ソリュージン溶解注射液

作:J.K様

2001年4月、都内の廃虚ビルの地下室で、今、取引きが始まろうとしていた。新たな兵器開発を進めていた、研究開発K社がこれを完成。今日はその売買価格を決める取引きの日。K社からは3名。共に白い工場服姿の男性で、研究所長(45才)、研究グループ主任(32才)、研究員(28才)。買手側として、航空機など輸出している大手S社から、茶のスーツ姿の社長(62才)と、社長秘書の女性(23才)。女性はさすが社長秘書らしく、美人でスタイルもよく、ブランドもののダークグレーのスーツ・スカートで、スカートの丈はひざ上5センチ程度の、いかにもスーツの似合う秘書。
所長「取引き価格を決める前に(ソリュージン)の威力を見せたい。」
研究員が右手に持っていたジュラルミンケースを開けると、中に200CCの容器に
オレンジ色の溶液が入っており、その横にかなり太い、ピストンの長さ30センチくらい、針の長さ10センチの注射器があった。
主任は両手で注射器に、その溶液を入れ始めた。
所長「この注射は普通の注射の百倍の薬液圧力を受けることになり、
人間は3分以内に体中の組織が壊死を起こし、溶けていくのだ。跡形もなくね。
秘書の女性は、何か恐怖を予感したのか、一、二歩後ずさりした。
所長「秘書さん、あなたは社長の秘書。会社のために名誉ある犠牲者に選ばれたので
すよ。」
秘書「そ、そんなー!いやですうー!」
社長は何も言えなかった。新兵器を発注したのは自分自身だから。秘書は
茶色のハンドバッグを床に落とし、出口へ向かって走った!
コツ、コツ、コツ。。。黒のパンプスのヒール音がこだまする。
しかし、すぐ研究員に腕をつかまれ、元の位置に戻された。
秘書「
いや、いや、いやよー!おねがいですう!助けて、社長!助けてー!
主任は、すでに注射の体制に入っていた。
恐い!。。。注射なんて。。。いやー!
研究員に両腕を押さえられているが、精一杯抵抗しようともがく秘書。首を左右に振り、スーツの襟元が激しく揺れ、スカートの丈が上下する。左右の脚をさかんにバタバタさせている。
カ、カ、カ、カ。。。
パンプスの跳ねるような音。
主任「右足首に打つ。」
腕なら、スーツの袖をまくらないといけないので、露出しているところを選ぶ。研究員は秘書の右足首をパンプスごと床に押さえつけた。
「やめてー!」
秘書の願いもむなしく、主任は右足アキレス腱のすぐ右のところに針を強めに刺した。
「ぷしゅー」
秘書「
ううーん!」秘書の顔がゆがんだ。「痛ーー!!
その瞬間から溶液が少しずつ注入されていった。
「しゅーーー。」
「あうーーー!!くうーー!!」
懸命に堪える秘書。
主任「もう少しだ。」 溶液がなくなった。注射針がゆっくり抜かれた。
注射は終わった。
打たれた部分が赤く腫れ、少し出血している。
「ううーん!ううーん!いたー!」
研究員は秘書の腕を放したが、その瞬間秘書はその場で倒れ込んだ。
無理もない。注射を打たれたところがアキレス腱の近くで、しかも我々男にはわからないが、ヒールのパンプスを履いた状態ではとても痛くてヒール立ちはできないのだろう。
「ううーん!あうーん!」
倒れてから、のたうちまわる秘書、まだ意識があるだけに地獄の苦しみだろう。スーツ、スカートは激しく波立ち、しわができていた。黒いパンプスは両方とも向こうの方へ転がっていった。
(コロ、コロコロ!)
1分くらい過ぎたか、秘書は最後の断末魔の声を上げた。
「ぐえーーー!!」
そして、みるみるうちに
顔の皮膚の色が蒼白くなっていき、そして脚までも蒼白くなったと思うと、何か風船が空気が抜けてしぼんでいくように、頭が、スーツとスカートごと胴体が、そして脚がしぼんでいった。
「じゅる。。。じゅる。。。じゅる。。。」
注射を受けて約3分後、秘書の女性の肉体は完全に消滅したのだった。
後に残ったのは、ダークグレーのスーツとスカート、
両脚の肌色パンスト。 おそらく、スーツのボタンをはずすと、ブラウス、ブラジャーも残っているだろう。不思議と匂いもほとんどない。完全にひとりの人間を消したのだ。
所長「実験は成功だ。これだけきれいに人間を消せる兵器は地球上で初めてだろう。」
社長は、顔をこわばらせながら、「す、すごい!」
しかし何の罪もない、23才の女性が犠牲になったのだ。

いったい、この溶解注射液ソリュージンの売買価格はどのくらいになるのか? 取引きは今、始まろうとしていた。