第72号(2011年12月)






政府 予防原則に立ち
食品暫定規制値を厳しく見直して!
特に主食のコメと子どもの規制値の厳しい設定を!

福島原発事故後、従来は輸入食品に適用されていた放射性物質セシウムの暫定規制値370Bq/kgが、短期的には1年間の内部被曝5mSvまでは安全だということで500Bq/kg等に緩和されました。放射線の安全性の議論は、臨床データが少ないことから年間100mSvの被曝まで安全だという学者がいる一方で、微量でも細胞を傷つけ癌化する可能性を指摘する学者もかなり存在します。胎児や子どもの影響が大きいということは共通認識です。
私は、予防原則という立場をとっており、不透明なリスクは回避し、影響の大きい内部被曝も極力避けるべきだと考えます。(子どもは大人の3〜4倍の発癌リスク。)
現在、政府は、外部被曝を考慮せず、被曝許容限度を1mSvと設定し、暫定規制値の見直しを進めています。規制値については、米国やEUなど基準が緩いところが多いのですが、ウクライナのように幼児の規制値を40Bq/kgと厳しく設定しているところもあります。
参考までに、低レベル放射性廃棄物の基準は100Bq/kg、原発からのセシウム134,137排出(水)基準は、60Bq/kg、90-Bq/kg。それから考えても、暫定規制値の甘さがわかります。
日本においても、外部被曝も考慮し、子どもの規制値を厳しくすると共に、摂取量が多い、ごはん、お茶、牛乳、飲料水などについて、厳格な規制値の設定が必要でしょう。





学校・保育所給食食材の産地公表と
独自規制値の設定を!


学校給食の食材は、西日本からのものを中心にすると尼崎市当局は回答しています。ところが、最近は東日本産の食材がチラホラ入っているようです。
私たちは、食材の産地公表と東日本産の食材などの放射線量の事前検査と問題がある場合、食材から外すよう求めてきました。それらの動きも受け、市当局は、HPなどでの食材の産地公表を行うようですが、放射線量の事前検査と問題 がある時の食材外しについては、あまり乗り気ではないようです。
一方で、松本市は、ウクライナの基準を参考にし40Bq/kgを超えた場合、食材を学校給食から外すことを決めました。
今後、規制値外の食材が頻繁に出てくることはないでしょうが、リスクを少しでも減らすため、尼崎市でも、学校給食等の独自規制値設定と線量検査を実施する必要があります。


災害がれきの受け入れは慎重に!
焼却処理で放射性物質拡散の恐れあり!


東日本大震災により、大量の災害廃棄物が発生し、被災地の復興がなかなか進みません。
そのため環境省が、全国の自治体に災害廃棄物の受け入れを要請しましたが、現段階では、焼却時の放射性物質の挙動がわからない等の理由で廃棄物の受け入れができないという回答が大半を占めています。兵庫県内でも全自治体が受け入れ困難と回答しました。
環境省は、放射性がれきの焼却時に飛散するセシウムをバグフィルターで99.9%捕捉できると、理論数値と実例データを数例示し、安全だと言い張っています。しかし、実証データが余りにも少なすぎますし、理論数値はセシウムの同位元素であるカルシウムやカリウムの挙動から推測するものです。両元素より沸点の低いセシウムは、気体としてフィルターを通り抜け、大気に放出される量が、理論数値より高くなる可能性があります。
神戸大学山内教授の調査報告書では、江東区のバグフィルターを使う下水汚泥焼却処理施設において、放射能に汚染された汚泥の焼却により、周辺土壌が高濃度に汚染された可能性があると指摘しています。http://koutoumama.jimdo.com/要望-提言-報告書/
原子力安全委員会委員で北海道大学大学院教授の佐藤努さんによると、セシウムをほぼ捕捉でき、熱にも影響を受けない高性能フィルターは、まだ研究開発中のようです。放射能は、微量であっても住民(特に子ども)の健康を害する可能性があります。放射性物質の挙動が不明である現時点で、自治体のがれき受け入れ辞退は止むを得ないでしょう。
今後、焼却しても安全な放射性がれきの汚染度(環境省は100Bq/kgという数値を示す)と量はどれくらいになるのか、実証データを示しながら、説明することが求められます。
安全性が立証できなければ、次の段階には進めません。また焼却したがれきは高濃度の放射性焼却灰に変わりますが、その灰をフェニックス処分場へ受け入れることで問題が起こらないのか丁寧な検討が必要です。地震で管理型処分場の遮水壁(鋼矢板)が崩れ、放射性物質が漏れ、瀬戸内海の魚を汚染することにつながる可能性も懸念されます。
被災地支援は精一杯したいのですが、放射能の取り扱いは拡散させないことが原則です。
本来は、東電に福島原発周辺の土地を提供させ、処理、処分をすべきなのでしょう。



TPP締結は無謀 事実上のアメリカとの自由貿易協定。十分に低い日本の関税を廃止する必要はなく、逆に環境に優しい商品を流通させるため、関税を高くすることも考えられる。将来の食料危機に備え第1次産業を守ると共に、医療保険度や国内雇用も守るべき。一部の大手産業のため、これ以上の地場産業の空洞化と格差拡大はもう御免。


県立高校通学区16→5区(案)。41中20議会が反対・慎重決議。弊害も大きく慎重な検討を!
交通公園(西武庫公園)のあり方は、県と市当局で決めず、住民ともっと丁寧に対話を!


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