ズッコケ三人組研究叙説
研究者:真下マヒロ:フキダマリ山脈
「ズッコケ三人組の未来報告」と「ズッコケ中年三人組」の未来の相違点
ズッコケ三人組の未来報告 ズッコケ中年三人組
時代 小学校六年生から20年後
32〜33歳
小学校六年生から28年後(2005年)
39〜40歳
主な内容 タイムカプセルに関わる事件 怪盗Xに関わる事件
ハチベエ 八百八
(花山ショッピングセンタービル一階)
コンビニ経営
配偶者 安藤圭子 安藤圭子
子供 二人。
長男:一平(小学三年)
次男:良介(幼稚園)
二人。
長男:一平(中学三年)
次男:良介(中学一年)
ハカセ 奈良市の国立埋蔵物研究所研究員 中学校の先生(担任しているクラスが学級崩壊)
配偶者 無し。独身 無し。独身
子供 無し。 無し。
モーちゃん 海外で修行の後、ミラクルホテルのフロントマン 職を転々とした後、レンタルビデオ店のアルバイト
配偶者 フランス人女性ジャクリーヌ(24歳) 大阪出身の満子
子供 無し。 一人。
長女:佳奈(小学五年)
荒井優子 インテリアコーディネーター インテリアコーディネーター
金田進 ミドリ日報の記者 ミドリ日報の論説委員
中森晋助 中華料理店店主 中華料理店店主
皆本章 スポーツクラブ指導員 スポーツクラブインストラクター
津川卓也 印刷会社経営 経営していた印刷会社が倒産
市原弘子 ロサンゼルスでブティック経営 ロサンゼルスでブティック経営
井上隆治 ミドリ銀行紙屋支店勤務 ミドリ銀行紙屋支店支店長
榎本由美子 幼稚園の先生 幼稚園の先生を辞めて結婚

ズッコケ三人組の未来報告(以後「未来報告」)はハチベエが見た夢であり、現実ではないのでズッコケ中年三人組(以後「中年」)と食い違っていてもなんら問題は無い。
しかしながら「未来報告」はズッコケ三人組50作品の中で唯一見せられた三人とその仲間達の未来であり、ズッコケ世界の正史に準ずるものと位置づけるには十分なものであった。ここにきて「中年」が発表された事により、夢のような三人の未来を語った正史としての「未来報告」が否定され、現実を書いた「中年」が正史という事になったのであるが、その共通点と相違点をみてみよう。

・同級生達の未来は両作品とも、おおよそにおいて同じである。
・最も扱いの悪くなったのはモーちゃん。モーちゃんの性格を如実に現しているのは「中年」のほう。(配偶者云々ではなく、二作品では職業があまりにも違うし、そこにいたる過程も両極端である)
・「未来報告」の設定のまま八年すぎると、ハチベエの長男の年齢が高校二年生になるはずのところ、中三になっている。

そして「中年」には挿絵が無い。不惑といわれる40歳になった三人の老いた姿をビジュアルで出さなかったのはイメージを壊さぬようにとの配慮なのだろう。

時代をアクティブに生きたら「未来報告」。
時代に流された結果が「中年」。
そんな二つの未来が垣間見える両作品。…でもズッコケ熟年三人組はもういいです。