第68号(2010年春)






何も検証せず
ダムを造り続ける民主党政権・井戸知事
「コンクリートから人へ」は口先だけか?

民主党は、「コンクリートから人へ」という理念と、できるだけダムに頼らない治水に政策転換することを方針として掲げています。
そして、国交省は、ダムの本体工事に至っていない89ダムを、新たな基準による検証対象としました。併せて、国交省が設置した有識者会議で、できるだけダムに頼らない治水のあり方の検討を進め、今年夏頃に、その基準等が示される予定になっています。
ところが、国交省は、昨年度中に本体工事契約予定であった県が建設する5つの補助ダム(兵庫県与布土ダム含む)については、3月末に、検証対象から外し、国の補助金をつけることを表明しました。
本当にダムに頼らない治水を進めるのであれば、5つの補助ダムについても、新たな治水基準に基づく国の検証を経た上で、必要性を十分に見極めて、補助をつけるかどうかを判断すべきです。しかし、ダム推進派の地元民主党国会議員の要求に屈したのか、前原大臣は、ダムが必要かどうかの評価を飛ばし、「ダム建設を進める各県の最終判断を尊重する。」と、県の駆け込みでのダム建設を認める強引な結論を出しました。
強引な結論を出したのは、井戸知事、兵庫県議会も同じです。
事実上、国のダム検証を拒否した知事から、与布土ダム本体工事契約の議案が、予算議会に提案されましたが、自民党、民主党、公明党は、できるだけダムに頼らない治水のあり方や国のダム検証について十分な議論をせず、与布土ダム本体工事契約議案を可決し、市民オンブズマン兵庫等から提出された「国の新たな基準による検証が済むまで与布土ダム本体工事契約議案の先送りを求める請願」を否決しました。
                         担当 県河川整備課


ちょっと待って!
赤字前提の
県営但馬空港からの羽田直行便開設!

94年に県当局は、但馬空港整備のため180億円を投入し、36人乗りのサーブ機を購入するため約7.5憶円の補助金を支出しました。
現在、但馬空港と伊丹空港を結ぶサーブ機が1日2便飛んでいますが、空港を運営するための県当局の負担は、年約6億3千万円にもなります。(下表参照)
飛行機の年間利用者数は2万6千〜9千人(搭乗率60〜65%程)。所要時間は35分〜40分、利用料金は片道1万2400円です。(但馬地域在住者は約半額の地元自治体助成あり)
競合する公共交通機関ですが、JRは大阪〜豊岡間を最短約2時間半で結ぶ特急を何本も走らせており、指定席5330円で乗車できます。全但バスは、大阪〜豊岡間を約3時間で結ぶ便を1日2便走らせており、片道3600円で乗車できます。
伊丹空港〜但馬空港便は、値段が高い上に、空港への移動時間などを考慮すると、太平洋側、阪神間の住民にとって、ほとんど魅力がありません。
さらに、豊岡周辺の自動車道の整備や日本全体の人口減少、但馬地域の人口減少を考えると、伊丹〜但馬便の利用は、今後、減少していく可能性があります。
一方で、県当局は、需要予測、収支見通しのシュミレーションを公表せず、今年10月の羽田空港発着枠拡大に合わせ、観光や産業の活性化等のため、但馬空港からの羽田直行便(所要時間約2時間半)を、開設する方向で検討を進めています。
現在、伊丹〜但馬空港利用者の3分の1が、羽田便を利用しているようですが、羽田便が開設されると、その利用者の大半が羽田便に移り、伊丹便の赤字幅は拡大するでしょう。伊丹便でさえ黒字にならないのですから、羽田便が黒字になることは考えにくく、県当局が、さらに億単位の赤字補填をしなければならなくなる可能性もあります。
この間、県当局は福祉医療削減等を含む行財政改革を進めてきましたが、羽田便の開設は、さらに県当局の財政を窮地に追い込む可能性があります。
何よりも知事は、住民に判断材料を示すため、ただちに羽田便の需要予測、収支見通しなどのシュミレーションを公表すべきです。
                    担当:県土整備部空港政策課

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