食欲の化身・クチビルゲ

作:いっぱんじん様

佳子は26歳になるOLで、ある商社に勤めていた。
彼女は美人なほうではなかったが、明るくまじめな性格と、どこか色気を感じさせる顔立ちから男性社員にもすこぶる人気があった。
ある秋の夜、めずらしく残業で帰りが遅くなった佳子はいつものように自宅の最寄りの駅で電車を降りた。その日はいつも使っているバスは終了してしまっていたので、彼女は仕方なく約1km程先にある自宅に向かって歩き出した。
彼女の服装は白いブラウスに、グレーのチェックのやや短めのスカート、生足にソックスをはいていた。日中はまだかなり暖かかったものの、郊外の夜の気温はかなり下がっていて、佳子はバッグから水色のカーディガンを取り出すとブラウスの上から羽織った。
中間あたりまで来ると夜の道には佳子以外に人通りはいなくなったが、彼女の自宅周辺では取りたて事件らしい事も起こったことが無かったため、佳子はあまり心配もせず歩き続けた。
ところが彼女は、先ほどより、クチビルゲの旺盛な食欲を満たすために獲物を探していたアントマンに目を付けられ、密かに尾行されていたのであった。周囲に人がいないのを確認すると、数人のアントマンは目にも留まらぬ早さで彼女を押さえて気絶させ、どこかへ連れ去った。

佳子が目を覚ますと、そこは薄暗い洞窟のようなところで、自分が大きな台のようなものに横たえられている事に気付いた。

「ドルゲ洞へようこそ。」
声がした方へ振り向くと、そこには長く黒い髪に隠れた顔の半分以上が大きくグロテスクな口だけという、とてもこの世のものとは思えない不気味な化け物が立っていた。
彼女は恐ろしさのあまり息をのみ、声も出なかった。

「クチビルゲ様、今夜のお食事はこの女です。」
そばにいたアントマンがそう言うと、クチビルゲは佳子の方へゆっくり歩み寄り始めた。
「いやぁっ!」
自分の身に危険が迫っていることをさとった佳子は台からさっと身を起こすと、そこから逃げようとした。
しかし、彼女の片足には足かせが取り付けられており、佳子はその台から降りることすら出来なかった。クチビルゲは佳子の目の前に立つと
「早く喰いたい...生きたままの娘...。」と何度もつぶやいた。
佳子は半泣きになりながら、
「お願いです!助けて!お願い!」と哀願した。
それを聞いたクチビルゲは「ようし、命だけは助けてやろう。」と言うと佳子を台の上に押し倒し、カーディガンとブラウスの胸元を開き、スカートに手を突っ込んだ。
クチビルゲの口から発する猛烈な口臭が彼女を襲った....数時間後、クチビルゲに何度も陵辱された佳子はぼう然として台の上に座り込んでいた。すっかり性欲を満足させたクチビルゲは、最後に食欲も満たそうと、佳子の足かせを外し、彼女をその大きな口で呑み込もうとし始めた。
「いやっ、うそつき!」と佳子は必死に抵抗したが、クチビルゲは難なく丸呑みにしてしまい、口を閉じてしまった。クチビルゲの胃の中で佳子が苦しがって暴れるほど、強力な消化酵素と、タンパク質を腐敗溶解させるドルゲ菌を多量に含んだ消化液が分泌され、佳子はものすごい悪臭がする消化液にたっぷり浸かってしまい、何度も飲み込んではげしくむせた。30分もすると、佳子の抵抗する最後の力も尽き、彼女は消化液の中に沈んでいった...。

数時間後、完全に消化・分解された佳子はグズグズのヘドロになってしまい、クチビルゲは口に手を入れて消化しきれなかった彼女の骨や、ヘドロの黒色に染まりボロボロになったブラウス、カーディガン、スカートなどを取り出して床へ捨てた。こうしてまた、何の罪もない若い女がドルゲ魔人の犠牲者となってしまったのであった...。