サマンボーナム

 

アンブロン

宇宙線の一種。社会を支えるエネルギー源。

 

〈宇宙波動アンブロン教団〉本山の奥の院に鎮座する御神体メカ。通称「メカ大仏」。

寺院の本尊として礼拝の対象となるだけでなく、「メカに聖別を施す」という能動的な働きをする。

本山には世界各地からの巡礼者が各自のメカを携え集まってくる。それらのメカを祝福し善き存在たらしめるのがサマンボーナムの役割である。

教団の説明によれば、 

宇宙線アンブロンを全身に受けたサマンボーナムは、そこに含まれる微細な偏移波動エネルギーを凝集して機体内に蓄え、掌から放出する。この〈聖波動〉を浴びせられたメカは宇宙の根源的波動と同調することによってこの世界の事象原理を内在化した存在となり、以後そのメカの活動は常に善い結果をもたらようになる。さらに操縦者をあらゆる危険から遠ざけ、かつ操縦者の健康を増進する。

という。

〈聖波動〉は七色の光として目視され、それを浴びたメカはしばらくの間機体から同様の光を放つようになる。この現象が教義に説得力を与えている。

波動放出の際、一部のエネルギーが空中で固化し〈宇宙宝珠〉と呼ばれるガラス状の小塊が生成される。本山への巡礼を未だ果たせずにいる各地の信者たちは争ってこれを求め、聖波動の恩恵にあずかろうとする。また一部の非信者の間でも美術品として珍重されている。

一連の現象は科学的な種明かしが可能だが、実現には高度な技術を要する。特に宇宙宝珠のような大粒で高純度なエネルギー塊を作り出すことは至難である。教団は宗教団体としての評価はともかく、卓越した技術力を持つ組織ではあるようだ。