紫外線2

(本来は、「観察記」に書くのが適してると思うのですが、以前、「紫外線」の題名で「水槽の科学」で書いたことの続編的内容なので、こちらに書くこととしました。)

8月に、メイン照明を10000Kb400Wから、ブルー球250W×3灯に変更しましたので、ここで、ランプごとの照度と紫外線の一覧表を書いておこうと思いました。
照明器具選択時のご参考になれば。

なお、UVカットガラスの付いているものは付けたままで、測定距離はそのガラス面から、スーパークールはランプ面からの距離です。
ルーバーの付いているものは、180度に開くか、外して測定しています。
また、10000Kb400WとUSHIO10000Kb150Wは使用後、6ヶ月であり、150Wアストロビーム、250Wコーラルグロウ、スーパークールは使用後1ヶ月のランプです。
それから、250Wコーラルグロウは3灯の平均ですが、他のは1灯です。
メタルハライドランプは1灯ごとに値が変わるので、参考値としてみて下さい。

まずは比較対照として、真夏、快晴時、太陽に向かっての測定値を上げておきます。

【太陽】

照度、lux

100000

UV-A、μW/cm2

2810

UV-B、μW/cm2

1200

UV-C、μW/cm2

105

夏の紅海快晴時、正午の海水面上の照度は10万luxだそうですから、秋田でも、真夏に太陽面に向かっての照度であれば、あまり差が無いようです。

なお、UV-Aは365nm、UV-Bは310nm、UV-Cは254nm中心で、それぞれ測定してます。
本来、UV-Cは大気で吸収され測定されないはずですが、多少測定されるのは、UV-Bのうち、短波長の紫外線の影響を受けている可能性があります

【USHIO、10000Kb、150W球】(燈具:タケダ)

距離

20cm

30cm

40cm

照度、lux

120000

90000

67000

UV-A、μW/cm2

2360

1910

測定せず

UV-B、μW/cm2

82

43

測定せず

UV-C、μW/cm2

160

105

測定せず


【10000Kb、400W】

距離

20cm

30cm

40cm

照度、lux

200000

130000

98000

UV-A、μW/cm2

12580

8160

5830

UV-B、μW/cm2

398

282

208

UV-C、μW/cm2

467

362

243


【アストロビーム、150W】(燈具:タケダ)

距離

20cm

30cm

40cm

照度、lux

42000

34000

16000

UV-A、μW/cm2

490

640

測定せず

UV-B、μW/cm2

10

6

測定せず

UV-C、μW/cm2

38

15

測定せず


【スーパークール、150W】(クリップ型、ブルー散光タイプ)

距離

20cm

30cm

40cm

照度、lux

23000

16000

9000

UV-A、μW/cm2

1400

700

390

UV-B、μW/cm2

120

65

40

UV-C、μW/cm2

40

22

12


【スーパークール、150W】(クリップ型、ブルー集光タイプ)

距離

20cm

30cm

40cm

照度、lux

85000

35000

24000

UV-A、μW/cm2

5700

3000

2200

UV-B、μW/cm2

560

440

300

UV-C、μW/cm2

230

130

110


【コーラルグロウ250W】(燈具:エムズワンMT-250+D)

距離

20cm

30cm

40cm

照度、lux

173000

100000

73000

UV-A、μW/cm2

1010

630

470

UV-B、μW/cm2

23

15

10

UV-C、μW/cm2

50

39

28


「考察」
1)照度計は人間が最も明るさを感じる中央波長で計っていると思われるので、10000Kbではやや低く、またアストロビームやコーラルグロウではより低く測定されてしまった可能性があります。

2)上でも書きましたが、本来地上で計ったUVではUV-Cが含まれないはずなのに、太陽測定時に105μW/cm2測定されていますので、あくまで参考ですが、人工照明での測定で、球によってはUV-BよりUV-Cが多く測定されています。
これは、サンゴのSunburnによる白化の際、考慮しなければならないかもしれません。

3)スーパークールにおいては特に集光タイプで紫外線量が多くなっています。スーパークールの直下のサンゴは色が飛びやすのはこのせいかもしれません。
また、スーパークールは中央を離れると、急に照度が低下します。
当たり前ですが、集光型ではその程度が強く、広い範囲の光量確保には不向きです。

4)250Wコーラルグロウは、もちろん、10000Kb400Wよりは、低照度ですが、コーラルグロウは色温度が高く、より低照度に測定されてしまう事を考えればワット数のわりに、十分豊富な光量を確保できていると思います。
(ブルー球に関しては、150W2灯より、250W1灯の方が、ずっと多く光量確保できます)
照度に比して、紫外線量はさほど多くはありませんのでサンゴの白飛びも他の照明より起きにくいでしょう。
また、この燈具は他の照明より、広い範囲が比較的均一に明るいので、これも水槽照明には有利と思います。
うちの水槽は長さ94cm、幅54cm、深さ60cmですが、「エムズワンMT-250+Dコーラルグロウ3灯」で十分底まで明るく、当初、スポットにはスーパークールを補うつもりでしたが、250W3灯のみで充分であり、スーパークールの補助は見合わせています。

5)光量、色揚げの両者を考えれば、2003年現在、250Wブルー球多灯照明が、SPS飼育水槽に最適かと思います。


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