THE GIRL FELL A PREY TO KUCHIBIRUGE


作・丸呑みすと様


 

「たすけ・・・」
ドルゲ魔人・クチビルゲの口が閉じられ、悲鳴もそこで断ち切られた。
獲物はそのまま胃の中へ滑り落ち、溶かされるだけだ。
今日の獲物はちょっと遊び人っぽい女子高生。膝上よりも股下で測ったほうがよさそうな丈のスカートから伸びた腿 や脚がそそる。
腹の中で必死に抵抗する感触を楽しみながら、クチビルゲは、初めて満足した獲物も女子高生だったことを思い出していた。
 
魔人ドルゲにより生を受けたクチビルゲの役目は、大量殺人の為の殺人スモッグの原料となる腐食へドロの精製。そしてヘドロの原料に最適な人間を捕食することだ。
早速、何人もの人間が捕らえられ、クチビルゲの餌食となったが、精製されたヘドロの粘度や毒性はドルゲを満足させるものではなかった。
また、クチビルゲも餌には満足しておらず、呑み込んだ獲物もろくに消化せずに吐き出すことが続いた。
「新たな実験体を連れてくるのだ」
ドルゲ洞に命令が響いた。
 
「じゃあ、また明日」
同じ学校の仲間からはなれて、吉岡秋絵は手を振った。
彼女は高校2年生。
あと一月もすれば17歳になる。
卵型の顔の輪郭を包むセミロングの髪は艶やかな黒だ。
白い半袖シャツと紺のチェックのプリーツスカートという制服は、優等生の評判高い秋絵らしくきちんと着こなされていた。
3年引退後のテニス部副部長就任に加え、クラスの学園祭実行委員にも選ばれた秋絵は多忙ながらも、充実した日々を過ごしていた。
(短いようで、すごく長く感じるのかな、学園生活って?)
 
秋絵は公園の近くに差し掛かった。
植え込みの木々は茂りすぎて、中の様子が覗えない。
地域の防犯委員を務める母親が「伐採してもらわないと」と不安がっているところだ。
秋絵は少し小走りで駆け抜けようとした。
そのとき植え込みから何人もの黒ずくめの影が飛び出してきた。
一人が胴を抱えつつ、口をふさぎ。
もう一人はスラリとした脚をかかえあげた。
他のものは路上に散らばった鞄やラケットを拾い集めた。
一団はそのまま植え込みに飛び込むと、カモフラージュされていた、深い穴に飛び込んだ。
秋絵の行方は、その日より絶えた。
 
「いやあ―ッ、来ないでぇ―!!」
絶叫が周囲の岩壁に虚しく反響する。
ここは昼なお暗きドルゲ洞。
悪と恐怖のたゆたう地。
秋絵は必死に逃げようとするが、右の足首につけられた鎖つきの足かせというアンクレットがそれを妨げていた。
「・・・若い娘、食いたい、早く食いたい」
浮かされたように呟きながら、顔全体が巨大な口であるクチビルゲはゆっくりと、歩を進めてきた。
すっかり部屋の片隅へ追い詰められた秋絵は、半狂乱になって手でクチビルゲを打ち据えたが、それは儚い抵抗だった。
クチビルゲの右手がぐいっと秋絵を抱き寄せる。
「嫌、いや―、お母さ―ん」
開かれた大口のなかに秋絵の頭部が納まってしまった。
どこからか出てきたアントマン――秋絵を拉致した黒ずくめだ――が足かせを外した。
秋絵の足が地面から離れた。
スレンダーな女子高生の肢体が呑み込まれていく。
必死に脚をばたつかせる秋絵。短めのスカートが捲れ上がる。
純白のパンティが丸い尻にぴっちり食いこんでいる。
 
秋絵の身体はすっかり呑み込まれてしまった。
必死にもがき、抵抗する女子高生に胃壁の圧迫と消化液が無常にも襲いかかった・・・
やがて、力尽きたテニス部のマドンナの身体は原型をとどめぬまでに消化され、ドス黒いヘドロへとかわってしまった。
 
実験は成功だった。
秋絵を溶かして出来た腐食ヘドロはドルゲ的に極めて上質だった。
なにより、クチビルゲの消化効率も格段に向上していた。
これを機にドルゲはクチビルゲの餌に若い女性を与えることにしたのである。
 
またしても、空腹感がクチビルゲを襲った。
さっき餌食にした女子高生はもうすっかり溶けきっている。(次はOLか、久々に女子大生もいいかな・・・)