液状化人間・香子

作:pervertさま

統制官、本船はワームホールを抜けて、まもなく目標に接近しまつ。」

「重力場エンジン、出力0.05%に固定しますた。現在、光速の45%でつ。」

「23001、目標をスクリーンにうpしる。」

「ホイ!うpしますた。」

「キ、キタ―――――――――――――――――――――――――――――――ッ!」

「ち、地球タン…。」

「スゴイ美すィー。地球タン、萌えー。」

「わがネトー人のルーツ、遠い過去のふるさと、地球タン。」

「統制官、はるばる来ますた。ハァハァ。」

「23001、漏れたちの任務はわかっているな。」

「はっ、地球の若く美しい♀を選んで拉致し、個体内すべての分子構造をスキャンして、
女体データを収集することでつ。」

「そうだ、23001。わがネトー人の女が原因不明の性特異的プリオン病で死滅し

てから2000ネトーヤーレスが経とうとしている。これまで種の保存のため、味気

ない単為生殖を繰り返してきたが、遺伝情報の劣化で漏れたちの体はもう限界なのだ。」

「わが遠い祖先、地球人の♀のサンプルを元にして、漏れたちとセクース可能な個体を作りまつ。」

「2000ネトーヤーレス近くも、セクースを我慢し過ぎて、ティムポが暴発しそうでつ。」

「あちこちで欲求不満がくすぶっていまつ。」

「これではティムポの暴動も起きかねん罠。」

「ネトーの優秀な科学者たちは腫れたティムポをさすりつつ、抑圧された、セクース
昇華させて科学技術を発展させますた。」

「ネトーの科学は宇宙いちィーーー!」

「やっとのことで、次元航法技術をハケーンしますた。」

「次元航法、ハケーン!ティムポ、全然ダイジョーブ!」

「次元航法の実用化によって、ついに漏れたちは遠い過去の地球に辿りついたのだ。
かし、だ。漏れたちと過去の地球人は、同じ時空の事象面には存在できない。当たり前だ罠。
ワームホールを通過したと言っても、漏れたちの周りには事象の水平面がバリア
のように付着していて、
それを通して過去の事象を眺めているに過ぎないのだ。セクー
スはもちろん、
体に直接触れることすらできないのだ。しかも、漏れたちは解剖学的に
地球人と直接セクースすることができない。
なにせ、漏れたちのティムポは祖先よりは
るかに進化をとげて小型軽量化してしまったからな。
地球の♀のデータをサンプリング
して、漏れたちの時空内において漏れたちの体に適合するハードウエア上に
転写する必
要だあるのだ。」

「最新のティムポは最良のティムポ!」

「小型軽量化マンセー!」

「セクース!禿げしくリアルサンプルとセクースをキボ―ン!」

「時間倫理委員会の査問、ウザ〜〜ィ」

「23778、地上探索を開始しる。」

「ハッ、了解でつ。」

「統制官、8.8×104乗スキャン中、条件適合が7件ありますた。」

「23001、最初の拉致目標7件を投影しる。」

「統制官、23001的には7番目が萌え〜〜。」

「漏れは、6番目でつと言ってみるテスト。」

「23778、6番目はとうが立ちすぎ、逝ってよ〜〜し。漏れはゼターイ7番目だ

な!」

「23001、7番目の個人情報をうpしる。」

「ハッ、統制官。…山県香子79.32ネトーヤーレスアルテ、地球年で言うと24歳。職

業は客室乗務員。家族は3.6ネトーヤーレス前に事故で死滅し、身よりはありません。

現在、カレシも無しのようでつ。」

「23778、その客室…とやらはなんだ?詳細キボンヌ。」

「原始的な大気圏内乗合航空機の乗客相手のセクース要員と思われ。」

「香子タン、萌えェーー」

「ハァハァ、…セクース要員、萌えェーー」

「23001、ハァハァやっている場合か!拉致作業を開始しる。」

「目標上空まで、小ワープしまつ。目標ロック、自動追尾中。目標は東に向かって時速1ネトー・マイルで移動中でつ。」

「ワープアウト!捕獲光線照射開始、出力900ネト−・ジュール。」

「統制官、目標を捕獲しますた。」

「時空ペイロード・ドア開放。事象の水平面を後退させ、目標を収容しる。」

「キ、キタ―――――――――――――――――――――――――――――――ッ!」

「香子タン…萌えーー!」

「バイタル・サイン正常。意識レベル、−4。」

「23778、捕獲物のホログラフをうpしる。」

「統制官、香子タンうp完了。」

「おーッ!香子タン…萌えェーー。」

「このタイプの地球の衣類ははじめて見るな。23778、詳細うpキボンヌ。」

「リボン・ブラウス…?ベスト、スカート、パンプス?と出ますたが何か。」

「このホログラフは、事象の水平面の向こう側にある実物の感触や匂い、温度感まで表現できる最新鋭機でつ。」

「ネトーの科学はすばらすぃ〜〜!」

「リボン・ブラウスのツルツル感、イイ〜〜ッ!」

「リボンタン萌えェーーー。」

「胸は小さめでつが柔らかく暖かい感触でつ。」

「貧乳…萌えェ〜〜。」

「細い足も、イイぃ〜〜。す、スカートをめくると下着は白ですた。」

「ハァハァ、白い下着、ハァハァ」

「香子タンの白いパンツほすぃ〜〜〜。」

「リアルパンツ、ほすぃ〜〜い。」

「統制官、これはセクース要員の制服のようでつ。」

「ブルブル、リ、リボンの香子タンとセクース、イイーーッ!」

「統制官、23001は逝ってしまいますた。漏れも逝きそうでつが何か。ハァハァ…」

「23778、ハァハァの前に仕事だ。分子スキャンを済ませろ。」

「香子タンをスキャニング・セルに収納しますた。用意でき次第、作業開始でつ。」

「収納完了、非接触型プローブ、準備位置。アイソレーション・ファンネル、開口。」

「時間倫理委員長あてにセル内時間停止許可を申請中。」

「23001、読み取りに要する時間は?」

「ハッ、およそ150ネトージクンダでつ。」

「時間倫理委員長より許可がおりますた。」

「セル内時間停止!分子配列データの読み取りを開始しまつ。」

ブズゥ〜〜〜ンン…ブブブブ

ズーーーブッズ〜〜ズズーン…

「すでに、96.5%のデータを読みこみますた…いま、100%でつ。終末処理中…」

…ヴィヴヴィヴィヴィヴィヴヴィ

ヴィヴィヴィイヴィヴィヴィヴィ

イッヴ…

「なんだ?このアラーム。」

「23778!セル内温度が正常より高いでつ!」

「プローブより異常放電していまつ。何かおかしいでつ!」

「時間停止機構が緊急停止しますた。セル内の時間が再開しまつ。」

「サンプルの意識レベル、+2に上昇。不穏状態でつ。」

「香子タンがセルの中で悶えていまつが何か。」

「セル内温度さらに上昇しまつ!制御不可。」

「セで発火していまつ。アンコントロール!」

「セル内で禿げしくプラズマが発生していまつ。」

「あああああああぁ、香子タンが…」

「リ、リボンタンが………………ハァハァハァ」
「し、白いパンツが……………ハァハァハァ」

「ブルブルブル…香子タンが、、、萌えェーーーーーーー!!!!!!」

「ハァハァハァ…漏れ、また逝ってしまいそうでつが何か。」

「23001、落ち着け!いいか、深呼吸3回だ。」

「23778、落ち着けって、もうすべて終わってしまいそうな悪寒。」

「こんな時になんでつが…お約束のアレ、やってしまってもいいでつか?」

「いい加減、アレには厭きたが、ネトー人の性だ罠。」

「では、逝きまつ!」

「中の人も大変だな。」

「もう、中に人などいない!」

「われながら、禿げしくガイシュツ、ウゼ〜〜〜ッ!」

「カーボンが少し残っていますが何か。」

「香子タン…あぼ〜〜ん」

「香子タン、プラズマになって、あぼ〜〜ん、ハァハァハァ…」

「……………………」

「…空しい沈黙でつ。統制官、早く降臨してください。」

「サンプルを破壊してしまった香具師がいる船はここでつかって、時間倫理監督官に突っ込まれそうな悪寒。」

「漏れたちは過去の事象に介入してしまいますた。ウザイことになりそうな悪寒。」

「23778、責任問題だ。おまい逝ってよしだな。」

「23001、おまいもな〜〜〜!」

「ヲイヲイ、おまいら、もめている場合か。サンプルのスキャンデータは、まだ生きているだろう?」

「本船の中枢コンピュータの一時ファイルに残っていまつ。」

「漏れたちの予備生体ハードウエアーは使えないか?」

「??」

「使えそうな予備の生体素材に、データの書き込みは出来ないのか?」

「???」

「統制官、わかりますた。香子タンにソクーリのコピーを作ってセクースするんでつね?」

「23001、おまい、救いようのないアフォだな。だから低学歴な香具師は困るんだよ。」

「だまれ、23778!漏れはネトー第8帝国大学生物資源学部女体コピー科卒業ですが何か。」

「香子タンにソクーリのコピー作り、記憶を操作して、何事もなかったように元に返すのだ。時間倫理委員会の追及をかわすにはこれしかない罠。23001、よさげなハードはあるか?」

「統制官、マトリックス55.0038が使えそうでつ。」

「うむ、55.0038か、形状記憶型液体合金だな。」

「老化遺伝情報もインプットすれば加齢も程よく時間軸上に表現できまつ。」

「食事や排泄などあらゆる生理的イベントも付加できるスグレモノでつ。巨視・微視的形態や生化学的データ、
放射線や核磁気、超音波に対する応答、電気生理的反応…
すべて本物ソクーリでつ。セクースも可能でつ。」

「残念でつが、生殖はまだオプションにありませんが何か。」

55.0038は本来、ネトー空間擲弾兵向けの特殊浸透作戦用人体マテリアルだったな。

確か自動形状可変機能がついていた筈だ。23001、忘れずにトリガーをキャンセルしておけ。
何かの拍子に香子タンが液化したり変形してしまってはまずい。」

「ドロドロ溶ける香子タンに25000ネトーペニヒー。」

「漏れはグニュグニュ変形する香子タンに30000だな。」

「23001、23778、監督官が出てくる前に不祥事を隠蔽しなければならない。

空中元素固定器でマトリックス55.0038を生成しクイックコピーメーカーに注入しる。」

「準備できますた。データを書き込みまつ。」

「今度こそ失敗は許されないでつ。」

ブツブツブツ、、、ブヒュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ンン…ジュルジュル

ジュル〜〜〜

「統制官、書き込み終了でつ。」

「起動トリガー作動!」

「作動しますた。」

「キ、キタキタ、キタ――――――――――――――――――――!!!!

「おお、甦る、甦る。香子タン、甦る裸の香子タン、貧乳再生、萌え〜〜。ハァハァ…」
「記憶を一部書き換えて、仕上げでつ。香子タンのエゴも完璧に修復しますた。」

「違和感の無いようにでっち上げろ!」

「統制官、プリミチブな質問でつが、香子タンを裸のままで返すのでありまつか?」

「すっかり忘れていた。23001、いいところに気がついたな。さすがにそういう訳にはいかん罠。
着衣を空中元素固定器で再生させろ。」

「着せ替え♪時空ロボットアームで着せ替えでつよん。」

「着せ替え♪着せ替え♪香子タン…萌え〜〜。」

「ホイ、白い再生パンツ!」

「ホイ、再生リボンタンを結んで出来上がりますた。」

「ヤレヤレ、片付いたな…」

「23001、そっと返すのだ。そっとだ。いいな。拉致した時刻に時系列を整合して挿入するのだ。」

「インサーション!」

「さらばでつ。コピーの香子タン。」

「長いようで短い付き合いですた。」

「今日は3回ハァハァしますた。」

「漏れはすでに5回でつ。」

「今晩は脳内でまたハァハァ、ブルブルしまつ。」

「さらば…リボンタン」


山県香子は何事もなかったように、第二東京国際空港ロビーの雑踏の中を歩いていた。

拉致にまつわるイベントの記憶は完全に改変されているので、彼女はエゴ以外の
ハー
ウエアが全く変わってしまったことに気付くすべもない。

だが、宇宙のワームホールを伝ってやって来た、無責任極まりない「未来人」たちは、

大きなミステークを犯していた。マトリックス55.0038の形状可変機構のキャンセルが

不充分だったのだ。

自身、全く自覚もないまま形状記憶液体合金製のコピーと
して生まれ変わった山県香子
は、これによって、これから先、
思わぬ悲劇に見舞われつづけることになるのだが…

それはまた、別のお話である。