私の職場はほどよい山間にあり、猫がよく捨てられるところでした。捨てられた猫をひきとり飼っている人もたくさんいました。

その2匹の猫もそうでした。2匹の猫を連れて戻りしばらく一緒に暮らしました。前からいる猫のふーは全くのマイペース。

二匹のきょうだい猫ちゃんはそれはそれはやんちゃでした。おいかけあい、じゃれあって走り回っていました。

私が仕事から戻ってくるとカーテンはびりびりになり、ハンガーにかけていた洋服もボロボロでした。あまりのかわいさに怒る気にはなれなかったけれども、いつまでも家の中で飼っておれる状況ではないということは、部屋に帰ってくるたびにものが落ち、壊れていく様子でわかりました。

猫が好きではない九州の両親と祖母に無理を承知で電話でひきとってほしいと頼みました。両親もややあきれ果てていましたが引き受けてくれることになりました。九州に旅行に行くという知人に預けることにしました。少し遠回りをしてもらい実家近くの駅のホームで引き渡す段取りが整いました。

一つのバスケットに仔猫を二匹入れて知人にたくしました。そして無事に九州の実家で飼われることになりました。

時々電話をして様子を尋ねるとあいかわらずのやんちゃぶり。外で思いっきり走れるので嬉しくてたまらないようでした。

あんなに猫が嫌いだった祖母に一番なついて、腰の曲がった祖母が朝早く庭掃除をはじめるとほうきにまとわりついて離れなかったそうです。祖母が野良仕事に出かけるときも二匹で前になり後になり足元にじゃれつきながらついていき、野良仕事がおわるまで野原であそび、またついて帰ってくるくらいおばあちゃん子になっていたようです。

娘のいない祖母は孫娘の送ってきた猫を、遠く離れて暮らす私の代わりにかわいがってくれたのかもしれません。

そのやんちゃなねこちゃんとも別れる日がやってきました。

一匹はいつしか戻ってこなくなったとききました。そしてもう一匹もいつものように祖母の野良仕事についていく途中カーブを回り込んできた車に祖母の目の前ではねられ死んでしまったというのです。

祖母は走り去る車に向かって叫び、その場に座り込み大泣きをしたそうです。
母が猫の亡きがらを葬ってくれました。

私は猫もかわいそうでしたが、なによりも猫を子どものようにかわいがり大事にしてくれていた祖母の気持ちを思うだけで胸がつまりました。

それから何年もたち祖母は帰省のたびにひ孫と会えることを楽しみにしていました。下の子が二歳になるまえに帰らぬ人となりました。




きょうだいのねこ