第70号(2011年春号)






兵庫県第2次新行革プラン(案)
公共事業費削減を大幅圧縮 福祉医療の対象者減らす
一部業界には甘く、住民には厳しく

08年度から兵庫県において、10年計画である新行革プランに基づく行財政改革の取り組みがスタートしました。その中で、新行革プランの3年ごとに総点検を行うことが決められ、現在1回目の見直し作業中で、新年度から第2次新行革プランが始まります。
第2次新行革プラン案の最大の問題は、県当局が、公共事業の目標削減幅を大幅に圧縮する一方で、重度障害者医療費助成事業及び乳幼児等医療費助成事業、こども医療費助成事業の助成対象者を削減する案を示したことです。

公共事業費目標 全国平均水準から水準が高い地方財政計画の伸びを反映させた水準に

当初の新行革プランでは、90,91年の公共事業費の中間水準を100として、それ以降の兵庫県の公共事業費の伸びが全国水準を上回ったことから、18年度までに、本県の公共事業費水準と全国平均水準との乖離を段階的に解消するとしていました。
しかし、予想されたことですが、兵庫県だけではなく全国の都道府県も公共事業費の削減を進めてきたことから、07年度決算額で全国第4位であった兵庫県の普通建設事業費の額は、10年度予算では全国第6位と、全国順位はあまり変わりませんでした。
ところが県当局が今回示した案では、全国平均水準よりかなり高い地方財政計画の伸びを反映させた水準とし、全国の平均水準に合わせるという当初の目標はふっ飛んでしまいます。つまり兵庫県財政は全国ワースト1、2位を争う状況なのですが、公共事業費は今後も全国第6位前後の高水準を守ると宣言しようとしているのです。

重度障害者、乳幼児医、こども医療費助成制度は対象者削減

一方で、重度障害者医療費助成制度、乳幼児医療費助成制度、こども医療費助成制度については、対象者を削減しようとしています。
いずれの制度も、現在、市町村民税所得割税額23.5万円未満の世帯を対象としていますが、世帯の最上位所得者で対象者を判断していました。第2次案では、それを世帯合算により判定する予定です。
今回の見直しで、県当局は今後8年間の効果額が37億6300万円も出ると試算しています。結局、世帯合算に移行するのが目的と言いながら、助成対象者を減らし、効果額を出すことが、最大の目的だと考えられます。一部業界には甘く、住民には厳しい、今回の見直しは納得がいきません。


県当局 「県立尼崎、塚口病院の統合再編基本計画」策定
小児救急充実!断らない救急病院機能確保!
地域医療の機能向上に貢献を!


昨年12月に、兵庫県当局は、尼崎病院と塚口病院の統合再編基本計画を発表しました。統合予定地は、市立尼崎産業高校敷地(約35,000平方メートル)で、新病院で実施される主な医療、診療科目は、下記のとおり。病床規模は730床、開設時期は2014年度です。
新たな統合計画においては、小児救急の充実や断らない救急病院機能を確保するとともに、県立病院で研修を実施するなどし、緩和ケア医療、周産期医療、漢方など県立病院が持つ技術等を、広く地域病院、診療所の医師の技術向上に役立て、地域全体の医療水準の向上が図れるよう取り組んでいくべきです。の丁寧な検証をすべきです。




子どもの命を守るため小児集中治療室を設置!
日本の乳幼児の死亡率は、世界で最も低い部類に入るのですが、1〜4歳の子どもの死亡率は、先進国の中では最も高い位置にあると言われています。
その子どもの死亡原因は、病死などの次に不慮の事故であり、小児の集中治療室が出来、設備が整い、専門医が配属されれば、決して少なくない子どもの命を救えることになります。丸尾は、以前からもしも尼崎、塚口両病院が統合されるのであれば、小児集中治療室(PICU)の設置が必要と知事に申し入れをしており、今回、計画にもその導入が明記されました。今後、病床が充分に足りるのか等、検証していきたいと思います。
また、塚口病院、尼崎病院跡地での地域医療の確保にも、力を注ぐ必要があります。


県立西武庫公園(交通公園)は県当局の費用で管理を!

当初の新行革プランにおいて、兵庫県立の西武庫公園、明石西公園など4つの公園は、地元利用率が高く、小規模な都市公園であり、市町への移譲または移管が必要な公園とされました。2008年10月に県議会で、新行革プランが可決され、県当局の方針が確定。
現在検討中の第2次新行革プラン案で、地元市町が公園の移譲を希望する場合は移譲し、希望しない場合は、2011年度末を目処に公園を廃止するという方針が示されています。
水面下では、かなり踏み込んだ市当局と県当局の公園移譲の協議が行われており、公園が廃止されることはないと思います。
しかし、そもそも県当局が、よりよい住環境確保という観点から公園を必要と考え整備したにもかかわらず、財政が厳しくなったから、市町に移譲するというのは無責任です。もしも、公園を市町に移譲するにしても、県当局が維持、管理費用を全額負担すべきです。

民主党政権 不十分な環境税導入決定 温室効果ガス排出量取引先送り
子どもにつけを回す 過去最大規模の政府予算案 約92.4兆円 国債発行44.3兆円


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