「ウクレレ・ロマンス」ハーブ・オータJr.

Pila Li`ili`i PILA-1006

(輸入盤)Ukulele Romance/ Herb Ohta Jr. (Roy Sakuma RSCD-2003)

ハーブ・オータJr.の「お気に入り」を集めたソロ・アルバム

このハーブ・オータJr.自身4枚目のソロ・アルバム「ウクレレ・ロマンス」は前作「ウクレレ・ドリーム」がハワイアン音楽を中心に構成されていたのに対して、ハワイアン音楽だけでなく、彼の「お気に入り」の曲を幅広く集めていることで、彼の音楽の幅の広さがよく分かるアルバムになっています。

そしてまず気がつくのは、ほとんどの曲に新しいイントロのメロディーを付けていることで、彼の演奏がはじまるとこれらのイントロが主題への期待を盛り上げてくれますが、このあたりに彼の作曲家としての才能が示されています。

父親オータサンとの競演「プア・ロケラウ」

同じ時期にオータサンも作品集「レインフォレスト(ビクターVICP-62350)」をリリースしましたが、その中に収録されているオータサンの作品「プア・ロケラウ」をハーブ・オータJr.もこのアルバムで演奏していますので、はからずも父子の競演となり大変興味を持たせてくれました。

シャイな性格が現れているオリジナル曲

このアルバムの最後には彼のオリジナル曲「ルック・イントゥー・マイ・ハート」が収録されていますが、目立たないように最後にしたり、彼自身のボーカルも入っているにもかかわらずそれを表示しない、等々彼のシャイな性格が現れています。

曲目の紹介

  1. ヘ・アロハ・ノ・オ・ホノルル
    彼のデビュー・アルバム「デビュー(原タイトルKa Hanauna Hou:レイ・レコードLEIR-0034)」でも演奏していたお気に入りの曲。短い曲にもかかわらずジュニアはさまざまなアドリブで楽しませてくれる。


  2. キャント・ヘルプ・フォーリング・イン・ラブ
    エルビス・プレスリーの歌でプラチナ・シングルとなった(B面は「ロッカ・フラ・ベイビー」)大ヒット曲。

  3. ホノルル・シティー・ライツ
    名門ビーマー一族の兄弟デュオ「ケオラ・アンド・カポノ・ビーマー」の名声を確立した彼らのオリジナル曲。彼らの20周年記念アルバムにも新しいアレンジで収録されている。

  4. プア・ロケラウ
    彼の父親オータサンの作曲になるハワイアン・ソング。オータサンのアルバムではコーラスで歌われているがここではインストゥルメンタル。「プア」は「花」、「ロケラウ」は「花の色が緑のバラすなわちグリーンローズ」のこと。


  5. ワンダフル・トゥナイト
    エリック・クラプトン1977年のアルバム「スロウハンド」に収められ、ヒットした曲。クラプトンの奥さんがパーティーに着ていく服をあれこれ選んでいる間に書き上げた。「今夜の貴女は大変ステキだよ」という歌詞。

  6. ファースト・ラブ
    世界に羽ばたいている歌手、宇多田ヒカルが1999年に出した初アルバムのタイトル曲。このアルバムの売上げは発売後わずか3ヶ月半で700万枚を突破という記録を作った。

  7. ケ・カリ・ネイ・アウ
    ハワイの大作曲家チャールス・E・キングが作った曲であるが、のちに「ハワイの結婚の歌(The Hawaiian Wedding Song)」というタイトルと歌詞が付けられ、プレスリーが映画「ブルー・ハワイ」のなかで歌い大ヒットをした。

  8. ホワット・ア・ワンダフル・ワールド
    数多くのポピュラー歌手が好んで歌っている曲で、ハワイの歌手たちの愛唱歌でもある。メロディーが「キラキラ星(Twinkle, Twinkle, Little Stars)」にも似ている美しい曲。

  9. いとしのエリー
    サザン・オールスターズの桑田佳祐のつくった名曲。盲目のピアニスト/歌手のレイ・チャールスが「エリー・マイ・ラブ」としてカバーしたことでも有名。

  10. プア・アーネラ
    パイナップル・シュガー・ハワイアン・バンドが2002年にリリースしたアルバム「P.S.」に収録されている曲で、リーダーの山内雄喜とメンバーの上原まきの合作になるハワイ語歌詞を持った曲。「アーネラ」は「天使」を指す。

  11. ラブ・ウィル・キープ・アス・アライブ
    「ホテル・カリフォルニア」の大ヒットでおなじみの4人組イーグルス1994年のヒット曲で「Hell Freezes Over」というアルバム(1994年)に収録されている。

  12. ルック・イントゥー・マイ・ハート
    最後に登場したハーブ・オータJrのオリジナル曲。ここではプロデューサーであるロイ・サクマ教室の秘蔵ッ娘ジョメル・スミラとジュニア自身によって歌われている。

日本ウクレレ協会会員 小 林 正 巳


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