尺八?

尺八について初歩的な質問にお答えします。

1.尺八ってどんな楽器ですか。

尺八は標準管の長さが一尺八寸(約54cm)あるところからその呼び名がきています。
長さの種類では 高音用の短いもので一尺一寸まで、低音用の長いものでは3尺を超えるもあります。

素材は通常、真竹 という種類の竹を使用します。
歌口(吹き込み口)は 竹を斜めに切り落としたシンプルの構造で リードはありません。
筒の中は空洞ですが よく鳴るようにするために一般的には内径を精密に加工調整してあります。
内径は長さ方向で変化しており、そのパターンは制作者によって微妙に異なっています。
手孔は表側に4個、裏側に1個、計5個あります。

音域はおよそ2オクターブ半です。優しくて豊潤な音色が特色です。
他の管楽器とほぼ同様にいろいろな曲の演奏ができますが、特徴としては、陰陽二種類の音を出せること、音程を無
段階に変えることも可能なことから、尺八でしか演奏できない独特の曲もあります。

2.いくらぐらいしますか。

数万円から 高いものでは数百万円まであります。
尺八で現代曲を吹くようになってからの歴史はまだ浅く、そのニーズに応えるために尺八製作技術においてもいろいろ
な改良研究がなされていますが、残念ながら尺八製作法は十分に確立されていません。
今のところ尺八制作者の技術レベルにばらつきが大変大きく、値段の高い尺八が必ずしもいいとは言えないのが実状
です。百万円も出したけどハズレだった、という話は珍しくありません。購入に当たっては信頼できる人にアドバイスして
もらうのが賢明です。

竹製以外の尺八は安いので初心者にお勧めです。
塩ビ管で作ったものは数千円で市販されています。自分で作れば数百円で簡単にできます。
ABS樹脂を型に流し込んで作った、「悠」という商品が1万円弱で市販されていますが、これが意外とよく鳴ります。
入門用にはこれをお勧めします。
木製の尺八は2万円前後であります。機械製作ながら品質に若干のばらつきがあるのが難点です。

3.首振り3年と言われていますが、そんなに難しいのですか。

尺八は格別に難しい楽器ではありません。正しい指導者のもとでは30分で簡単な旋律が吹けるようになります。
首振り3年といわれた時代は尺八の製作技術が良くなかったので音の出し難い尺八が多かった、そしてそのために大
変難しいものと思われた、のではないでしょうか。
フルートと比較すれば、尺八は手孔の数が半分以下と少ないので、運指を覚えるのは大変易しいと言えます。
ただし尺八ではいろいろな音色を出すために唇の形を微妙に変化させるので、この点においてはフルートよりも難しい
でしょう。
ただし、何の世界においても上手になるためには相応の努力と時間が必要なことには変わりありません。

4.どんな曲が吹けるのですか。

原則的にはどのような曲でも演奏できます。
敢えて言及するならば、尺八は手孔の数が少ないので やたらとテンポの速い曲は不向きです。
いくつかの曲を教材試聴のページで紹介します。

5.どのような楽譜を使いますか。

ドレミファと同じ感覚でロツレチリハのカタカナ記号を縦書きにして使用します。
五線譜の使用も可能ですが、その場合もロツレチのルビをふると便利です。
尺八では移調、転調に合わせて長さの異なる尺八を使用することもあり、運指パターンのロツレチで表記する方が合
理的なのです。また同じ音程の音でも尺八では音色の異なる運指があるため 五線譜だけでは表現できないことがあ
るからです。

6.いろいろな流派があると言われますが違いはあるのですか。

いくつかの流派があり、その中で主流をなすのは都山流と琴古流ですが、これも更にいくつかに分派しています。
家元制度の弊害です。演奏方法や尺八はどの流派でもだいたい同じですが、楽譜の表記法が流派で少し異なります。
このことが尺八の普及を妨げる要因の一つになっています。しかしそのことはあまり気にしなくてよいでしょう。
少しの努力でどの楽譜でも読めるようになります。
面倒なことは嫌いだ、一つに決めたいと言われる方には、選択指針として次のようにお勧めします。
 現代曲や新しい曲を主にしたい人は都山流で
    理由: たくさんの楽譜が公刊されている。表記方法に五線譜が応用されていてリズムが分かりやすい。
 古曲、古典本曲を主にしたい人は琴古流で
    理由: 歴史があって趣深い。

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