修羅の一族
MAHIRO MEMORIES
「ボビシ覚書」の巻
最初に書いておきます。

今回は

S君の話ではありません。


さて、

いつかマヒロは、このホームページ上で、
最初に実物をみた芸能人はゼンジー北京と書いた憶えがあります。

そして「マヒロよ、答えてみるがいい」の中でも
質問に答えて、その当時の様子を書きました。
ここにそれを再録します。
ゼンジー北京に対する思い出を語っていいですか?
小学校の4年の時だったと思いますが、日曜日の朝にいきなり電話がかかってきたんですよ。同級生の「ボビシ」の母ちゃんから。「催し物の券が二枚あるからいかない?」って。
それで「ボビシ」と観にいったんだよね。ゼンジー北京。
あのニセモノチャイナ服みたいなのを着て、5分刈りのオジさんが出てきましたよ。「謝謝」言いながら。

「これタネも仕掛けも無いあるね。子供達、ちょっと調べて欲しいあるよ」ってシルクハットを前の子供に渡したんだよ。そしたらシルクハットの取り合いになってさ。まあ、その取り合いの中にマヒロ少年もボビシも入っていたんだけどね。結局、シルクハットはもみくちゃのボロボロ。ゼンジー北京怒ったね。「こんなにされっちゃったよ。こわされちゃったよ」まあ、その時が一番笑いがあったんだけどさ。

ちなみに初めてサインを貰った芸能人もゼンジー北京です。


以上がだいたいのあらましです。

ゼンジー北京。
最近行方不明ですが、当時はそこそこ売れていました。

しかし。
ここに登場する人物の中で、一番注目すべきは
ゼンジー北京ではないのです。

その人物の名は、

ボビシ

本名ではありません。あだ名です。

何故、このボビシがそれほど注目すべきかといえば、




かりにS君が修羅の星の下に生まれついた男だとすると





ボビシは、
修羅の星に生まれちゃった男
といえるでしょう。





どう考えても、生まれてくる星を間違えちゃったとしか思えない、


神様が仕分けする種族を間違えちゃったような


トンデモナイ人物なのです。











私は、「マヒロよ…」の中でサラッと
日曜日の朝にいきなり電話がかかってきたんですよ。同級生の「ボビシ」の母ちゃんから。「催し物の券が二枚あるからいかない?」って。
と、書きましたが、

これもホウボウに散々断られた末のマヒロへの電話であり、

その事はボビシの母ちゃんに
「何々君は寝ていた」「何々君は用事がある」「何々君は忙しい」
と、延々、愚痴られました。




そのボビシ。


小学校の卒業文集にこんな一文を書いています。



注:傍線筆者



美男子?


なんだそれは?




なにせ彼は、
席替えのくじ引きで、ボビシの隣の席を引き当てた女の子が
嫌だ嫌だといって号泣したという逸話を持ち、




好きだった女の子には
「バカ野郎!死ねよ!」と言われたほどの、
放送コード的にキワドイ容姿を持つ男。






しかも、
ちょっと頭が不自由な方であらせられるのか、


口癖が

シュボ!

シュボボボボ!

シュルルボ!

であり、


それは
どうやら自分のエンジン音を口で叫んでいるらしい。









そんな男が



美男子って、自分で書くか?

…っていうか、小学生が使う言葉か?


さらに、


小学校卒業文集の「将来の夢」には

「車の運 手」

と書いた男。

どうやら「転」という字が分からなかったらしい。

しかもその「車の運転手」というのも
漠然として何を目指しているのかわかりません。









そして、
マヒロ少年は小学校卒業の思い出に
卒業カードをクラス全員に渡し、全員に書いてもらいました。

そしてこれが、ボビシから戻ってきたカードです。




本来ならば本名や住所、電話番号を書くべき欄に
これらの文字の羅列。


これを受け取った時、
さすがに震えました。

この紙面上に
ボビシの本名を表す文字が
一つも有りません。


さらに、写真や自分の似顔絵を書くべき欄に
彼の魂の叫びです。




どういう意味でしょうか。




何という願望でしょうか。





だれか、教えてください。






彼が何を伝えたいのか。




彼の行く先に平穏無し。
そういった意味では
S君をも凌駕する禁断の果実。
人類史上、神と対等に渡り合えるのは彼だけではないだろうか。


そう思わせるパワーを持つ、イターイ少年でした。






たとえば、





ある時、友達数人が教室でプロ野球チップスの話題で盛り上がっていたら、
その話題に参入してきて、「俺も今日買う」と言い出し、
放課後、親父の貯金箱をたたき壊して
店のプロ野球チップスを箱ごと買い占め
友達を連れて家に帰り、カードの袋を開けていた時に
親父が帰ってきてしまい、友達が見ている前で
部屋の端から端まで吹っ飛ぶくらい
殴られつづけたボビシ。









腕の骨を折った時、
医者でギプスをしてもらったのに、
もう治ったと言って
ギプスを自分で叩き割ったボビシ。








転校生が来るとすぐに友達になろうとするが
しばらくすると、どんな奴かばれてしまい
すぐにもとの一人ぼっちに戻るボビシ。









友達数人がボビシの家に行き
宿題をやりながら
熱帯の先住民族のドキュメントを観ていた時、

先住民達の裸を見て、突然興奮しだし、

誰も止める間も無く

全裸になって踊りはじめたボビシ。









チョロQを一台、マヒロ少年に渡し、
「沢山買ってもらったからあげる」と言っていたのが

実はそれは駄菓子屋から
十数個単位で万引きした物だったボビシ

それはさすがに学級会で大問題になりました。

あの時は、すぐ返したから良かったものの、
危うく私まで共犯にされる所でした。
マジで危ねぇよ。

ボビシよ、
それ、万引きっていうか、窃盗じゃん。







小学校時代のエピソードの数々。


作り話ではありません。
フィクションではありません。


全て本当の話です。





これらよりもさらに衝撃的エピソードがまだまだあるのですが、
やば過ぎて、ここには書けません。
っていうか、まちがいなく引きます。










そして、まさか、

中学校でもボビシと同じクラスになってしまうとは。



あっ。



一応、
マヒロ自身の名誉の為に書きますが

この中学校は普通の公立中学校

クラス編成も完全ランダム制です。

決して、能力別クラス編成ではありません。

それだけはマヒロ自身の名誉の為に、
今後の活動の為に言っておきます。


真下マヒロは
いたって普通の小市民です。




それだけは憶えておいてください。









普通こういう話は
ボビシは今は幸せに暮らしています
というような

心の和む温かい締めで終わるものですが、















神はそのような予定調和を許しません。







風の噂に聞いた所によると、





友達が街でボビシを見かけたとき、
彼のあまりの変わりように怖くなって逃げたというほどですから、











シャレになりません。









追伸ですが



S君。



実は来ていました。
ゼンジー北京を観に。







それも家族全員で。






全員でゼンジー北京を観に行く家族。







さすがS君の家族。