ハンサ

真洲市美術館の付帯施設として造営された〈麁磨庭(あらまてい)〉は、敷地面積7800m²余に及ぶ日本最大の枯山水式庭園である。

深山流水に見立てた通常の枯山水とは違って、この庭園は円錐図法による世界地図(円形)を象ったものであり、敷地の大半を占める白砂地を海洋に見立てている。陸地にあたる部分もかなりの面積になるため、岩を配するのではなく黒い石畳で表現されている。(岩は山脈や島嶼を表すのに使用)

この広大な庭園の維持管理に活躍しているのが、枯山水式庭園整備メカ・ハンサである。

主たる(というかほとんど唯一の)役目は白砂地に熊手で条紋を描くことである。一度条紋を施した場所を踏むことなく作業が続けられるよう、最小限の占地面積で自立し移動できるようになっている。

敷地の規模に加えて、麁磨庭には整備にメカの導入が不可避とされるもう一つの理由がある。

一般に枯山水式庭園は、庭内に足を踏み入れることなく屋内から観賞するものとされているが、麁磨庭の場合は全域が来園者に解放されており、庭内を自由に散策することができる。その結果として砂紋は次第に踏み消されていくため、頻繁に引き直さなければならないのだ。

そういうわけで庭内ではほぼ終日、このメカが白砂地を往来する姿が見られるのだが、日本庭園の情緒を壊すという苦情が寄せられることもなく、一種の名物として来園者に親しまれているようだ。

■バリエーション

琵琶原寺(びわはらじ)
(宗教法人)