晩夏

2002年8月18日

北東北の今夏は、ずっと雨もようで、8月に完全に晴れた日が記憶にありません。それでも立秋は過ぎ、夏も終わろうとしています。
8月18日の日曜日は、過ぎ行く夏の虫・植物の写真を撮ろうと、太平山山麓の藤倉水源地に行って来ました。
ここは、秋田市内より15分ほどですが、7月にカモシカに出会ったところです。

草原には、キツネノカミソリがたくさん咲いていました。
ヒガンバナと同属ですが、ヒガンバナは文字通り彼岸のころに咲き、キツネノカミソリは少し早く、お盆過ぎに咲きます。
どちらも、花が咲くときは葉を出しません。共に根茎は有毒です。

↓ Lycoris sanguinea  キツネノカミソリ

キツネノカミソリの蕾にとまるノシメトンボ。
私の子供の頃は、盛岡で「クルマトンボ」と呼んでました。
飛ぶと、翅の黒色斑が車輪のように輪を描くからでしょう。

↓ Sympetrum infuscatum ノシメトンボ ♂

草原でなわばりを張っていたのは、ルリボシヤンマの雄。

近くの池では、ギンヤンマの雄が雌を捕らえて交尾態勢にはりましたが、「変なギンヤンマの雌」と思ったので、捕まえて確かめたら、ルリボシヤンマの雌でした。
間違えることもあるんですね。
ギンヤンマとクロスジギンヤンマにはたまに雑種が出来ますが、ギンヤンマとルリボシヤンマの禁断の恋では無理でしょう。

↓ Aeshna juncea juncea ルリボシヤンマ ♂

↓ Aeshna juncea juncea ルリボシヤンマ ♀


草原で元気なのは、キアゲハもです。
黒いアゲハは体温上昇を避けるため、林縁を飛びますが、キアゲハは開けた空間を飛び回ります。

下の写真は産卵態勢ですが、産卵にはいたらず、飛び去りました。
前脚に化学受容器があるのですが、何かが気に入らなかったのでしょう。

↓ Papilio machaon hippocrates キアゲハ ♀


↓ 同上

林にはいると、木陰にはその名の通り、ヒカゲチョウの仲間のクロヒカゲが音もなく樹木の回りを飛んだり止まったりしていました。
よく見ると、なかなかシックな色合い・模様をしています。

↓ Lethe diana クロヒカゲ

林縁の日向には、クズが木々にからみついていました。
成長の早さを買われて、アメリカではダムの土押さえに日本から輸入されましたが、あまりの繁殖力に手を焼き、いまでは害草扱いだそうです。

花をみると、クズはマメ科植物であることがよく分かります。
マメ科植物は窒素固定が出来るので、痩せ地でも良く繁茂するのでしょう。

日本でも、道路工事の法面には、アメリカ産のグランドカバー植物の種を仕込んだ吹き付け工法が採用されていますが、外国産の植物を利用するときはもっと慎重でなくて大丈夫かと心配になります。

↓ Pueraria lobota クズ


                       もどる