第69号(2010年秋)






尼崎市焼却炉談合大阪高裁判決
住民側逆転勝訴で3.36億円市に返還求める
損害賠償積算率が低く最高裁に上告

 
1996年8月19日に、尼崎市の焼却炉建設工事の入札が行われ、日立造船JVが106億900万円で落札。
 ところが、公正取引委員会は99年焼却炉主要メーカー5社に、談合を止めるよう排除勧告。公取委が指摘した資料から、尼崎市の焼却炉建設工事の入札での談合も明らかになりました。
その後、企業側は談合の事実はなかったと公取委の決定(審決)の取り消しを求める裁判を提起したのですが、09年10月に最高裁で企業側が敗訴し、審決処分が確定しました。
一方、00年に市民オンブズ尼崎(丸尾は原告)は、公取委の裁判確定前に企業側が倒産し、損害額が返還されないことも考えられることから、尼崎市の入札に参加した焼却炉メーカー6社を相手とし、談合で発生した損害額の返還を求め、神戸地裁に提訴しました。
その結果、神戸地裁では「JV(共同企業体)との契約額の5%損害を認める」と勝訴判決が出ましたが、大阪高裁では逆転敗訴。ところが一転、最高裁は大阪高裁に差し戻しを求め、7月に大阪高裁は、日立造船との契約額4%の損害(JVを組んだゼネコン建設工事分除く)を認め、日立造船など入札に参加した6社に3億3578万円と利子5%の市への返還を求める逆転勝訴判決を出しました。(利子を含めると約5億円)
焼却炉談合の問題は、全国で争われ、過去に出た判例では、契約額の5〜8%の損害を認めていましたが、今回の大阪高裁判決は、契約額の4%を損害額に設定し、全国で最も損害割合が低い判決でした。日立造船は、過去に同じ建物内の焼却炉建設工事を行っていたことから、他業者より有利な額を提示でき、利幅も少なかったという飛躍した論理です。
市民オンブズ尼崎は、理屈が立たず損害額の算定に問題があるとし、ただちに最高裁に上告する手続きをとりました。
なお、大阪高裁判決では、尼崎市が企業側に損害賠償請求しないことは違法だと判断しました。尼崎市当局は、市民のお金を取り戻すために、オンブズの裁判に訴訟参加する等もっと積極的に行動すべきです。




西紀ダム建設負担金で県下一高額な水道料金に!?
人口予測が甘く県下第2位になった篠山市の水道料金

篠山市は、人口や水需要の予測が甘く、不要な水を大量に確保しました。そのため、水道事業の採算が悪化し、05年に市審議会から約66%の値上げを求められ、06年に篠山市は、水道料金の大幅値上げ(約33%増)を行いました。その翌年から、独立採算が基本の水道事業に、市の一般会計から多額の公費が投入されるという極めて異例な対応で、11年度に予定されていた2回目の値上げは、かろうじて先送りされました。しかし、一般会計の投入額は、09年度には約3億3千万円にも達し、篠山市の一般会計を脅かしています。
その後も篠山市の人口減少は続き、水余り状況は悪化しているにもかかわらず、篠山市は県営西紀ダム建設に関与し、さらに1日1000立方メートルの水を確保しようとしています。
篠山市は、県営水道の受水権を1日16000立方メートル(現在1日1万700立方メートルに変更するため県と協議中)持っているのですが、1日7350立方メートルしか使っておらず、大量の水を余らせている状態です。
元淀川水系流域員会利水・水需要管理部会長で大阪府大名誉教授の荻野芳彦氏は、「将来的な人口減を考えると、ダムで新たな水を確保する必要は全くない」と提言。その理由として、「人口減に加え、今年度1人1日444リットルの水が必要としている西紀ダムに係る水道事業計画は過大であり、1人1日250リットルの水で十分」としています。
ダム建設に関与する篠山市の負担は約2億5千万円程ですが、明らかに不要な買い物であり、篠山市の水道料金は、間違いなく兵庫県下の自治体で最も高くなるでしょう。
治水については、元淀川水系流域委員会委員長で京大名誉教授の今本博健氏が、現地を2度見学し、西紀ダムの必要性を検証しましたが、「現在の川の流下能力が計画している高水流量22立方メートル/sより大きく、治水に関しダムは全く必要ない」との評価結果を出しました。
西紀ダム建設の総事業費は54億円を想定していますが、兵庫県は国と同じく約25.8億円を負担する予定です。財政が厳しいと行革を進めながら、必要性の乏しいダムに、県当局が莫大なお金を投入することは、許されないでしょう。
もなく、国交省からの要請で、県当局が実施するダム検証が始まります。知事は、第3者機関による検証会議を設置すると共に、会議を公開し、公募市民の登用、ダム賛成派、反対派の学者をバランスよく配置し、西紀ダム、金出地ダムの丁寧な検証をすべきです。






日本政府のGDP比教育費支出OECD中最下位 9/8朝日新聞
西紀ダム問題について、丸尾、山田議員が作成したチラシを全戸配布し篠山市民に伝える


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