第73号(2012年夏号)






井戸知事は滋賀県提供の放射性物質拡散予測の公表を!
住民の命を守るため リスク情報は公開が原則

2011年11月25日 滋賀県は、NOxなどの拡散シュミレーションを使い、放射性物質拡散予測を作成、公表しました。併せて、滋賀県は、影響のある近隣府県に予測図を提供すると共に、その内容は、各自治体の判断で、公開することを認めました。
そのため、3月16日大阪府は滋賀県の放射性物質拡散予測図(大阪府域分)を公開。大阪府地域防災計画(原子力災害対策等)の改訂に生かしていくとのことです。京都府、岐阜県も同様に、予測図を公開しています。残りは福井県と兵庫県です。
多少不備があったとしても、行政の研究機関が作成した一定合理性のある調査であり、公開することが当然でしょう。
ところが、丸尾が井戸知事に、この拡散予測図(兵庫県域分)を情報公開するよう求めたところ、「精度がわからず、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれがある。県で独自に作っている予測に支障を及ぼす。」との理由で、非公開にされてしまいました。
福島原発事故時にSPEEDIデータが非公開であったため、多数の人が被曝した教訓が生かされていません。

拡散予測図(大阪府域分)から想定した兵庫県下への影響予測

滋賀県、大阪府、京都府の放射性物質拡散予測を見ると、篠山市一部で100mSv以上500mSv未満、猪名川町、宝塚市、川西市などで50mSv以上100mSv未満の汚染可能性があることは容易に推測できます。 大阪府域では、若狭の原発から最大130km圏まで50mSv以上100mSv未満の汚染地域になる予測がされており、若狭の原発から100km圏にある尼崎市や西宮市なども、同様に汚染されることは十分に考えられます。 万一の時に備え、県や市で安定ヨウ素剤を確保しておくことなど、原発事故対策を考えておく必要があります。


非公開に理由があっても 公開することの公益性が大!

■井戸知事の非公開理由、その1
「精度がわからず、不当に県民の間で混乱を起こす。」

  井戸知事への丸尾の反論
滋賀県では、2010年アメダスデータを基に、滋賀県に影響が大きくなると考えられる日を設定し、積算線量の細かな分析も行っています。県研究機関が作成した拡散予測であり、精度に多少の誤差があったとしても、一定信頼できるものです。
大阪府、京都府、岐阜県は、滋賀県作成の放射性物質拡散予測を公開しています。丸尾が大阪府職員に聞いた滋賀県作成の予測図を大阪府が公開した理由「地方公共機関が作成した資料であり、NOxなどの大気拡散シュミレーションを用いており、参考に値するものだと判断したためである。また、リスクに関する情報は府民に明らかにすべきだと考える。」
京都府、岐阜県が、予測図を公開した理由「条例上、非公開にする理由がなかった。」
以上のことから、精度の問題で、不当に県民の間で混乱を起こすことは考えられません。
■井戸知事の非公開理由、その2
「本県独自の予測調査を行っている中において、公にすることにより、
県の事務の適正な執行に支障を及ぼすおそれがあるため。」

  井戸知事への丸尾の反論
滋賀県作成の兵庫県域拡散予測が公開されることにより、兵庫県の予測調査の条件設定について、何ら縛られるものではなく、県の事務に適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは、考えられません。他の予測が明らかになることで、拡散予測に県民のチェックが入り、条件設定の間違い等が修正され、より精度の高い予測を立てることにつながります。
なお、この問題は、福井県にある原発が稼働していないからと、先送りしていいものではありません。使用済み燃料が原発建屋内に大量に保管されており、いま大地震が起こり、建屋、使用済み燃料プールが損壊し冷却機能を失うと、福井県の原発においても、福島原発事故と同じような事態になる恐れは十分あります。
万一、非公開にする理由があったとしても、住民の命と安全を考慮した中では、公開することの公益性の方が大きいと考えます。

「尼崎県外避難者の会」発足 積極的に情報交換していきましょう omura1525@yahoo.co.jp

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