CD写真

 

ノヘラニ・シプリアーノ

「ブルー・ハワイアン・クリスマス」

レイ・レコードLEIR-0036

CYPRIANO CPI-1000 Nohelani Cypriano
Blue Hawaiian Christmas



【 解 説 】

ベテラン女性歌手「ノヘ」

 ノヘラニ・シプリアーノ(愛称ノヘ)は20年を越える歌手歴をもつハワイのコンテンポラリー・シンガーです。有名なハワイのレコード大賞であるナー・ホークー・ハノハノ・アウォードでは、1980年度にアルバム「ノヘラニ」で女性歌手賞と現代アルバム賞というふたつの大賞を獲得し、その後も1983年度の現代アルバム賞と1992年度の女性歌手賞も受賞するという息の長い歌手生活を送ってきました。
 この「ブルー・ハワイアン・クリスマス」というアルバムも、惜しくも大賞は逃しましたが、1997年度の女性歌手賞とクリスマス・アルバム賞の2部門にノミネートされた評判の高いアルバムですので、十分にお楽しみいただけると思います。

パートナー デニスとの二人三脚

 今回のアルバムでキーボード、アレンジさらには「その他全ての楽器」まで担当しているデニス・グローイはノヘのデビュー以来のパートナーで、ふたりは1982年に結婚し、一男をもうけています。もともとノヘはデニスの加わっていたロック・グループ「ゴールデン・スロート」のリード・ボーカルでしたが、ちょうどシュープリームスから独立したダイアナ・ロスのように、彼女もグループから独立し、一流の歌手への道を歩き続けました。これに対し、デニスのほうはグループが解散したこともあって、それ以後は彼女のよき理解者であるとともにアレンジ等で盛り立てる役に徹してきました。

 余談ですが、アルバムの印刷物には主役から家族やサポートしてくれた友人達への献辞が書かれるのが普通ですのに、このアルバムでは彼に対する部分が脱落しています。筆者の入手した印刷物のみの手違いかも知れませんが、ミステリーです。


【  曲目解説 】 

赤鼻のトナカイ(Rudorf The Red-Nosed Reindeer) :「ハワイにもトナカイがいるの?」「いるョ!」「名前は?」「ルドルフだョ!」などというユニークな会話でスタートするおなじみの曲。光る鼻を持っていたため除け者にされていたトナカイのルドルフがサンタに見いだされて活躍するというお話しです。曲の途中で演奏されるウクレレのソロはルドルフの鼻ではありませんがキラッと光ります。

聖しこの夜 (Silent Night) : この曲にはスペシャル・ゲストが登場します。その人はノヘのお母さんレイナアラで、ノヘとのデュエットではハワイ語に訳された「聖しこの夜」(ハワイ語では「ポー・ライ・エ」といいます)の低音部を唄っています。              

貴方にメリー・クリスマス (Have Yourself A Merry Christmas) : 今までの2曲はノヘ自身のダブル・レコーディングを含めたバック・ボーカルがありましたが、この曲は完全にノヘのソロとなっています。クリスマス・ツリーの前で向かい合った相手に「どう?あなたは素晴らしいクリスマスを迎えましたか?」とやさしく尋ねている感じがよく出ています。

ホワイト・クリスマス(White Christmas) : 1954年に封切られたビング・クロスビー主演の同名映画の主題歌として知られていますが、それ以前にも2度映画主題歌として使われています。ハワイではマウナ・ケアにでも登らないと雪にはお目にかかれませんが、そんな雪に囲まれたクリスマス風景を、ノヘはさらっと唄っています。

銀色の鐘(Silver Bells) : クリスマス・シーズンになるとアラ・モアナ・ショッピング・センターの屋上に巨大なサンタクロースが出現します。この曲はニューヨークのような米本土の大都会の、ダウンタウンにおけるクリスマスの雑踏と、聞こえてくる鐘の音を唄っているのですが、ハワイの人達でしたら真っ先にアラ・モアナのサンタを思い浮かべるのではないでしょうか。

クリスマス・ソング(The Christmas Song) : 有名な女性歌手メル・トーメが作詞をした曲。クリスマスにはおいしそうな匂いがただよい、美しいクリスマス・キャロルが聞こえる。サンタがいっぱいオモチャを積んだそりでやって来る。子供も大人もみんな童心にかえって楽しんでいる。そういう人たちに「メリー・クリスマス」と呼びかけたい。

ブルー・ハワイアン・クリスマス(Blue Hawaiian Christmas) : このアルバムのタイトル・ソングでノヘ自身の作品です。「ブルー・クリスマス」という曲がありますが、ノヘの作品はこれのハワイ版と言ってもよいでしょう。いずれの場合も「ブルー」は「淋しい」という意味で、「あなたのいないクリスマスがとても淋しい」と唄っています。

ウィンター・ワンダーランド/ジングル・ベルロック (Winter Wonderland/Jingle Bell Rock) : 次の曲は雪に覆われた世界を唄った曲のメドレーで、ハワイには縁がない風景かも知れません。ウィンター・ワンダーランドは雪がきらきら輝いている夜、そりの鈴の音をききながら歩く楽しさを唄い、ジングル・ベル・ロックは雪の降る中のそり遊びの楽しさを唄っています。

メリー・クリスマス・ダーリン(Merry Christmas Darling) : この曲も「あなたのいないクリスマス」を唄っています。先ほどの「ブルー・ハワイアン・クリスマス」もそうでしたが、「淋しい」にもかかわらず明るい雰囲気を持った曲と言えます。 クリスマス・ツリーの明かりに願いを込めて、特別なあなたに「メリー・クリスマス」を言います。

貴方にも聞こえた?(Do You Hear What I Hear?) : 10数年前に「ウィー・アー・ザ・ワールド」という曲が登場しましたが、この曲はそれに似た荘厳さを持った曲です。寒さに震える羊飼いの少年が羊と、そしてキリストと交わした会話について唄っています。

クリスマス・メドレー(Christmas Medley) : ディスコ・ビートにのって7曲のクリスマス・ソングがメドレーで歌われます。最初は「もろ人こぞりて」で、キリストの誕生をたたえた曲、続いては「広間を飾ろう」というクリスマスを迎える浮き浮きとした気分を唄った曲です。3曲目は「神の御子は今宵しも」というこれもキリスト誕生をたたえた曲です。次はご存じの「ジングル・ベル」で、一頭だてのそり遊びを唄っています。5曲目は「天使の歌声を」で、誕生したキリストを祝って唄う天使の歌声をお聴きなさいという曲。次は「ファースト・ノエル」で、キリスト誕生を祝った羊飼いの唄、そして最後の曲は「貴方にメリー・クリスマスを」とこのアルバムを聴いている人達みんなへのメッセージを込めて唄っています。

マット・コバヤシ 


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