卒業式を終えた3年B組の生徒たちは、皆、自分の席についていた。
その席に座るのも今日が最後。
生徒たちの涙に潤んだ目線の先には大きな黒板と担任の銀八先生の姿があった。
昨日まで当たり前の様に通っていた学校も明日からは過去の思い出になってしまう。銀八先生のお説教も、もう聞けないだろう。生徒たちの胸に付いている水色のリボンがその寂しさを物語っているようだった。
銀八先生は昨日までと全く変らない口調で話し始めた。
「最後に、一つ、君達に言っておく事があります」
銀八先生は言った。
「『人』という字は互いが互いに支えあっている様子を文字にしたのだとはよく言いますが、先生はどうしても一方が他方に寄りかかっているようにしか見えません」 |