富良野・旭川

2005年5月2、3日

2005年のゴールデンウィークは、北海道の富良野・旭川に行って来ました。
ヒメギフチョウ(北海道亜種)に出会うというのが最大の目的でしたが、今年は春がおそく、例年より季節の巡りが2,3週間は遅れているのが心配なところです。
エゾヒメギフに会えるでしょうか?

4月30日の天気予報では、活動の中心日の5月2,3日は降水確率60%の曇りと雨でしたが、根性で晴れにしました。

5月2日は富良野です。
まだ季節は早く、有名な丘を彩る花々の景色はまだでしたが、盆地から望む大雪山系は雄大です。↓

富良野でも比較的早い発生期を迎えるポイントに行きましたが、ヒメギフの食草のオクエゾサイシンはかろうじて芽吹いている段階で、ヒメギフの姿は見えません。
その代わり、エゾエンゴサクの鮮やかなブルーが迎えてくれました。
これは、ウスバシロチョウ、ヒメウスバシロチョウの食草ですので、もう一ヶ月もすれば、ここはそれら白いParnassiusのお庭になるでしょう。
エゾエンゴサク↓

エゾエンゴサクの花の形は結構変わった形をしています。↓

ヒメギフの登場をじっと待っていると、エゾリスが出てきてお相手をしてくれました。
去年の秋に埋めた堅果類を地面から掘り起こして食べています。↓

5メートルくらいまで寄らせてくれました。↓

クジャクチョウも出てきて、ひなたぼっこです。
こうやって体温を上げて飛び立ちます。
この季節のクジャクチョウは越冬後の個体なので、羽がちょっと痛んでいます。↓

ヒメギフチョウの出現時間である午前中いっぱい粘りましたが、未発生とみえて、一頭もヒメギフは出てこず、仕方なく、昼食を食べに行きましたが、せっかく北海道まで来て、会えないのはくやしい。
午後にもう一度、ヒメギフのポイントに向かいました。

日頃の行いがよいせいか(?)出てきてくれました!
エゾヒメギフチョウです。
本日羽化したばかりと見えて、数メートル弱々しく飛んでは日光浴をします。
急いで、ビデオ撮影をし、次ぎにカメラを構えますと、同行のカミさんが
「ネット、ネット(捕まえさせろ)」と後ろで騒ぎます。
仕方なく、2,3枚撮影したところで、カミさんに譲りました。

この日は、この一頭だけにしかお目にかかれませんでした。
秋田くんだりからわざわざ会いに来た私たちを哀れんで出てきてくれた、この親切なヒメギフチョウは、今、欲深なカミさんの展翅版に載っています。
(合掌)↓

翌5月3日は、旭川のポイントにむかいました。
そこは旭川としては早い、4月下旬発生の場所なのに、まだ地面の八割が雪に覆われていて断念。
もう一カ所、当麻町のポイントは雪がほとんど消えているので、こちらで粘ることにしましたが、早春のキンポウゲやザゼンソウが盛りで、やはりまだヒメギフには早すぎる季節塩梅です。

ところで、虫媒花のザゼンソウがまだ寒い時期に花開くのは理由があります。
この植物は、中央の花穂で発熱するのです。
そしてその周囲を幌で囲い、その熱を逃がさないようにして、内部温度をなんと15〜35度まで上げるそうです。
こうやって、花粉媒介の昆虫の活動度を高め、受粉してもらおうという戦略です。↓

フクジュソウも昆虫を温度で集める植物です。
こちらは発熱はしませんが、太陽光線をパラボラ型の花びらで集め、花の中心部の温度を上げます。
その効果か、コバエが結構集まっていました。↓

エゾノリュウキンカはまだ咲き始めです。
こちらは、エゾヒメギフの吸蜜植物で、これが盛りになっていないといけません。↓

12時近くなって強風に吹かれて梢を飛び去るヒメギフチョウを一個体だけ見かけましたが、写真もネットも出来ませんでした。
今回の北海道旅行で得られたのはカミさんの一頭だけです。
でも2日にヒメギフのビデオは写せましたし、なにより、北海道の春を初めて味わえたのが幸いでした。

最後に、北海道のヒメギフチョウの産地は同時にヒグマの生息場所であることが多いです。
この当麻町でも「ヒグマに注意」の看板がありました。
家族をクルマのところに残し、私はちょっと山に登りましたが、そこにはヒグマにかじられた倒木がありました。
唐辛子スプレーを持参していましたが、やはり直接はご対面したくありません。↓

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