第77号(2014年夏号)






兵庫県
福井県原発事故の放射性物質拡散予測詳細公表!
〜高濃度放射性物質が最短2時間で神戸市、篠山市に到達〜

兵庫県は、昨年、福井県内にある原発が事故を起こした時の放射性物質拡散予測を作成し、県内4カ所の甲状腺等価線量などを公表。そして、今年4月に県内41市町における甲状腺等価線量などの最大被曝線量を公表しました。その内容が下表です。
かなり広域で、国際原子力機関IAEAの安定ヨウ素剤予防服用の基準50mSvを超えており、最悪の場合、極めて深刻な被害が出そうです。福島原発事故後作られた最悪のシナリオでは、強制避難地域は170km圏内になりますが、福井県の原発からの距離を考えると、兵庫県全域が強制避難地域になる可能性もあります。今後、政府と(株)関西電力の責任で安定ヨウ素剤を備蓄するなど、早急に対策を進めていく必要があります。

※印は国際原子力機関IAEAの安定ヨウ素剤予防服用基準を超えた数値


<原発事故時はただちに屋内退避し、安定ヨウ素剤の予防服用を!>

今年2月議会に、丸尾が井戸知事に、高浜原発事故時における神戸市、篠山市への放射性物質の到達時間を聞いたところ、最短で2時間程度という答弁がありました。原発事故が起こった時は、高濃度の放射性物質がどこへ飛んで行くかわからず、十分に逃げる時間もないことから、ただちに屋内退避するしかなさそうです。そこで、情報収集した上で、次の行動を考える必要があります。
安定ヨウ素剤は、甲状腺ガンに罹りやすい子どもや妊婦(40歳以上を含む)にも配慮しながら、予防服用して下さい。40歳以上の方は年齢が上がるほど効果が小さく副作用のリスクが高くなるとも言われていますが、予防効果はあるようです。福井の原発が再稼働し、行政による備蓄が進んでいない時は、安定ヨウ素剤は一部薬局等で売っているので、購入、備蓄することをお勧めします。
そもそも安定ヨウ素剤は、政府や関西電力の責任で、県や市行政が備蓄すべきですが、現段階では、篠山市など一部の自治体を除き兵庫県内の自治体では備蓄されていません。原発が再稼働するまでに、県内自治体で備蓄を進めるよう求めていきます。
参考:大飯原発差止判決文 全電源喪失から炉心損傷開始まで5時間。炉心損傷開始からメルトダウンまで2時間。

<原子力防災計画等の早急な見直しを>

原子力規制委員会が、放射性プルームによる影響のある地域の範囲や防護措置の実施などについて、考え方を示していないこともあり、兵庫県などでは、福島原発事故を踏まえた原子力防災計画の見直し作業が十分には進んでいません。また、原発立地県などでは、避難に多大な時間がかかることから、合理的で現実的な避難計画が作られていません。原発設備等の安全対策と避難計画、原子力防災計画ができて初めて、理論上、原発の安全性が担保されます。各地で実効性のある避難計画が作られ、原子力防災計画が改正されるまで、原発を再稼働すべきではないでしょう。

<最悪のシナリオ 兵庫県全域が強制避難地域になる可能性あり>

福島原発事故時に作られた元原子力委員会委員長近藤氏が作成した最悪のシナリオでは、「原発170km以遠は強制避難区域に、250km以遠まで、希望すれば避難が認められる区域になる可能性があり、その汚染は、数十年続く」とのこと。つまり、兵庫県全域が、強制避難地域になり、長期にわたって我が家に帰れなくなる可能性もあるということです。

<福井地裁判決「原発は楽観的な見通しの下に初めて成り立ち得る脆弱なもの」>

年5月に福井地裁は「大飯発電所3号機、4号機の原子炉を運転してはならない」との判決を下しました。以下判決文の一部を紹介致します。

(判決文一部)国民の生存を基礎とする人格権を放射性物質の危険から守るという観点からみると、原発に係る安全技術及び設備は、万全ではないのではないかという疑いが残るというにとどまらず、確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立ち得る脆弱なものであると認めざるを得ない。当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。

<原発事故時 尼崎市には舞鶴市から避難してきます>

日常から交流を進め、いざという時に助け合いましょう。


小学校の先生方へ 環境家計簿を使った実践的な授業を実施しませんか?

環境NGOである気候ネットワークが、京都市内全小学校で実施している温暖化防止教育「子どもエコライフチャレンジ事業」の参加校を募集しています。NGO職員が、先生方と一緒に授業を組み立ててくれます。授業時間は、柔軟に対応できるようです。
子どもたちは、省エネを実践しながら環境家計簿をつけていきますが、今、足りないのは環境問題について自分で考えることと問題解決のための実践です。学年単位での参加でOK。参加費は無料です。
尼崎市の校長会では紹介されているので、尼崎市の先生は校長を通し、学校教育課へお申し込み下さい。他市の先生は、丸尾までメールでお問い合わせ下さい。 mb5m-mro@asahi-net.or.jp


兵庫県
公共施設 老朽化問題深刻化
質を落とさずに総量削減を

1960〜70年代の人口増加、経済成長の中、各地で都市化が急速に進み、その時期に大量に建設された公共施設が、まもなく建て替え時期を迎えます。
県当局が今後の公共施設の建て替え見通し等について、実態を明らかにしないので、公共施設の建て替え費用等がどうなる見込みなのか、丸尾は独自に試算してみました。
その試算では、下表にあるように、建て替え等で負担が最大になる2024〜28年の間の施設建て替え費用等は年930億円程が見込まれます。行革プランで示されている2014〜18年の県当局の年間公共事業費が、年1660億円程ですから、この数字がいかに大きく負担が重いものかがわかります。公共施設だけではなく、堤防、橋やトンネルなども同様も問題を抱えています。
人口減少社会で税収が減っていく見込みの中で、私たちは、施設の長寿命化などを含め全体の見直しを進めながら、質を維持する方策を考えていく必要があります。
例えば、極端に利用率が悪い施設は廃止せざるを得ないでしょうが、学校と図書館を一緒にして、図書館を市民に開放したり、公営住宅に公民館や市民利用施設を併設したり、公共用地に定期借地権をつけマンションを建て1階、2階は公共施設として使うなど、行政の中の縦割りや国、県、市の枠を取り払い、民間の資金も活用しながら、柔軟に施設を統合、併設するなどの取り組みが不可欠です。また、市民への説明責任を果たすために、公共施設の実態と将来の負担見込みなどを示す公共施設白書の作成も必要です。




緑の党 福島県自治体放射線被曝低減策アンケート調査結果公表 高線量地域注意呼びかけ等で大きく違い

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