趣旨:今回の展示では、これまで男性の仕事だと思われていた領域に進出していった女性
たちの働く姿を紹介しています。杜氏、運転士、消防士、船頭など職種は実に多様です。
かつて私自身が土木業界で技術者をしていた頃、トンネルの工事現場に女性が入れないと
いう不文律がありました。土木技術者の女性たちでネットワークをつくったのもその頃
です。私たちは交流と連携を深めながら、技術者として地道に実力をつけることを目指し、
建設省(当時)に在籍していた仲間が、ついに女性として初めてトンネル工事の現場監督
になりました。
私はその後、技術者をやめて大学院に進学し、公共事業のあり方を研究の対象にする
土木計画学を専攻しました。素晴らしい公共空間の創出には、地域の人たちの開発事業へ
の高い参加意識が必要だと考えています。成熟期を迎えつつある日本では、一人ひとりが
「男として女として」よりも「個人として」成熟していくことが何より大切なのではない
でしょうか。その前に、さまざまな職種のなかから、個人が自分の能力に応じて、それぞ
れ適性に合う仕事を選択できるような、そんな社会になっていってほしいと切に願ってい
ます。
展示物:各地のトンネルの貫通石。
パネル:かつては男性の仕事といわれた杜氏や
鵜飼に進出している女性の働く姿。
これは「女性と仕事の未来館」の第3回展示企画(公募)に入選し、
2002年12月から2003年3月まで展示されたものの内容です。
展示の紹介は未来館ホームページにもあります。
『未・来.通・信』の英語版『CAWW』にも紹介されました。
英文はこちらにあります。
この展示をベースに取材、文献調査を重ねて執筆したのが
『女人禁制にサヨナラを 今どきのしごと事情』(行研)です。