Release date: 11/25/2003
Country: JPN
Label: Conny Records/P-Vine
Catalog#: CRPB-2
Guest Artists:

Track Listing:
1 Dig That Crazy Santa Claus
2 Rock'n' Roll Santa
3 Jingle Bells Boogie
4 Run Rudolph Run
5 Santa Claus Is Coming To Town
6 Surfers Christmas Wish
7 SleighBell Rock
8 Rock'n' Rolly Polly Santa Claus
9 Rockin Around Christmas tree
10 Boogie Woogie Santa Claus
11 Blue Christmas
- Present Track -
12 Christmas Rock'n' Roll
13 Jingle Bells

 元ヴィーナスのコニーが、ロカッツのディブス・プレストン、そしてプロデュース&ギターで参加した、ポールキャッツやモリッシーのギタリストだったボズ・ブーラーと共に作ったクリスマスアルバムです。ラストの2曲はボーナストラックとして、ロカッツの演奏が収められました(コニーも参加)。
 [1]はディブスのヴォーカルで、オスカー・マクローリーが'54年に出したクリスマスシングル(B面は「God Gave Us Christmas」)のカヴァー。[2]はコニーが歌う、'61年にリトル・ジョーイ・ファーが出したシングルのカヴァー。次はディブスのヴォーカルが続き、[3]は「ジングル・ベル」のブギ・アレンジではなく、ジョディ・レヴィンス&ヒズ・ボーイズが50年代前半に出したシングル。チャック・ベリーの[4]は、8ビートになってしまっているカヴァーが多いですが、これはス ウィング感のよく出たナイスカヴァー。
 有名な[5]はディブスのソロで、サビでコニーが絡みますが、キーの関係なのかハモリの出来が今ひとつに感じます。[6]はフィドルで参加しているショーン(ボズ・ブーラーの旧友らしいが詳細不明)のオリジナルのようですが、なかなかの佳曲。[7]はボズ・ブーラーが歌う、スリー・エイセス&ア・ジョーカーが'60年に出したシングルのカヴァー。サビでコニーが絡みますが、これはカッコいい仕上がり。頭の2曲[1][2]とこの[7]がベストトラックです。
 コニーが歌う[8]は、[3]同様ジョディ・レヴィンス&ヒズ・ボーイズのカヴァー。[9]はコニーとディブスのデュエットですが、これもやはり微妙に相性が悪いように(キーのせい?)感じます。[10]はコニー、[11]はディブスと、ここでアルバムは終了して、2曲のボーナスへとなります。プアボーイズやシェイキン・ピラミッズ、ポールキャッツのベースだったジョン・ウィロビーが書いた[12]はイイ出来ですが、ディブスとコニーが交互に歌う[13]はやはりちょっと違和感あり。とはいえ、[11]で終ってしまうとちょっと物足りなさが残るのも事実で、このボーナス付きで正解でしょう。正直に言って予想以上の嬉しい1枚でした。
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 出来が良かったからこそ言いたいのが、曲の作者クレジットのずさんさとライナーの内容です。例えば[10]の「ブギ・ウギ・サンタクロース」。ライナーではパティ・ペイジのオリジナルのようなニュアンスで書かれていますが、ロック史的には、ここはやはりメイベル・スコットをオリジネイターとすべきでしょう。パティ・ペイジのヴァージョンがシングルとして出たのはメイベルのヴァージョンの数年後である'50年です。ちなみにこのB面があの「テネシー・ワルツ」で、リリース当時には注目されていなかったB面がチャートを上り、9週連続第1位という特大ヒットになったのでした。
 それでジャケット内に記載されたこの曲のクレジットが「RENE LEON T」になっていましたが、これってJASRACで検索すると出てくるデータ表記をそのまま丸写ししたんじゃないのでしょうか?正しくはLeon Rene(レオン・リーン、「T」はミドルネームの略)だし。そういえば[1]は、このレオン・リーンとラファエル・リーン、アルバート・ジョンソンの共作ナンバーですが、このクレジットは「J G Albert Jr/Rene Leon T/Rene Rafael L」となっていました。アルバート・ジョンソンはJASRACで検索すると「JOHNSON GEORGE ALBERT JR」と出てくるので、前半を略したのでしょうが、これじゃ滅茶苦茶です。よく見ると、[3][4][5]そして[11]までその書き方になってました、やれやれ。
 そしてラスト[13]「ジングル・ベル」。この曲の作者は「Pecha Antonin」という人だそうです。いや、確かにJASRACで検索すると、その中にこの表示のものも出てくるのです。が、そこにはちゃんと「P D(Public Domain)」と書かれていますし、もちろんピアポントが作者ですけど、書かれた年代からいって「Traditional」とか「PD」表記は当然なのですね。この「Pecha Antonin」による「Jingle Bells」の詳細情報を確認すると、そこに編曲者「Pecha Antonin」とあります。ですから「Antonin Pecha」が正式表記ですし、おそらく名前から判断するに東欧あたりのアレンジャーのレコードが出たときのデータなんでしょう。でも、これはちょっとひどすぎませんか?
 あとライナーでも、[11]でエルヴィスのカヴァーというのは目をつぶるとしても、当時「ホワイト・クリスマス」に対抗して作られた云々と書くのは、'48年に出版された曲なんですから、エルヴィスのために「ホワイト・クリスマス」に対抗して書かれたオリジナルソング、と思われかねないようなニュアンスの記述は問題ありです。ロカビリー少年たちが鵜呑みにして視野が狭くなったりしないようにするためにも、この辺の配慮は欲しかったところ。[5]がパット・ブーンで有名な云々というのも・・・どうなんでしょう、ねぇ?
 以上、苦言で半分以上の分量になってしまいましたが、出来がよかったからこそ猛省を促したいと、あえて書かせていただきました。押忍。(2003.12.8)

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