アングレイ
作・丸呑みすと様
おお…これは美しい
画廊を経営する谷山太輔は呟いた。
深夜の画廊。その倉庫で絵を整理していた彼は、怪しげな声に誘われる様にして梱包されていた絵にたどり着いた。
梱包を解いた中から現れたのは、上半身裸の妖艶な美女の絵だ。
その美女が不意に飛び出すと、絵を覗き込む谷山を抱きついて囁いた。
「若い娘が好きなの? …女が好きなの? …」
谷山はただ頷くだけだ。
「じゃあ、俺と同じだな!!」
美女はそれまでの甘い声からしゃがれ声に変わると、本来の姿をさらけ出した。
無数の触手状のものが、谷山の鼻から口から目から耳から滑り込んでいく…
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谷山の画廊。谷山に詰め寄る若い女がいた。
茶色の髪をまとめ、レモン色のキャミソールの上にライラック色のオフショルダーのシャツを重ねている。
デニムのミニ丈のスカートからは白い太腿が伸びている。
女は月本真由と云う。
谷山とは肉体関係もある若手の画家の卵だ。
「どうせ、変な絵描いてるこの女にも手ぇ出してるんでしょ!?」
御月カオルとか言う女だ、最近谷山が気に入っている若手の画家だ。
谷山の女好きは半端では無い。
真由もその肉感的な肢体を駆使してチャンスを掴もうとした一人だ。
「ようしわかった。そこまで言うんだったら、場所を変えてゆっくり話そう」
谷山の視線ははち切れそうな真由の胸元に伸びた。バストのカップ数が大きすぎて、国産品のブラジャーではフィットするものが無い程の巨乳ぶりだ。
「飯でも食いながら…」
谷山は真由の右腕を掴むと強引に引っ張った
「ちょっと、オーナー!?」
谷山は足を止めると振り返った。
「腹が減ったのでなぁ!!」
一瞬、その顔が異形のモノに変わる。
谷山は、恐怖と驚愕で動けない真由の両肩を鷲掴みにした。
真由の頬や露出した肩が小刻みに震え、糸がほどけるように動き始めた。
「きゃあああ…
真由の悲鳴はぶった切る様に途絶えた。
そばを啜るように、ほどけていく真由の肢体は大きく開けた谷山の口の中へ滑り込んでいく…
谷山太輔にとり憑いた“女喰らいのホラー”アングレイ。
邪悪な絵をゲートにこの世に現れる。
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光ありところに、漆黒の闇ありき。
古の時代より、人類は闇を恐れた。
しかし、暗黒を断ち切る騎士の剣によって、人類は希望の光を得たのだ。
『牙狼?GARO』オープニングナレーションより。