初めて渡ったときは気分が悪くなり
しばらく道の隅で休んでいました
それから何年も そこを渡るたびに
気持ちを使い果たす程に疲れました
おそらく人に酔ったみたいなことです
おそろしく沢山な敵ばかりでした
私には向いていないと思いました

信号のない島に行ったりしました
誰も来ない道は 道と呼べませんでした
3つ隣の 中くらいの島に着いて
信号の灯に喜んだのは確かでした
とはいえ街に戻ると めまいがしました
あまりにも複雑な競い合いでした
私には向いていないと思いました

私には向いていない その交差点を
やむなく めまいしながら何年も渡り
ほんとに偶然に気が付いたんです
みんななぜ楽々(らくらく)と渡っているのか
人と違うほうへ出ようとするから
人とぶつかるばかりだったんです
人の後ろに付けばいいんだと知りました
スクランブル交差点では 渡り方にコツが要(い)る

それでも時折 意外な所へ
着いてしまったりもするので
人の行く先を予測するのが大事(だいじ)です
スクランブル交差点では 渡り方にコツが要(い)る
スクランブル交差点では 渡り方に・・・

−音楽のページ−

直線上に配置
〜スクランブル交差点の渡り方 中島みゆき〜

          スクランブル交差点の渡り方
                                      作詞・作曲:中島みゆき

昨年11月に発売されたばかりの最新アルバム「常夜灯」に収録されている1曲です。私が最初に一通り聴いて、一番印象に残ったのがこのうた。田舎から都会に出てきた女の娘がイメージされますが、昨年横浜の方に何度か出張する機会があり、名古屋や横浜駅のコンコースで歩きながら、このうたを思い出してしまいました。いまは慣れましたが、中高学生の頃は近郊の商業市街地に出かけては「人酔い」して、帰宅後気分が悪くなっていました。そして最大の人酔いは、大学受験で某都内の私立大学に受験に出かけたときのこと。翌日の受験を控え、”下見”のためホテルと大学の間を往復した私は、部屋に戻ると気持ちが悪く夕飯も食べずにベッドへ入り込む始末でした。「受かってもこんな所には住めない!」と思ったものです。(”幸い”?落ちました・・・・)。そんな都会の雑踏とは別に、「世を渡る」姿を重ねた方もおられるかと思います。この女の娘がその後どうなったのか気になりますが、「他人の後をついてばかりでいいの?」。そんな言葉を突きつけられているようにも思います。