キャリアタイド 共通設定

■装甲

外骨格の役割も果たしている。

素材は〈珪酸アルミニウム傾斜機能材〉で、風防・窓やセンサーカバーにも同素材の透明なものが使われている。

珪酸アルミニウム傾斜機能材は、珪酸アルミニウム(比較的柔らかい物質である)の極薄シート数十枚を重ね、ワールス波を照射しつつ圧着することで生成される。表面の「セラミックファイバーの網目」から芯部の「シリコーンが充填されたコランダムウエハース」へと無段階に変化する複合構造により、軽く固く割れにくい特性を持つ。

破損した場合でも、断面から押し出されたシリコーンが接着剤となって破片を固定し、ある程度の防御力を維持できる。シリコーン自体も空気に触れると硬化し装甲の代わりとなる(といってもプラスチック程度の固さだが)。

 

※ワールス波

特殊な波形を持つ電磁波。分子内の電子配置に一時的な偏りを起こさせ、分子間の引力・斥力の方向を変えることで物質の構造を変化させる。

装甲材の製造のほかにも、トンネル掘削など様々な用途に利用される。

 

※無垢材

一般的な装甲パーツが板状の装甲材を切削・曲げ加工して造られるのに対し、あらかじめパーツの形にシートを張り合わせてから圧着し、無加工の素材からなるパーツを得るという製法もある。これを〈無垢材〉と呼ぶ。

無垢材のパーツはより強固で見た目も美しいが、製造には高度な職人技とコストを要するため、使用されるのは特注の高級メカに限られる。

 

■筋肉トーラス(単に「トーラス」とも)

メカの可動部に使われる、中空の筒型に成形された人工筋肉。中空部分にエネルギーパイプや電気コードなどの伝達系部品を通すようになっている。

エネルギー流の作用によって片側を収縮、反対側を伸張させることで全体が曲がる仕組みである、

筋肉トーラスだけで可動部を構成する場合(上図左)と、装甲に設けられた関節に筋肉トーラスをはめ込む場合(上図中)とがある。

前者はどの方向にも自在に曲げることができ、フレキシブルで長いアームとして使われることが多い。保持力・俊敏さ・精確さは後者に大きく劣る。

螺旋模様は表面カバーの継ぎ目であり、筋肉繊維が螺旋状に巻かれているわけではない。

※トーラスというとドーナツ型が思い浮かぶので形状にふさわしいネーミングとは言えないのですが、「筋肉パイプ」「筋肉チューブ」などの言い方では筋肉装置全体が中空の形であることが伝わりにくいと思いトーラスとしました。

 

■プリンサス(エネルギー波受信・変換装置)

地下に敷設されたベインシステムからエネルギー波を受け取り、メカの動力に変換する装置。

この装置を内蔵しているため多くのキャリアタイドは足部がお椀型になっている。

※独自の動力機関を持つプランバムプリンサスを必要としないのだが、普通のメカに見せかけるために取り付けてある。

 

■アバカス(浮揚装置)

ポテンチウム(擬似位置エネルギー物質)粒子を連続的に放出することによってメカを空中に浮揚させる装置。この装置を内蔵しているため多くのキャリアタイドは胸部が円盤型になっている。

 

※仮想地面

ncm分の位置エネルギーに相当するポテンチウムを放出し続けると、そのメカは地上ncmの高さに安定して留まるようになり、あたかもその位置に見えない地面があるかのように感じられる。これが仮想地面である。

  • 仮想地面はある程度弾力があり、磁力で浮いているような感触である。
  • 仮想地面は本物の地面と同じように、その上で踏ん張ったり跳び上がったり歩いたりできる。
  • 仮想地面はそのncm下に本物の地面があって初めて成り立つ。浮かんでいるからといって崖から飛び出せば地面からncmの高さまで落下するし、水上に出れば水底からncmの深さまで沈んでしまう(水に浮くメカは別として)。
  • ポテンチウムを放出する方向を傾けると仮想地面も傾く。こうして形成された“仮想斜面”を滑り下りる(かのように振舞う)ことで水平移動することができる。
  • ポテンチウムの放出量を増やせばそれだけ仮想地面の位置を高くできるが、その分安定性が失われる。そのためこの原理で上空を飛行するこは困難で、飛行メカは別の原理で浮揚している。

 

■コーニス(飛行リング)

飛行メカの本体を囲むように設置されたリング状の装置。レビチウム粒子の回転運動によって揚力を生み出す。

レビチウム導体で形成されたリング(光ファイバーのコイルといった感じ)に粒子を走らせる「固定型」と、中空のリングにレビチウム物質を詰め込んだ上でリング自体を回転させる「回転型」の2タイプがある。

固定型は回転速度に機械的な制約がないため高性能だが、値段も高価である。

なお、固定型は必ずしも完全な円形である必要はない。