Fluorescent Fish(蛍光メダカ)

2003年6月30日

観賞魚雑誌で「エメラルドフィッシュ」というサカナの紹介を見かけました。
「エメラルドフィッシュ」といっても、緑色をしたメダカの改良品種です。
なかなかに美しいので、以前から「睡蓮鉢にメダカが欲しい」と思っていたことでもあり、いつもお世話になっている「秋田観賞魚センターさん」に「エメラルドフィッシュ注文」のお願いをしましたが、これも「青い睡蓮」なみに人気で、「もう販売元に在庫がなく、東北には入荷していない」とのことでしたが、観賞魚センターさんは探し出し、取り寄せてくれました。
6月29日、入荷の知らせを聞き、パックのまま頂いてきました。

日本の輸入元では「エメラルドフィッシュ」と名付けたようですが、添付の英文パンフレットにはもう少し詳しいことが書いてありました。
作出は台湾の「TAIKONG CORP.」の「AZOO」というところで、「Fluorescent Fish」、品種名「TK-1」というらしいです。
メダカ(Oryzias latipes)に遺伝子工学的にクラゲの緑色蛍光色素:GFP(Green Fluorescent Protein)の遺伝子を導入し、系統固定したものだそうです。

ただ、販売魚は自然界の遺伝子汚染を防ぐため、不妊処置をしているとのこと。
繁殖されて価格暴落を防ぐ目的もあるでしょうが、自然界への遺伝子拡散を防御するのは大事なことです。

横道にそれますが:
釣り対象魚などは原産地を問わず、放流されますが、チョウなどでは、産地の異なるものの放蝶は御法度です。
「その地域にその生物がいる」ということは何万、何百万年の地球的歴史があって成り立っていることです。
他地域の生物を放してしまうことは、その歴史を一瞬で台無しにしてしまうことになります。
なお、昆虫では同産地の飼育昆虫でも、「放虫」は特殊な場合を除き、よろしくないこととされています。
その地域でその昆虫が減ったので、飼育昆虫の放虫をするのでしょうが、個体群が減ったところに、少数の親から育てられた大量の飼育昆虫を放すと、その地域の個体群における遺伝的多様性を一段と減らしてしまうことになる恐れが高いからです。
遺伝的に近い個体群だと近親交配の可能性が高くなります。
とくにチョウはクワガタなどとは違い、3,4世代も近親交配すると遺伝的に崩壊してしまうことがあります。
移動力のある昆虫ほど近親交配に弱いようです。

(補1、もともとクローン的増殖をしているサンゴや植物は同産地ならあまり問題はないと思います)
(補2、北日本と西南日本のメダカは分化してから100〜300万年ほども経過して、遺伝的にも相当異なっているようです)

ちょっと辛気くさいことを書いてしまいました、話を元に戻します。
あと、このパンフレットには、なんとFluorescent Fishの「Marine Aquarium」での飼育例も書いてありました。
写真のほとんどが、蛍光色素を塗った人工サンゴでしたが、生きたサンゴでの飼育写真と、ご丁寧にもサンゴの種ごとの蛍光度合いの表まで載っていました。

メダカは耐塩性の強いサカナです(何せ、サンマの遠い親戚にあたります)。
メダカは2,3ヶ月かけて海水順応させると、天然海水でも充分に生きて行けるそうです。
成魚ばかりか、メダカの卵も海中で一部は発生できるそうです。
耐塩性のある淡水魚は結構いますが、卵の発生まで出来る種類はそんなにいません。
メダカの耐塩性は相当なものです。
ただ、自分のサンゴ水槽に入れるか?・・・これは感性の問題です。
Marine Aquariumは自然界のものだけを入れる、としていますので、なにかコケ取りとか必要に迫られない限り、私は海水水槽には入れないでしょう。
(メダカは藻類食が強いので藻の除去にいくらか役立つようですが)
King of Bluesの鉢に入れました。

PS
King of Bluesは今、3番花、4番花が咲いています。
植え付け後、20日間で、50cm鉢は計7個の花芽、62cm鉢は9個の花芽を出しました。(咲き終わったものも入れて)
温帯性睡蓮より熱帯性睡蓮の方が花芽を良くつけるのは、スイレンの性質と、梅雨時の野外より室内メタハラ鉢の方がずっと多く光を浴びているからでしょう。


↑2003年6月29日。
ブラックライト(紫外線灯)照射下の写真。


↑同日、62cm睡蓮鉢に放したところ。
メタハラ10000Kbは結構紫外線も出ているのせいか、蛍光緑色が良く発色しています。


↑同上、アップ写真。

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