Bye C Tank

2002年12月24日

12月21日の朝、起きてみると、C水槽(オウムガイ水槽:今はオウムガイは不在ですが)の下に「水溜まり」が!!!
「水槽がオネショ?」いえいえ、水漏れ事故です。

「グ〜プグプグプ」(心が深海に沈んで行く音)
「仕事前の時間が無いときに、なんてこったい」、・・・文句を言ってても水槽が自力更正(年がバレる表現ね)するわけではないので、バケツ&雑巾で海水の水溜まりを処分。
漏水個所を調べると、嫌気濾過槽のアクリル接合部からにじみ出ています。
かすかな量ですが、こういう場所からの漏れは修復不能です。漏水部に吸い取り用にティッシュの塊を押しつけながら、
「ああ、こりゃ、この水槽を畳まざるを得ないなぁ。幸い今入っているのはカワリギンチャク一個体だけだし」

午前の仕事を済ませて、昼は水抜き。奇数土曜は午後も診療をやっているので、水槽の解体作業はその後から。
夕方になり、クーラーや水槽、水槽台など使えるものは洗って仕舞い、配管類はゴミにまとめる。疲れましたが生体の大量死滅などと違い、割と淡々と済ませられました。

記録を読み返してみると、1996年7月14日にオウムガイ用水槽として設置、同年9月11日に間歇嫌気濾過槽「デニトレーター」を併設しました。
このデニトレーターは設置当初、ずいぶんとトラブルに見舞われたものでした。先ず水漏れ、それも1,2個所ではなく、本体とパイプの接合部数カ所からピューッと糸を引くような水漏れでした。また、構造上不都合があり、何回か修正と附属機器をつけてようやく使いものになりました。

しかし、嫌気濾過槽をいじくり回したお陰で、亜硝酸の出来てしまう条件、硝酸還元に至適な酸化還元電位、硫酸還元の始まる電位などいろいろ勉強できました。
この嫌気濾過槽に先立つ数年前には連続処理システムの嫌気槽を作ったこともありますが、これらいくつかの嫌気濾過槽での、実験、設定条件から人工的に硝酸還元をさせるのに必要なことや適性がわかりました。

1)処理水量(硝酸量)、還元剤を制御できなければならない。
(硝酸還元とは還元剤を硝酸で「燃やす」ことですから、酸化剤(硝酸量)と燃料(還元剤の量)を制御できなければならないのです。普通の燃焼でも空気(酸素量)と燃料が調節できなけば、うまく燃焼を人為的に制御できないように)

2)酸化還元電位をモニターしなければならない。

3)上記二つと絡みますが、亜硝酸を発生させないで充分な硝酸還元を行わせるには連続処理より、間歇処理が適している。
(硝酸還元が終わって亜硝酸が無く、かつ硫酸還元がまだ始まる前の状態で本水槽に戻すために)

4)人工的硝酸還元はナチュラルシステムに比べて大量の硝酸処理に向くが、大量に餌を与えた場合、少量給餌のナチュラルシステムほどには硝酸はさがらない。(間歇濾過槽をうまく運転できても、大量給餌なら、NO3-Nで1ppm以下にするのがせいぜい)

5)当然ですが、リン酸は処理できません。リン酸低下は換水か吸着剤などを使うしかありません。

人工的硝酸還元法はミドリイシを飼う目的なら付ける必要はありません。
コスト的にも、水質的にも、運転の安定性、手間の全ての面でナチュラルシステムの方が勝っています。
「サカナの大量飼育、ラッコなどの海獣類やウミガメなど大量に餌を食べる動物飼育において、海水交換をぐっと減らしたい」などというときに設置するシステムでしょう。


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