『スタッフ』
フュージョンの代表的バンド

「スタッフ」といえば、フュージョンというジャンルの屈指の名バンドです。ライブアルバムを含めて、
4枚のオリジナルアルバムを残しましたが、どれもが、ファンキーで、グルービーで、疾走感のある、
素晴らしいアルバムばかりです。とりわけ、今回、ご紹介する、ファーストアルバムとセカンドアルバム
は、白眉の出来です。

「スタッフ」の特徴は、フュージョンの花形楽器ともいうべき、ホーン(トランペットとかサックス)が
無く、リズムセクションといわれる、キーボード・ベース・ドラム・ギターという構成で、うねるような
ファンキー感と、演歌のこぶしの様なグルービー感が、最大の特徴です。それらが、8ビートのスイングに
乗って、バリバリのスタジオ・ミュージシャン系が演りまくるわけですから、それはもう、凄まじくも美し
いファンクの嵐です。

とりわけ、キーボードのリチャード・ティーと、ドラムのスティーブ・ガッドが素晴らしい演奏を繰り広げ
ており、この2人が「スタッフ」の要ともいうべき役割を果たしています。
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STUFF / STUFF!
(WPCP-3541)
1.FOOTS
2.MY SWEETNESS
3.(DO YOU)WANT SOME OF THIS
4.LOKKING FOR THE JUICE
5.REFLECTIONS OF DIVINE LOVE
6.HOW LONG WILL IT LAST
7.SUN SONG
8.HAPPY FARMS
9.DIXIE / UP ON THE ROOF
フュージョンの名盤中の名盤。このバンド、そうそうたるメンバーだった。今までのジャズには決してない、
8ビート基調のスインギーなビートを叩き出すスティーブ・ガッドのドラムに乗って、クリストファー・パー
カーのパーカッションが、そのビートに彩りを添え、こてこてにメロウで、あまりにファンキーな、リチャー
ド・ティーのキーボードが圧倒的な迫力で飛翔し、コーネル・デュプリーがカラリと、エリック・ゲイルがウェ
ットにギターを泣かせ、ゴードン・エドワーズのベースがブンブンと迫る。

そう、ここまできてお判りのとおり、このバンドにはホーンが無い。ジャズの語りの主役となるサックスやトラ
ンペットが無い。いわゆるジャズの世界のリズムセクションと呼ばれる楽器だけで構成されているのだ。
つまりが、このリズムセクションが、圧倒的な馬鹿テクをもって、うねりまくるのだ。しかも、あくまで洒脱に、
大人の世界で「うねる」のだ。

その「うねり」の主役が、リチャード・ティーのフェンダーローズ。恐らく、フュージョンのジャンルの中で
フェンダーローズを弾かせたら、このティーの右に出る者はいないだろう。それほど、フェンダーローズ的な
音を出すのだ。フェンダーローズの響きが好きな人は一度、聴いてみて下さい。「フェンダーローズはこれでな
きゃ」と思われること請け合い。そのティーのバックで、もう一人の「うねり」の主役が、ドラムのスティーブ・
ガッド。8ビートでスイングするドラマーは当時は、このガッド一人だった。今では、ガッドのフォロアーが
何人か出てきて、ポピュラーになったが、当時はこのガッドのドラミングは新鮮だった。8ビートといえばロック
が思い浮かぶが、ガッドのドラミングは、あくまでジャズのイディオムを下地にした8ビートなのだ。スイング
しているのだ。

ティーとガッドこの2人を中心に、今でもCDプレイヤーのスタートスイッチを押す毎に、いまでも新鮮に
スタッフは「うねりまくる」のだ。

STUFF / MORE STUFF
(WPCP-3542)
1.THIS ONE'S FOR YOU
2.AND HERE YOU ARE
3.SUBWAY
4.LOVE OF MINE
5.HONEY CORAL ROCK
6.SOMETIMES BUBBA GETS DOWN
7.AS
8.NEED SOMEBODY
「うねりまくり」のスタッフの2枚目のアルバム。このアルバムでは、かなりソウルっぽく、ファンキーな
色合いが全面に出ている。ひとつ間違えば、「ポップな軽音楽バンド」と言われそうな、それでいて、
スタッフというバンドは、やはり、ただ者ではなく、その馬鹿テクと「うねり」で、きっちりとフュージョン
させてしまっているところが見事。

このアルバムでも、やはり、主役は、キーボードのリチャード・ティーとドラムのスティーブ・ガッドで、
このアルバムの全曲において、この2人は大活躍している。とりわけ、キーボードのティーは、歌まで披露し
ちゃっているのだ。

お世辞にもうまいとはいえないが、味のあるティーおじさんのボーカル。まあ、ラストの「ニード・サムボ
ディ」1曲だけで良かったですな。まあ、良しとしよう。おっと、ベースのゴードン・エドワーズも歌ってい
るのを忘れていた。4曲目の「LOVE OF MINE」。これもお世辞にもうまいとはいえんが、味のあるボーカル
で、まあまあ聴けるから良しとしよう。遡って、1曲目のティーのピアノを聴いてみると、ティーって、
ピアノもうねりまくっている。フェンダーローズのように、朗々とねばり、うねるのだ。どうやって弾いて
いるのかしらん。実に、ここちよく「ねばって」「うねって」いるのだ。

それと、このアルバムの最大のハイライトであり、フュージョンの名演のひとつであるのが、7曲目の「AS」
だ。この曲は、スティービー・ワンダーの名曲であるが、この曲こそが、スタッフというバンドの特徴と良さを
最大に引き出している。「うねりまくり」、「ねばり」、「ファンキー」にスイングする、見事な「スタッフ」
がここにある。

しかし、このスタッフというバンドの再結成はもう、無い。なぜなら、キーボードのリチャード・ティーと
ギターのエリック・ゲイルは、すでに他界してしまっているからだ。今ではCDでしか「うねりまくり」の
スタッフを聴くことができないのは、残念なことだ。

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