赤くなる
ぼくのほっぺも赤くなる
ふたりで空を見上げたら
雪がぽあぽあ
ほてった顔に落ちてきた

「バス遅いねえ」
きみが少し困った表情を見せる
「そうだねえ」
ぼくもきみと同じ顔をしてみせる
でも
こうしてふたりっきりでいられるのなら
バスなんかずっと来なくていいと
きみも思ってくれるかなあ…

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