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●「La Buche/ブッシュ・ド・ノエル」のサントラCD収録曲 ※ミシェル・ルグランの主要作品リストはこちら


1 三姉妹の長女ルーバはロシア民謡の歌手です。その彼女が歌うのが、この映画のテーマ曲ともいうべきこの歌。この歌のモチーフが、様々なアレンジで各登場人物のテーマとして流れてきます。歌はルーバを演じたサビーヌ・アゼマではなく、SVETLANA DE LOUTHEK(・・・読めん)の吹き替え。(17)、(21)、(23)も同様です。
2 18世紀のフランスのキャロル。英題は「HE IS BORN, THE HOLY CHILD」。この曲は三姉妹の父親スタニスラス(クロード・リッシュ)が退院後、ブティックから新調の洋服に着替え、キメて出て来るシーンで少しだけ流れます。
3 スタニスラスのテーマ曲として流れるこの曲は(1)のバリエーションです。IVRY GITLIS(・・・知らん)のバイオリンがフィーチャーされています。<□△×の思い出>と、登場人物のテーマのように出てくるこれらの曲は、それぞれがクリスマスの思い出をモノローグのような形で喋ったり、あるいはクリスマスの出来事を語り合ってる場面で使用されます。
4 心なしか曲の頭は(1)のモチーフに譜割りが似ていますが、この映画の中のもう一つのメロディーで、このバリエーションも登場します。ルーバと妻子持ちのジルベール(ジャン=ピエール・ダルッサン)の不倫のシーンや、妊娠した事に悩むルーバのシーンで使われます。
5 ディーン・マーチンが'66年にリプリーズ・レーベルで作ったクリスマスアルバムに収録された音源です。'59年にはキャピトルからもクリスマスアルバムを出していますが、こちらはむしろウィンターアルバムと呼ぶべき選曲で、リプリーズ盤とは殆ど曲がダブっていません。このハートウォーミングな曲を、スカして色男風に歌っているのが、如何にもこの人らしい仕上がりです。上記のクレジットでは'98年の表記がありますが、この年にEMIから出たクリスマス編集CDでは、キャピトルとリプリーズ(ワーナー系)の音源が混在していましたので、その辺の権利の関係だろうと思われます。この曲は、不倫のシーンや家庭不和のシーンに被って使われ、やや不真面目なこのバージョンがピッタリで笑ってしまいますが、登場人物がお互いの本音やダメさ加減を吐き出した後、エンドロールで再度流れるこの曲は、何故か妙にシミジミと胸に響いてきます。
6 (1)のモチーフを用いた、スタニスラスの家の別棟の下宿人ジョセフ(クリストファー・トンプソン)のテーマ曲で、これはオーボエ?か何か木管によるソロのアレンジです。
7 これはルグランが書いたこのCDの収録曲としては、唯一独立したメロディーの曲です。
8 ルグランのアレンジによる「ジングル・ベル」です。映画はこの曲とともに始まります。
9 (1)のモチーフを用いた、三姉妹の次女ソニア(エマニュエル・ベアール)のテーマ曲は、フルートのソロによるアレンジです。
10 これは(4)のバリエーション。トロンボーンのソロによる演奏です。
11 ジョセフのテーマ曲として再度流れるのは、バリトンサックスのソロによる別バージョンです。
12 「ホワイト・クリスマス」のフランス語バージョン。これはフランスのオペラ歌手ルイス・マリアーノの録音ですが、時期は不明です。この人は40年代半ばから50年代にかけて、フランスで数多くのオペレッタ映画にも出演しました。1970年没。
13 これもまた(1)のモチーフのバリエーション。今度はピアノをフィーチャーしたアレンジです。
14 賛美歌106番として有名な「ANGELS WE HAVE HEARD ON HIGH」。邦題は「あらののはてに」。但し、どこで使われたかが思い出せません、すいません。
15 (1)のモチーフを用いたイヴェット(フランソワーズ・ファビアン)のテーマ曲は、ギターをフィーチャーしたアレンジです。
16 (5)同様、ディーン・マーチンの'66年リプリーズ・レーベルでのクリスマスアルバムに収録されました。
17 ルーバが歌うロシア民謡。ルーバは劇中、このCD収録曲以外に
"Le Temps des Fleurs"「悲しき天使」
"Otchi Tchornia"「黒い瞳」
の2曲を歌います。楽団による"Kalinka"「カリンカ」の演奏もあります。
18 (1)のモチーフによるミラ(シャルロット・ゲンスブール)のテーマ曲は、コントラバスのピッキング?弦楽によるアレンジになっています。
19 これはクリスマスソングではなく、オランダのブルース歌手オスカー・ベントンが'73年に出した曲。フランスでは'81年にアラン・ドロンが監督・主演した『危険なささやき』に使用され、公開当時ヒットしたようです。ミラとジョセフが部屋で話すシーンでラジオから流れてきます。
20 ルーバとジルベールの会話のシーンで流れる曲で、これもまた(1)のモチーフを使用。タイトルは「メリー・クリスマス、ジルベール」の意味です。
21 終盤ルーバによって歌われる曲で、これも古いロシア民謡のようですが詳細は不明です。
22 これもミラのテーマ曲として流れますが、(1)のモチーフがここではオーケストラバージョンになります。「ミラの視線」というタイトルになっていますが、これはクリスマスの会話とは関係のない、病院で窓越しにジョセフとルーバの会話を見つめるシーンで使用されます。
23 (1)の曲のリプライズバージョンのような形でCDの最後に収録されていますが、映画の中で使用されるのはこちらのバージョンのようです。(1)は完成形としての収録ということでしょうか。
今回ミシェル・ルグランがこの映画のために書いた曲というのは、上記のようにメロディーという点では非常に少ないのですが、その代わりしつこいまでにその曲のバリエーションを使い、またそれぞれのアレンジにおいてソロ楽器を替えて、その雰囲気も変えているのが見事です。また、映画の中でのこれらのバリエーションの音量は控えめで、何度も同じメロディーが出て来るような印象を、観ている間に受ける事はありませんでした。このCDの曲順は必ずしも映画の登場順ではなく、それとは別に構成が考えられているのが分ります。それでも同じメロディが実に11度に渡って出てくるのですから、普通途中で飽きて聴けなくなりそうなものです。しかし、殆どのバリエーションが2分位の演奏時間になっているというのも大きいのかもしれませんが、やはりそれを聴かせてしまうところがミシェル・ルグランのアレンジの力という事になるのでしょう。また、途中にでてくるクリスマスソングやキャロルのアレンジが、これらのバリエーションとは全く違うスタイルなので、CDにおいては一層その対比が強調される作りになっている点も見逃せません。
●この他に使われている既製クリスマス音源
歌手 曲名 備考
ETTA JAMES HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS '98年に出たクリスマスCD音源と思われますが、1分ほど流れます。
DEAN MARTIN SILVER BELLS CD収録曲同様、これも'66年のリプリーズ音源。1分ほど流れます。
SPIKE JONES SANTA CLAUS IS COMING TO TOWN '56年の『XMAS SPECTACULAR』に収録された「JINGLE BELLS MEDLEY」は3曲のメドレーですが、最初に出てくるこの曲が少しだけ流れます。

この他に「きよしこの夜」のハーモニカヴァージョンも何個所かで流れますし、「DECK THE HALLS」も少しだけ使われます。
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