玩具の惑星 ストーリー

キャラ

(ダイジェスト)

スフィーン
天才的科学者。
ラジュライ
人気スクライバー作者。
マール
主人公。インドア派の少年。
サニディン
プランバムを追うコニッサー。堅物。

あらすじ(第1〜3話)

惑星リトスではあらゆる機械類が、地下に張りめぐらされたエネルギー供給装置〈ベインシステム〉によって稼動している。

スフィーンが開発したキャリアタイドプランバムは、独力でアンブロンをエネルギー化できベインシステムを必要としない画期的なものだった。エネルギー供給を独占するリトス政府はこの発明に脅威を感じ、スフィーンの抹殺を指示。それを知ったスフィーンは家族をペトラルに移住させ、次いで研究内容を破棄しようとする。だが長年の苦労の結晶を葬り去るに忍びず、プランバムの設計データ塊に自律性を付与し仮想空間に放つ。そして全ての記録と自分の記憶を消去する。武装したコニッサーが踏み込んできたのはその直後だった。そして7年後…

 

学校では、男子は「キャリアタイドのデータバトル」(『ポケモン』『ムシキン』みたいな)、女子は「ラジュライスクライバー」に夢中だ。マールもまた「データキャリ」の収集に熱を上げていたが、母親が勝手に彼のタブラを操作してデータコレクションを散逸させてしまう。タブラ内の仮想空間に入ってコレクションを復元しようとするうち、彼は見慣れないキャリアタイドのデータ、それもゲーム用ではなく本物の設計データを発見する。そのデータは意志を持ち、彼に話しかけてきた──「私を造ってほしい」。

休業中の工場に忍び込み毎日少しずつプランバムを組み立てていくマール。データでなく実物のキャリアタイドを手に入れつつあることを友達に自慢したいが、プランバムの存在が政府に知れれば破壊されてしまうので口にできない。

工場のエネルギー消費量に疑問を持ったサニディンが調査に来るが何とかやり過ごす。その後プランバムが自力でエネルギーをまかなうようになったため消費量はもとに戻る。

1カ月後プランバムはデータ通りに完成するが、プランバム自身は「私はまだ完全ではない。完全になる方法を知るには、首都へ行きスフィーンに会わなければならない」と言う(スフィーンが現在も首都で生きていることは、彼が無意識に発信している特殊な信号からわかるのだという)。マールは家を出て1人で長い旅をするという決心がなかなかつかない。

そんなある日、悪徳不動産業者のキャリアタイドが友人の家を取り壊そうとしているのを見たマールプランバムを起動させてそれを倒す。現場に駆けつけたサニディンは、子供が強力な、しかも見たこともない機種のキャリアタイドを操縦していることに不審を抱き尋問しようとする。マールはそれを振り切って逃げ、そのまま首都を目指して旅立つ。サニディンプランバムのエネルギー反応を調べて追跡しようとするが、検出することができない。

翌日。プランバムを発見し捕獲もしくは破壊せよとの指令がサニディンにくだる。各地で他のコニッサーを使役する権限を与えるが、任務の内容を詳しく教えてはならないという。サニディンプランバムの正体について説明を求めるが、拒否される。

用語

(ダイジェスト)

リトス
舞台となる惑星。
アンブロン
宇宙線の一種。リトス社会を支えるエネルギー源。
ベインシステム
地下に埋設されたアンブロンエネルギー供給装置。
キャリアタイド
全高5m程の人型メカ。
ペトラル
ベインシステムのない、政府の支配を受けない地域。
コニッサー
警察官のようなもの。
スクライバー
五感を同時に刺激するヘッドギア型表現装置、及びそのソフト。
タブラ
携帯型電子機器。パソコン、ゲーム機等の機能がある。

 

 

メカ

(ダイジェスト)

プランバム
主人公メカ。
 

各話ストーリー(全52話)

■第1部 葡萄畑にて、春

第1話「迫真的な遊び」

巨大な作物が茂る畑で、愛機プランバムを巧みに操り農作業をする少年マール。彼は様々な仕事をして路銀を稼ぎながら一人旅を続けているのだった。

突如作物が凶暴化し、農民たちに牙をむく。マールは慌てる大人たちを尻目にプランバムで作物を制圧。

村人の謝意を押しとどめつつ村を後にするマールプランバム。その後をつけ狙う謎の影。マールは何のために旅をし、なぜ追われているのか。

事の始まりは数か月前──

偶然手に入れた謎の設計データを元に、マールは休業中の工場で秘かにプランバムを組み立て始める。それに乗って活躍する自分の姿を夢想する。

製作途中のプランバムを夜中に工場の外で試運転し、あやうくコニッサーに見つかりそうになったりする。

■第2話「X空間と自我」

試運転中にストリートギャングのキャリアタイド数台に出くわすがあっさり撃退。マールプランバムの性能に驚く。その後、日中にもプランバムを外に持ち出すようになり、秘かに人助けをしたりする。

街や学校で謎のキャリアタイドの噂が広がる。内心得意なマールだが、プランバムに7年前のいきさつ(あらすじ参照)を聞かされ秘密の重大さにおののく。

■第3話「成長計画」

プランバムは首都へ行って自分の設計者であるスフィーンに会いたいと言うが、マールは旅立つ決心がつかない。

そんなある日、友人を助けるためにプランバムで立ち回りを演じたマールは、騒ぎに駆けつけたコニッサーの追及を逃れ、そのまま首都を目指す。コニッサーの1人サニディンプランバムの追跡を命じられる。

■第4話「菜園の苦悩」

旅を続けるマール。路銀を稼ぐためプランバムを使って様々な日銭仕事にいそしみ、作物(巨大)や家畜(巨大)や害虫(巨大)を相手に悪戦苦闘する。始めは不慣れでうまくいかないもののプランバムの高性能に助けられ何とかこなしていく。

サニディンは部下2名を従えプランバムの足取りを追うも、秘密主義的な振る舞いが地元コニッサーの反発を買い難渋する。

■第5話「オーケイ、立派だぜ!」

建築業者に雇われ家屋の解体に従事するマール。その家の住人が抗議に現れ、作業を妨害(キャリアタイドで)する。マールは彼らを排除するよう命じられるが…。

■第6話「いったい何が今日の家庭をこれほど変え、魅力あるものにしているのか」

内気だったマールも仕事や宿を求めて交渉するうち少しずつ世間に慣れてくる。だが普段は優しげな人々も、サニディンが現れて協力を求めると態度を一変させ、マールを捕らえようと迫ってくる。

人々の生活はベインシステムに全面的に依存しており、政府の怒りに触れてエネルギー供給を絶たれることを何よりも恐れているのだ──とマールは思い知らされる。

■第7話「夜警」

違反行為があったとしてコニッサーにエネルギー供給の停止を宣告され、大荷物を抱えて立ち往生する行商人。周囲の人々が冷たい視線を向けるなか、マール1人が彼を手助けする。

その夜、ある家に泊めてもらうことになったマール。突然テレビが点き、近所の住人に反社会的な言動があったため制裁として付近一帯のエネルギーを一時的にストップする、と告げる。その家の主人の胸にはベインシステムで動く人工心臓が埋め込まれており…。

■第8話「眼のある風景」

どこの街へ行ってもいたるところでコニッサーがパトロールしている。その存在に圧迫感を覚えるようになったマールは、監視されているのではないか、住民に密告されるのではないかという妄想にかられ、仕事に集中できずヘマをしてしまう。

仕事上のヘマならまだ良かったが…。

 
オブラッサ
百頭会議の議員の意識が融合して現れる疑似人格。
ディスセン
百頭会議議員。野心家。
モリオン兄弟
荒くれ鉱山師の1集団。

■第9話「空気の威信」

百頭会議プランバムの動勢が報告され今後の対応が論議される。絶対決議者オブラッサプランバムの存在が公になるのを嫌い、現状通り秘密裏に捜索すべしと結論する。ディスセンはこの決定に納得がいかず独自に情報収集を始める。

マールは山奥の村で林業に従事。人家もまばらなこの土地ではコニッサーの姿もめったに見かけない。と思いきや、サニディンが号令を発するとが無数に現れマールを取り囲む。

■第10話「標的」

無法なガリンペイロが集まる鉱山町。彼らに混じって働くマールに意味ありげな視線が向けられる。すでに素性が知られていて、マールプランバムを捕まえようと狙っているのか?

■第11話「地獄の門」

ガリンペイロ仲間との争奪戦を制しプランバムを手中にしたモリオン兄弟は、コニッサーに差し出すよりも自分たちが動力機関の秘密を手に入れ大儲けしようと企む。だが7兄弟のうち3人がサニディンと内通しプランバムの横取りを狙う。

兄弟は2派に分かれ坑道内での戦闘に突入。あわや崩落の危機に。

■第12話「草上の昼食」

人里を離れ森林地帯でサバイバル生活を試みるも野生動物(巨大)や植物(巨大)に襲われ窮地に。鷹匠に助けられしばらく彼のもとで過ごす。

■第13話「鎖につながれた犬のダイナミズム」

旅を続けるには街なかで仕事をするしかないと心を決め、道中知り合った旅芸人一座を手伝いながら都会へと向かう。コニッサーの圧迫を巧みに受け流しつつ反骨を貫く旅芸人の生き方にマールは感銘を受ける。が……。

彼らと別れた後、ヒッチハイクしていたラピリと出会い、一緒に旅をすることになる。

コニッサーを補佐するアンドロイド。
百頭会議
政府の最高決議機関。議員の意識を融合し超人的な知性を生み出す。
ラピリ
ヒロインその1。気分屋。
べリル一家
賞金稼ぎの集団。

第2部 落ち穂拾い、夏

■第14話「閉じた瞳」

ラピリラジュライの大ファンで、自作スクライバーを聴いてもらうために彼の住む都市を目指しているのだという。マールはそのスクライバーを聴いてみるが、ストーリー性のない抽象的な内容でさっぱり理解できない。

ラピリがメカに興味が薄そうなのもかまわずプランバムの自慢を始めるマールだが、コニッサーに追われる理由を明かしていいものかと迷い口ごもってしまう。

■第15話「攻撃の素材・精神・象徴」

サニディンは何度かプランバムを発見し攻撃を仕掛けるが、謎の武器パルスガンによって敗退する。ある時パルスガンを奪ってプランバムに向けるが、自分のキャリアタイドが爆発してしまう。プランバムが特殊な動力機関を持つことを確信したサニディンは、この任務が現体制の根幹に関わるものであり、任務終了後自分も抹殺されるのではないかという危惧を抱く。

■第16話「参戦宣言」

ディスセンは他の議員を出し抜いてプランバムの秘密を手に入れようと、べリル一家にその捕獲を依頼する。

プランバムの秘密を知らされたラピリは自分も政府と戦うと言い出す。

マール(とプランバム)はメカ整備工場で働くかたわら、廃品を利用してラピリのためにキャリアタイドを造る。

べリル一家の急襲に対しラピリの活躍は…?

■第17話「復讐の形態学」

彫刻家の助手となる。完成した巨大彫刻を依頼主である富豪の屋敷へ納入、お披露目パーティーが開かれマールラピリの2人も列席する。彫刻家は過去の因縁から秘かに富豪を憎んでおり、彫刻にある仕掛けを施していた。

■第18話「不意打ち! 熱帯の嵐」

湖岸の漁村。水中では思うように動けないプランバムは魚(巨大)や真珠貝(巨大)を相手に悪戦苦闘する。

コニッサーの水中メカとの戦闘でも極めて不利に。

■第19話「深淵の上で」

サルベージ船に乗り込み、湖底に眠る財宝(?)の引き揚げ作業。船員たちはプランバムを追ってきたべリル一家を財宝を横取りしに来たものと勘違いし、戦闘状態に。

■第20話「幻存の声」

百頭会議プランバムの問題が議論される。事前に独自情報を集めていたディスセンはそれを武器に会議の主導権を握ろうとするが、「ベインシステム以外のエネルギー源」を強くイメージした結果集合意識から弾き出されてしまう。疑似人格を超えた「オブラッサ自身の意志」をディスセンは感じ取る。

マールたちは断崖でツバメ(巨大)の巣を採る危険な仕事を。

■第21話「解放された大地と人間によって支配された自然力」

新たにベインシステムが設置された土地に街ができ人が住み始めるが、地震・害獣などの異変が相次ぐ。原因を突きとめようとする素人学者と成り行きで彼に協力することになったサニディンは、なぜか地元コニッサーの妨害にあう。

一方、害獣駆除を請け負った2人は…。

■第22話「全体」

建設業者によって派遣された先はベインシステムの敷設工事現場だった。マールは自分たちの苦難の根源ともいえるベインシステムの拡張に手を貸すことをためらい、他の労働者に不審がられる。そこに反政府組織の爆破予告が届き、厳戒態勢が取られる。

■第23話「老いたる王」

火山の麓にあるペトラルの集落。はじめ素性を怪しまれていた2人は、政府軍の襲撃を退け一転して歓待される。ペトラルを一種の理想郷のように思っていた2人だったが、自由を説きながら住民の行動を制限する指導者に幻滅する。

■第24話「日々の機械人間」

砂漠を横断する2人の前に忽然と街が現れる。そこではが人間のように暮らしている。2人は強引に引き止められ街から出られなくなる。

■第25話「緑色の惨事10回」

ある町にマールが潜んでいるとにらんだサニディンは、地元コニッサーを指揮して大々的に捜索を開始する。不審者への注意を促し密告を奨励して相互監視体制を敷くがその結果、以前からくすぶっていた住民対立に火がつき流血の事態に。自分が引き起こした悲劇を意に介することなくサニディンは次の町へ向かう。

■第26話「頭から抽象された空虚と充実」

仕事にありつけず持ち金が乏しくなる。ラピリは、今までの体験をストーリーに仕立ててスクライバーを制作しそれを売ろうと提案。協力して制作に取り組むうちに2人は以前よりお互いを理解するようになる。完成したスクライバー(内容はファンタジー系アドベンチャーみたいなの)を『玩具の惑星』と名づける。

パルスガン
メカの内部のエネルギーを暴発させる武器。
 

第3部 林檎の収穫、秋

■第27話「勝利者の椅子」

プランバムを追うべリル一家サニディン一行が鉢合わせし三つ巴の争いに。結局事を荒立てたくないディスセンの指示でべリル一家は手を引く。

■第28話「黄金階段」

ラジュライが『玩具の惑星』を絶賛し、作者との共同制作を望んでいるという。ラピリマールと別れ、マネージャーに連れられてラジュライのもとへ行く。彼は言う。「君が作ったスクライバーは、人々にベインシステムに依存しない社会を想像させる危険なものだ。政府は私に、そのような影響を打ち消す作用のある作品を依頼してきた。そのためには君の話を聞いて参考にするのが一番だと思ったのだ。協力してくれるなら今後君の作品を私のプロデュースで…」

■第29話「肉塊とともに現れる人物」

再び1人になったマールはしばらく遊牧民の一団と同行するが、そこにもコニッサーの追及の手が。その時はピンチを逃れたものの、以来彼は危険に満ちた旅をこれ以上続ける意味があるのかと迷い始める。さらに、プランバムの存在が公になれば社会の秩序が崩壊するなどとサニディンに講釈され、自分の行動に自信が持てなくなる。

悩んだ末にマールプランバムを放棄し故郷へ帰ろうとするが途中で行き倒れてしまう。夢の中にオブラッサが現れ、プランバムの秘密を聞き出そうとする。

マールを救助しプランバムのもとに送り届けたのはべリル一家だった。

■第30話「破壊都市のための記念碑」

悪質手配師にだまされ送り込まれた仕事は、疫病で閉鎖された無人区域に潜入し物資を略奪してくるという不法かつ危険なものだった。労働者は首輪爆弾みたいなのをはめられ業者に逆えない。その現場でマールは見捨てられた生存者を発見し、彼らを救助すると同時に自分も業者から逃れる方策を考える。

■第31話「人体の凝固」

物質変換の実験を行う研究所に謎の無人キャリアタイドジプサムが突然現れて暴れ出す。その後ジプサムは街に出現し、建物を壊したり何かを探すような不可解な行動をとったりしたあげくプランバムに倒される。ジプサムオブラッサによって生み出されたものであることは誰も知らない。

■第32話「星月夜」

面基地で反乱が起き、政府はエネルギー送信施設にへの送信を停止するよう命じる。

巨大アンテナの建設現場で作業していたプランバムからのSOSを受信。マールは、アンテナとプランバムの能力を使って基地の人員を助けられないかと考える。

 
ガレナ
ヒロインその2。強情。

■第33話「ホロスコープの娘」

エアバイクのレース場で大人に混じって予想屋をする女の子が1人。それはスフィーンの娘ガレナだった。父は死んだと聞かされて育った彼女だったが、ある日『玩具の惑星』を聴き、その内容が現実の出来事を反映したものだと確信する。そして父が今も生きているとの希望を胸に単身首都へ向かっていたのだった。プランバムに見つけ出された彼女は、マールが『玩具の惑星』の作者であると知り感激する。

■第34話「街路の神秘と憂愁」

ガレナプランバムを奪って行方をくらます。マールは現場で借りたキャリアタイドで仕事をするが以前のようにうまくこなせず、途方に暮れる。結局ガレナプランバムに説得されてマールのもとに戻ってくる。

■第35話「緩慢な日」

ポテンチウムの貯蔵タンクが破損し大量のポテンチウム粒子が漏れ出す。その影響で付近一帯が高重力状態に見舞われ、多くの住民が、そして居合わせたマールたちも身動きが取れなくなる。プランバムを捕らえる好機と見たサニディンは現場へ突入するが、見通しを誤り自分も高重力に屈してしまう。

■第36話「大地の起源」

ベインシステム埋設のため巨大古代遺跡の測量が試みられるが、内部に住みついた獣人の反抗を受け遅々として進まない。武装調査隊が強引に侵入していくと、遺跡を守護する無人メカが現れ調査隊を蹴散らす。近くの発掘現場で働いていたプランバムは暴走する無人メカと対峙する。 

■第37話「超無限を求めて」

謎の宗教〈アンブロン教団〉の総本山。世界中から集まってくる巡礼者を相手に山門前で小商いをしていた2人は、思いがけず門内に招き入れられる。その目的は?

一方政府は、教団が独自の科学技術の研究を進めているらしいことに危惧を抱き、スパイを送り込み破壊工作を目論んでいた。

■第38話「善政の寓意」

周囲から隔絶された高地にある楽園のように美しい村。住民は温順快活で決して争いを起こさない。何より驚いたことにコニッサーがいない! そこを訪れた2人はしばしの安息を得るが、住民の態度が日に日に異常性を帯びてくる。原因がわからず戸惑う2人。後を追ってきたサニディンも村内の異様な雰囲気にたじろぐ。

■第39話「崇高にして英雄的な人」

極寒の雪山を越えようとする2人。山頂付近はベインシステムからのエネルギー供給が不安定で人の居住は困難と思われたが、そこにポツンと1軒の家がある。その家の主である技術者は何十年もたった1人でエネルギー中継装置の改良試験を続けていた。

プランバムの来訪を利用して今の境遇を脱しようと考えた技術者は2人に害意を抱く。

ジプサム
忽然と現れては消える幽霊のようなメカ。
ポテンチウム
擬似位置エネルギー物質。
リトスの衛星「コス」のこと。
 

第4部 薪集め、冬

■第40話「夢魔」

ラジュライの新作スクライバー『アースパワー』が大々的に発売される(ラピリが協力したかどうかは不明)。

『アースパワー』にはベインシステムを尊崇せよというサブリミナルメッセージが埋め込まれており、それを聴いて以来マールは、プランバムに乗ってコニッサーと戦おうとすると体が拒否反応を示すようになってしまう。

■第41話「記憶の固執」

ガレナが代わりにプランバムの操縦を引き受け、戦いでも仕事でも見事な腕前を見せる。プランバムも彼女と相性がいいのか、なんとなく好調そうである。マールガレナがいれば自分は必要ないのではないかと落ち込む。

■第42話「無謀な睡眠者」

ついに首都に到着する2人。首都の気候は寒冷で、エネルギー供給を止められた人の凍死体があちこちに転がっている。住民は他人に冷淡で、コニッサーには極めて従順である。2人は浮浪児集団の一員と疑われ追い立てられコニッサーに通報される。

■第43話「雪中の狩人」

首都の地下設備に隠れ住む浮浪児たちが、コニッサーに捕らえられた仲間を救い出そうと2人に協力を求める。

■第44話「円の極限」

プランバムの首都入りを知った政府は、10万台ものキャリアタイドを動員して首都を取り囲み、マールたちを追いつめていく。

■第45話「時の流れは岸辺を持たない」

捕らえられた2人の前に現れたのは、政府高官となっていたスフィーンだった。7年前に自らの記憶を消去した彼は家族のことも覚えておらず、ガレナを冷たくあしらう。

■第46話「窓外の化粧」

2人は衣食住を保証され、監視つきだが丁重な扱いを受ける。マールは『アースパワー』による強迫症状から解放され、この境遇に甘んじるという誘惑に引きずられていく。ガレナはその様子にいらだち1人脱走を試みる。

プランバムは解体調査されるが、いかなる手段を用いても動力機関の仕組みは解明できない。かつての自分の発明に圧倒されたスフィーンは、手掛かりを求めてプランバムの意識の深部にアクセスする。

 
グロシュラー
百頭会議の守旧派大物議員

■第47話「飛行機取り草の庭」

グロシュラーが乗り合わせたVIP専用航空機がハイジャックされ、犯人はジャングルの中心地点へ向かうよう要求。そこにはベインシステムに関する重大な秘密が封じられているという。

大勢のVIPを人質に取った犯人の見込みは甘く、政府は秘密を守るため航空機の撃墜を検討し始める。

一方、気晴らしに街の散策に出た2人の前に現れたのは…。

■第48話「出現」

プランバムの処遇をめぐって百頭会議が開かれる。

エネルギーが切れれば消滅してしまう電子的存在であるオブラッサは、これまで議員を操ってベインシステムを守ることに全力を注いできたが、動力機関の謎が手に入ればそのような心配はなくなると判断し、プランバムの調査を継続しようとする。一方議員たちは(操られていたとはつゆ知らず)ベインシステムを絶対視し、それを否定しかねないプランバムの存在は闇に葬るべきだと信じて疑わない。2つの考えが衝突した結果オブラッサは議員たちの意識から分離し、理性を失った状態になる。

議員全員が議会装置との接続を切ってもオブラッサは消えず、「私は私だけのベインシステムを造る」と宣言して巨大最終兵器オブライザムを発進させる。

■第49話「大空の征服」

オブライザムは上空を漂いながらエネルギーを吸収し始め、付近一帯のあらゆる機械類が中継装置となってオブライザムへエネルギーを送る。制御不能となった機械のためにあちこちでパニックが起こる。オブライザムは空中にプラズマを放出し巨大な網状プラズマ構造体を構築し始める。このまま事態が進めばリトス全土が高熱の網で覆われ焼き尽くされてしまう! 議員たちはオブライザムを止めるよう指令を出すが、行政官はオブラッサと議員団のどちらに従うべきか迷い、混乱に陥る。

無気力状態だったマールは、ふとラピリの残していったスクライバーを聴く。そこに刻まれた彼女の熱情に心を揺さぶられた彼は、プランバムを救うため行動を開始する。

■第50話「超現実派の散歩」

サニディンら一部のコニッサーオブライザムに立ち向かおうとするが、近づいたメカは全て制御不能に陥ってしまう。オブライザムの支配を受けずに接近できるのはプランバムだけだ! マールは、ガレナスフィーンとともにプランバムを組み立てる。復活したプランバムオブライザムに取りついて攻撃を試みるが歯が立たない。

■第51話「空虚への飛翔」

オブライザムの内蔵コンピューターに乗り移っていたオブラッサプランバムの意識が接触すると、オブライザムはコントロールを失い墜落。大量のエネルギーが逆流したためベインシステムは湾曲し地面から躍り出す。オブライザムの大破に伴いオブラッサはこの世から消滅。プランバムは疑似人格とアンブロン機関を失い普通のキャリアタイドとなってしまう。

■最終話「泉」

百頭会議オブラッサに代わる新たな疑似人格を造り出して指導力を回復し、ベインシステムの修復作業を開始する。マールプランバムに乗って1人故郷を目指す。行く手には、ベインシステムが地面から突き出し火花を放つ異様な光景が広がっている。一時的にエネルギーが無制限に手に入るようになったため人々の表情は明るく、往路とは違って行く先々で親切にされるマールだが……

オブライザム
ラスボスメカ。巨大なプラズマ砲を持つ。