トビ Milvus migrans

トビもれっきとした猛禽類ですが、どうも他のワシタカより一段低く見られています。
腐肉食が強い上に、そこら中にいてあまり珍しくもないからでしょう。
たしかに、大潟村では電柱、4,5本に一羽はとまっています。
昨年暮れより大潟村に通い始めたとき、最初こそはトビも写していたのですが、二回目以降は見かけても写さなくなっておりました。

そんなおり、畑でトビが地面でバサついているのを見つけました。
地上のトビ以外にもすぐ上空で2羽のトビが舞っています。
最初はトビが何か獲物を捉えたのかと思ったのですが、どうも様子が違います。
下になった鳥らしきものもずいぶんと大きい。

「大潟村2003年2月2日」

バサバサ羽ばたきながら、自分と同じくらいの鳥を押さえ込もうとしています。

「同上」

どうも、同じ大きさのトビ同士のようです。
二羽は上になったり下になったりしています。
「もしかしたら、釣り糸かなんかが絡まって二羽が離れられなくなっているのでは?」
そうであれば、何とか助けてやろうと、二羽に近づきました。
でも、トビとはいえ『猛禽類』。
「素手で無理だな。服を上から被せて取り押さえようかしらん?」などと考えながら。

「同上」

近づいて見ると、どうも、絡まっているのではなさそうです。
二羽が、互いに羽を打ち付けあっていますが、強力な武器であるクチバシは使ってはいません。
喧嘩かチカラ比べのようです。
空中の二羽は私が近づくとすぐ飛び去りましたが、取っ組み合いをしている地上の二羽は、20メートルほどになってもこちらに気づきません。

「同上」

10メートルほどになると、さすがに、一羽が気づき、「ハッと」した顔をこちらに向けます。
まるで、兄弟喧嘩をみつかった中学生のようです。
この後すぐに二羽は離れて飛び去りました。
喧嘩に夢中で、今まで私に気づかなかったのでしょう。

トビは普通種で珍しくない鳥ですが、それゆえに個体数が多く、こういった面白い行動も見かけるチャンスが出てきます。


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