「ハーブ・オオタ 
    レジェンダリー・ウクレレ」
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ハーブ・オオタの「幻のウクレレ・ソロ」が
CDとして発売されました
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 「山口軍一とルアナ・ハワイアンズ」のリーダーとして有名な山口軍一氏(日本ウクレレ協会特別会員)が大切に保管していた「ウクレレの神様」ハーブ・オオタ氏(オータサン)28歳の頃(1962年)のソロ・テープがCDになり、1998年1月21日にサンブレイン(販売:パイオニアLDC)から発売されました。

 発売早々からウクレレ・ファンの間で大変な話題となっているようですので、CDのライナーノートには書かれていない部分を山口氏およびオータサンのマネージャーであるハワイ在住のミチコ・ウラタさん(ハワイ移民の間で歌い継がれてきた労働歌の「ホレホレ節」研究で有名なハリー・ウラタ氏の夫人)そしてCDの製作者である中村氏からうかがい、以下にご紹介いたします。

 朝鮮戦争の際、米国海兵隊司令官付き通訳として1953年から11年間日本や朝鮮に勤務していたオータサンは、山口軍一氏、故灰田有紀彦氏(日本ウクレレ協会創設者)そしてハワイアン音楽評論家の故早津敏彦氏達と親交を深めておりました。この間、灰田氏の紹介で彼の初アルバム「南の夜のウクレレ・ムード」をレコーディングしました。

 日本滞在中に

 これらの3アルバム(いずれも25センチLP)を録音したのち、ハワイに戻り大ヒット曲「鈴懸の径」(英語の題名はナント「スシ」!)でプロ演奏家の仲間入りをし、現在に至っています。

 「ウクレレ・ラテン・ムード」のジャケットに載っていた、若き日のオータサンが愛器である、
マーチンの3型を持っているという貴重な写真をここにご紹介いたします。なかなかハンサムでしょう!ミチコ・ウラタさんのお話によると、オータサンは当時のことを思い出しながら恥ずかしそうに
「ボク、
 皆からハンサムって呼ばれていたの」

と言ったとか。

 「スシ」などというタイトルの付いた所以は、その前年にあの坂本九ちゃんの「上を向いて歩こう」が「スキヤキ」と題名を変えて米国のヒットパレードを席捲したことにあります。アメリカにドジョウが居るかどうかは知りませんが、ひとつヒットするとそれに便乗して「2匹め、3匹めのドジョウ」を狙うのは洋の東西を問わず、今も昔も変わりません。臆面も無くドロンズを持ち出した日テレを非難などできないですよネ!

 今回リリースされたCDはオータサンがハワイに帰る前の1962年に収録された演奏なので、見方によっては彼のセカンド・アルバムということもできます。「ウクレレが桁外れに上手いあのオータサンの演奏を聴きにこないか」との山口氏の呼びかけで、早津氏をはじめとしてウクレレに興味を持つ友人たちが1962年末にポリドールの第一スタジオに集合しました。

 今でもそうですが、(どこにでも居るような)ボソボソと日本語をしゃべる日系ハワイ人の青年オータサンがひとたびウクレレを弾きはじめるや、スタジオに集まった連中はビックリし、あっけにとられ、しまいには笑いだしてしまいました。なにしろオータサンの使っているウクレレは何の変哲もないマーチンのスタンダード・ウクレレなのに、出てくる音はピアノであり、ハープでありオーケストラとさえ言えるほど厚みがあるものでしたから。

 オータサンの実演を見た方はご存じと思いますが、右手の拇指の爪を長く伸ばしてギターのピックのように弾くテクニック、さらにはその爪によるトレモロ、拇指と人差し指で交互に弦を弾くトレモロそしてメロディーを弾きながら伴奏のコードも弾くという、当時の(現在でも)ウクレレのイメージとは全く異なった演奏法、そして今でこそ第4弦(オータサンは第1弦と呼んでいます)のG音を1オクターブ下げたローGチューニングのウクレレを用いることで音域を拡大することが可能ですが、当時はそのような調弦のウクレレがないにもかかわらず、さりげなく広い音域を弾きこなす等、ウクレレを徹底的に研究した上で練習を重ねた成果は35年以上たった今日でもオータサンをウクレレ奏者の最高峰に位置づける背景となっています。

 レコード作成の為というよりは、この青年の素晴らしさを記録する目的で10インチのオープン・リール・テープを回し続けたため、このCDにはオータサンの声はもとより取り囲んだ面々の声、そしてオータサン自身の足でリズムを踏む音などが至るところに入っています。
 オータサンは10インチ・テープ収録時間いっぱいの2時間のあいだというもの、脇に置いたジンを皆と回し飲みしながら次から次へと弾き続けました。

このテープをCD化するという企画が持ち込まれたときの
オータサンの返事がふるっています。

「こんな演奏を出されるとボク困るよ。
だって今これと同じに弾いてくれってリクエストされても
指が動かないもの!」

 つまりこのテープの内容はそれだけウクレレの極限に挑戦した演奏であるということを物語っています。

 2時間の録音からCD用として採用する曲を選ぶのには大変な苦労がありました。なにしろ前述のようにレコード作成を前提としていないため、随所に雑談やオータサン自身の声が入っています。かなりこれらをカットしてはいますが、演奏中の場合は切りようがありません。たとえば1曲目のスターダストではヴァースを弾きながら「もういれて(録音して)いるの?」と入っているのでカットすることができません。まあオータサンの若い頃の肉声という貴重な資料であると思って聴いていただければ幸いです。

 今まで発売されたレコードやCDに収録されているオータサンの演奏は、そのほとんどが「伴奏付き」です。したがってたとえそれらと同じタイトルだとしてもこの2時間のテープに収録された演奏は演奏方法が違っているのですが、その考え方で選んでいくと一枚のCDに収まらなくなるので、できるだけ「珍しい」曲中心に選曲した結果、私たちにはあまりお馴染みではない曲が並びました。

 さすがというか当然というかCDの解説をお願いしたジャズ・シンガーの笈田敏夫氏はこれらの「珍しい」曲をみなご存じでした。もっとも2曲目のハワイアン音楽の名作ナニ・ワイメアは例外で、この曲だけはさしもの笈田さんもジャズの曲ではないため「知らない!」と兜を脱いだそうです。

 このCDに収録された曲順はほぼ当日の演奏の順になっています。よくお聴きいただくと分かるように、オータサンがだんだんとジンで酔っ払っていく様子が演奏に現われてきます。20曲目のティコ・ティコは実際にも最後に近い演奏で、ミチコさんとしてはカットしたかったそうですが、山口氏のご希望で残した由。私たちファンにとってはたとえ「完璧」でなくても、当時の演奏に接することができることは大変有りがたいことと言えます。

 この演奏テープの存在は一部で伝説としてささやかれていましたが、今回山口氏とオータサンが話し合いCD化できたということは、我が国だけでなく世界のウクレレ愛好家、そしてオータサン・ファンにとっての福音と言えるのではないでしょうか。

 このCDはまず日本で発売し、反響を見てからハワイを皮切りに米国、欧州と拡大していくかも知れません。ただハワイの人たちはオータサンのアルバムがハワイアン・ナンバー中心でなければ購入しないとのことで、たとえ貴重な記録だとしてもオータサンのファン以外に売れる見込みがないという問題が有りそうです。


CDについての詳細:

  • ディスク・タイトル:ハーブ・オオタ/レジェンダリー・ウクレレ
  • ディスク番号:SCCA−5
  • 製作者:中村匡伸(サンブレイン社)
  • 販売会社:パイオニアLDC
  • 発売日:1998年1月21日 
  • 定価:2,300円(税込み)
    ==========収録曲タイトル==========
    1.スターダスト 11.ミュージック・マエストロ・プリーズ〜
               アウト・オブ・ノーホエア 
    2.ナニ・ワイメア  12.リトル・ロック・ゲット・アウェイ〜
                    ジョセフィーヌ 
    3.インヴィテーション 13.インタメッソオ
    4.マラゲーニャ 14.メディテーション
    5.さくら 15.月の光 
    6.剣の舞  16.恋の気分で
    7.バット・ビューティフル 17.ラバー
    8.ラ・クンパルシータ 18.ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス
    9.チワワのヘスシータ 19.10番街の殺人
    10.トロピカル 20.ティコ・ティコ


    笈田さんには到底及びませんが、私の分かる範囲で曲の解説を付記します。

    もしもっとご存じの方が居られましたら訂正いたしますので
    お知らせ頂ければ幸いです


    1. スターダスト(D)
     1927年にホーギー・カーマイケルが作曲したスタンダード。原曲のキーはC#というウクレレでは弾きにくい調子なので、オータサンは半音高くしたDで弾いています。一曲めからオータサンの多彩な演奏テクニックが次々と登場するところをお楽しみください。

    2.ナニ・ワイメア(D)
     パラダイス・セレネイダースのリーダーであり、スチール・ギター奏者としても有名であったサム・コキ(クレジットのソムは間違い)が1946年に作ったハワイアンの名曲。ナインスの和音を使うモダンな曲のため古くはインビテイションズから現代のパロロ(昨年解散したカアウ・クレイター・ボーイズのウクレレ奏者トロイ・フェルナンデスを中心としたトリオ)までと多くのグループに愛されています。ハワイ島ワイメアにある世界最大(当時)の私有牧場の三代目当主サミュエル(ハワイ語ではカムエラとなります)・パーカーの住むワイメア村を歌ったもの。

    3.インヴィテーション(Gm)
     ジャズのスタンダード曲で、1962年にバイブのミルト・ジャクソン・セクステットが発表したアルバム「インビテーション」(リバーサイド 9446)のタイトル・ソングとしても使われています。このアルバムには「ステラ・バイ・スターライト」等オータサン好みの曲が収録されており、メンバーもピアノのトミー・フラナガンやベースのロン・カーターという名手が参加しているので機会があったら是非聴きたい盤です。テナーのジョー・ヘンダーソンのアルバム「イン・パーシュート・オブ・ブラックネス」(マイルストーン)にもこの曲が収録されているとのことです。
    4.マラゲーニャ(Gm)
     エルネスト・レクオーナがアンダルシア組曲中の一曲として1928年に作曲した名曲。オータサンの日本公演でも定番として演奏されるので、おなじみの方も多いと思います。マラガ地方の女性をマラゲーニャと呼びますが、トリオ・ロス・パンチョスの唄で有名なラ・マラゲーニャとは全く別の曲です。

    (こちらはエルピディオ・ラピデスの作品)

    5.さくら(Gm)
     誰もが知っているこの日本古謡(正式には「さくらさくら」)をオータサンはお琴の演奏に似せて弾いて見せました。何かの紹介記事にオータサンが宮城道雄に師事したようなことが書かれていたように記憶していますが、真偽のほどは不明です。ただオータサンが自分のルーツである日本の曲を大切にしている様子は、普段のステージからもうかがえるように思えます。

    6.剣の舞(Em)
     最初に登場するクラシック曲はアルメニアの作曲家ハチャトリアンが1942年に発表したバレエ組曲「ガイーヌ」から「剣の舞い」です。ガイーヌというのは役人の妻の名前で、夫が不正を働いていることを告発したために夫から命を狙われます。彼女を守って夫を葬ってくれた警備隊長とのちに結婚しますが、その祝宴で奏でられるのがこの曲です。オータサンはポピュラーとかクラシックの区別なく演奏するので、この曲だけでなく沢山のクラシック音楽に親しめます。近々バッハの名曲をウクレレで演奏したアルバムも発売されます。
    ご期待ください。

    7.バット・ビューティフル(D)
     1947年にパラマウント映画Road to Rio(日本題「南米珍道中」)の主題歌としてジェームス(ジミー)・ヴァン・ホイゼンが作曲したもの。オータサンはコード奏法と単音弾きを巧みに混ぜて曲想を盛り上げています。

    8.ラ・クンパルシータ(Em)
     アルゼンチン・タンゴの名曲で米国へ渡ってストレンジ・センセイションなどという奇妙なタイトルまで付けられたジェラルド・ロドリゲス1915年作のこの曲を、オータサンはかなり省略して演奏しています。「二つのギター」ふうのイントロのあと、15小節である筈のメロディーを8小節にしたり、繰り返しを省いて弾いているのです。それでもタンゴの特徴である歯切れの良さをウクレレで弾くところはやっぱりオータサンならではと言えましょう。

    9.チワワのヘスシータ(E)
     ヘスシータという女性を踊りに連れ出そうと思っている若者が彼女にさかんに呼びかけているというメキシコ民謡。マリアッチと呼ばれるメキシコ独特の音楽で演奏されているアルバム「Mariachi Oro Juvenil」(Ediciones Pentagrama PCD-309)−−輸入盤タイトル「麗しのわがメヒコ」(テイクオフ TKF-2902)には「Jesusita」というタイトルでしかも「作者不詳」となっていました。添付されている歌詞のどこを見ても「チワワ」という文字が入っていません。フランス製と思われる世界の旅シリーズCD「Escale au Mexique」(PlaysoundPS-66502)−−輸入盤タイトル「メキシコ」(東京エムプレス)にはたしかに「Jesusita in Chihuahua」となっているのですが、同一の曲なのでしょうか。オータサンが子供の頃ザビア・クガーの演奏で覚えたそうなので、その演奏記録を探したのですが見つかっていません。
    10.トロピカル(A)
     モートン・グールドの作品で、正式なタイトルはThe Tropicalです。オータサンは弦を弾きながらウクレレの指板や胴をリズムとして叩くという離れ業をやってのけています。ウクレレ演奏に興味のある方はいちど挑戦してみてはいかがでしょう?

    11.ミュージック・マエストロ・プリーズ〜アウト・オブ・ノーホエア(D)
     最初の曲はMusic,Maestro,Please!日本題「音楽をどうぞ」というアリー・ウルーベル1939年の作品。メドレーで続く曲は正式にはYou Came Along From Out Of Nowhereという長いタイトルを持つ1931年のパラマウント映画Dude Ranchの主題歌としてジョニー・グリーンが作曲したもの。あまりにも長いタイトルなので、普通はうしろ半分(場合によっては前半分)で呼びます。日本の題名も「どこからともなく」とか「いずこともなく」という頼りないタイトルが付けられています。肝心の演奏ですが、2音の和音をメロディーとして弾く、これまたハイ・テクニックの連続です。

    12.リトル・ロック・ゲット・アウェイ〜ジョセフィーヌ(D)
     またまたメドレーです。最初の曲はジョー・サリヴァンが1938年に作曲した(クレジットのもうひとりカール・シグマンは作詞者)日本題「つまらぬことは気にしないで」という曲。次は英語読みで「ジョセフィン」のほうが近い1936年ウェイン・キングとバーク・ビバンス(ガス・カーンは作詞)の共同作品。こんどはオータサンのミュート奏法とチョーキングもご披露されますので、お楽しみ頂けると思います。オータサンが子どもの頃の記憶で演奏しているのでこの楽しい曲を弾きおえて「多分こんな具合と思うけど、よく知らないヨ」と英語で言っています。

    13.インタメッソォ(A)
     まずタイトルの「インタメッソォ」は「インタメッツォ」の間違いですが、この曲の正式タイトルはA Love Storyといい、ユナイト映画Intermezzo日本題「別離」主題歌としてハインツ・プロボストが1939年に作曲しました。勿論、後年の映画Love Story(日本題「ある愛の詩」)とは無関係です。オータサンはトレモロで美しく弾くとともに、メロディーのバックにまでトレモロでコードを付けています。

    14.メディテーション(G)
     正式な日本題は「タイスの瞑想曲」といい、フランスの作曲家マスネーがアナトール・フランスの小説にもとづいて1894年に発表した歌劇「タイス」の第2幕で演奏される間奏曲を指します。従ってクレジットの「タイス作曲」というのは間違いです。物語はタイスという名の娼婦に町中の男が毒されていたアレキサンドリアのとある町で、修道士のアタナエルが彼女を入信することで改心させ町を救ったが、彼女の死に際して彼女を愛するようになったため彼女の魂は天国に、そして彼の魂は地獄へ行ってしまうというもの。
     オリジナルはよくバイオリン・ソロで演奏される小品ですが、オータサンはトレモロを駆使して音の持続をはかっています。

    15.月の光(D)
     続いて同じくフランスノ作曲家ドビュッシーが1890年に発表した小品4曲 からなる「ベルガマスク組曲」から第2曲「月の光」です。この曲は単独でも 演奏される名曲で、この録音から35年経った現在でもオータサンの重要なレパートリーとなっています。ロバート・マックスウェルのハープに匹敵する厚みを持った演奏は大変すばらしいものです。

    16.恋の気分で(G)
     一転して軽い気分の曲になりました。1935年パラマウント映画Every Night at Eightの主題歌としてジミー・マクヒューが作曲した「恋の気分で」です。オータサンはメロディーを弾きながら伴奏のコードもしっかりと弾いていて、まるでデュエットをしているようです。

    17.ラヴァー(G)
     オスカ・ハマーシュタイン・ジュニアとコンビを組む前のミュージカル王リチャード・ロジャースが1932年のパラマウント映画Love Me Tonight主題歌として作曲したもの。この曲にだけ「ペリー・ボトキン・ジュニア(シニアの間違い)に捧げる」と書いてあるのは、オータサンが子どもの頃、ウクレレを弾く人は誰でもペリーの演奏を真似ていたので、ここではそれを思い出して弾いて見せたからなのです。すなわちこのスタイルだけはオータサンのアレンジとは違っています。
     ご参考までに、ウォルター・クラーク監修の「ビーチ・ボーイ・パーティー」というアルバムにもペリーのスタイルで「ラバー」が演奏されています。ペリー・シニアは「ナディア」の作者として、またジュニアは1950年代にヒットした「殺し屋のテーマ」The Executioner's Themeの演奏で知られています。

    18.ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス(B)
     ビギン・ザ・ビギンを始めとしてたくさんのポピュラー曲の作曲者コール・ポーターがJubileeの主題歌として1935年に作詞・作曲したもので、日本題は英語のまま「ジャスト・ワン・ノブ・ゾーズ・シングス」と呼ばれています。オータサンは早いストロークのコード奏法で、この曲を軽快に演奏しています。

    19.10番街の殺人(B)
     17曲めと同じリチャード・ロジャースとローレンツ・ハート(詞)のコンビで作った1936年のミュージカルOn Your Toesの主題歌。エレキ・グループのベンチャーズが演奏し、1964年のヒット・チャートにもランクされて日本でもお馴染みになった曲です。
     もともとピアノで演奏される曲で、オータサンはこの曲を何とかマスターしたいと12歳の頃から16歳頃まで研究していたにもかかわらず、大変難しくてどうやっても弾けませんでしたが、なんと19歳のときにちょっとしたきっかけで弾けるようになったそうです。新曲の楽譜を貰って2〜3回弾いてみて「とても手に負えない」などと言って投げ出してしまう自分を省みて、つくづく修行の足らなさを感じました。

    20.ティコ・ティコ(Em)
     原タイトルはポルトガル語でTico-Tico No Fub (Tico-Tico No Fuba)といい、1941年にツェキーナ(クレジットのZepuinhaはZequinhaの間違い)・アブリューによって作られ、1943年のRKO・ディズニー映画「ラテン・アメリカの旅」SaludosAmigosの主題歌として使われました。この広い音域を持った曲をオータサンが何の苦も無く演奏しているのには只々感嘆するばかりです。


     

    以上、タイトルのうしろに付けたキー(調子)でおわかり頂けるように、私たちが

    最も弾きやすいCのキーが全くありません。別にオータサンがわざと難しいキーを

    選んで弾いている訳ではなく、この録音に使ったウクレレの調弦が当時一般的であ

    ったDチューニングすなわちA−D−F#−Bになっていただけに過ぎません。

    もしこのCDからCチューニングのウクレレでオータサンの音を採る場合は、各自

    のウクレレを思い切って1音高いDチューニングに変えるか、市販のピッチ(音程)

    の変えられるテープレコーダーを使って1音下げるのがいいのではないでしょうか。

       日本ウクレレ協会 小林正巳(JASRAC会員)


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