第67号(2010年春号)






園田西武庫線の凍結を
財源は借金返済と福祉の維持に
県・市財政は危機的状況

県と市が共同で整備を進めている武庫地区、園田地区を東西に横切る園田西武庫線は、三菱電機と藻川のところが分断されており、今後、その整備が進められることになっています。現在は、三菱電機の用地買収と、三菱電機用地から出てきたトリクロロエチレンの処理費用をどう負担するかで交渉が続いており、いつ整備が進むのか不透明な状況です。
園田西武庫線の整備費用を見てみると、三菱電機周辺(御園工区)909mの事業費は174億円で、県、市ともに44億円ずつ負担し、残りは国の負担になります。藻川工区にかかる橋梁整備費は総額33億円で、県、市ともに8億円ずつ負担します。さらに、御園工区では汚染された土壌の処理経費で、コストが上昇する可能性が大です。
予測交通量は、2020年予測で1日11,200台。周辺の環境は、窒素酸化物、SPM、騒音などが増加し、悪化することが懸念されます。
この道路ができることで、園田周辺から塚口、武庫之荘を行き来するのに5分〜10分早くなるのでしょうか。
 しかし、県・市財政が崖っぷちの状況で、道路整備のために、200億円を超える事業費をかける必要があるのかどうか、疑問が残ります。道路整備などのハード事業は、維持管理コストがかかり、将来的に財政を圧迫する一因にもなります。
口減少社会に突入し、将来的にも財政規模が縮小していく中で、福祉を守るのか、道路建設を優先するのか。まさに知事、市長の姿勢が問われています。
「コンクリートから人へ」という理念は、尼崎市においても進めていく必要があります。


「三重県の水源の森を保全するため」資金援助のお願い
開発や樹木伐採から守るため、三重県大台町池ノ谷、父の谷676haを購入することを決めました。購入のため、あと9000万円必要です。是非、ご協力下さい。

郵便振替口座 00930-6-208774 三重県大台町水源の森トラスト基金
NPO法人奥山保全トラスト 0798−22−3017


政府 ダム等143事業を再検討
武庫川ダムなど兵庫県4ダムも対象

政府は、ダムなどの公共事業依存を止め、「コンクリートから人へ」という理念を掲げ、大きな転換を進めています。その流れの中で、全国のダムや導水路など143事業のうち、八ツ場、川辺川などのダムを中止し、他の国直轄、補助ダムについても、再検討対象となっていました。
 その見直しにかかったダム等の中に、兵庫県が建設する予定の武庫川、与布土(朝来市)、西紀(篠山市)、金出地(上郡町)の4つのダムが含まれ、それらも再検討対象に入りました。
武庫川ダムについては、武庫川流域委員会が今後30年間は、ダムはいらないと判断しており、その方向に沿って、当面ダムは不要だと考えます。与布土、西紀、金出地ダムについて、丸尾は本当に必要なダムかどうかの判断がつきませんでした。
そこで、元淀川流域委員会委員長で京都大学名誉教授の今本博健氏、元同委員会利水・水需要管理部会長で大阪府立大学名誉教授の荻野芳彦氏に、4ダムの評価と評価報告書の作成を依頼しました。
そして、まずは、政権交代により、来年度以降の予算がつけられるかどうか不明なことから9月に入札が延期された与布土ダムについて、2人と一緒に朝来市での調査を実施しました。
朝来市では、上下水道部担当者から、過去、将来の水需要等の話を聞き、その後、県養父土木事務所の案内により、ダム建設予定地、過去の河川氾濫場所などを視察しました。
 朝来市、県当局とも、要求した資料をなかなか出しませんでしたが、入手した資料をもとに、2人が評価報告書を作成しました。

今本氏の与布土ダムに関する治水面での評価(要約)

 河道には随所に大量の土砂が堆積しており、洪水の流下を妨げている。通常の河川管理では、土砂による阻害が20%に達するまで放置される。これは与布土ダム流量低減率にほぼ同じあるいはそれ以上に相当する。
 したがって、当該地域においては、土砂除去によりダムとほぼ同等の効果が期待され、ダムの治水効果は代替可能であると考えられる。
 与布土ダムは、これまでの水害の状況から判断して必要性は認められない。また、たとえダムを建設したとしても、小区間での水位の低下には一定の効果をもつものの、掘込河道でもともと比較的安全であるだけに、被害の軽減にはつながらない。
 計画を上回る大洪水に備えて、ダムによらない治水を推進するのが、より安心で、地域の繁栄をもたらすことになる。

荻野氏の与布土ダムに関する利水面での評価(要約)

 水道の需要量は年々低下して、計画最大給水量は現在の給水体制で十分足りている。計画1日平均使用量について、現実との乖離が見られる。将来人口はさらに減少傾向を示し、生活用水需要量、業務用水需要量も低下すると考えられる。水道事業から見ると与布土ダムの必要性は全く見当たらない。
 農業や河川のための用水確保の観点からも、10年に1回の渇水年でさえ、ダムで貯水予定の6.8倍の水が与布土川に流れており、与布土浄水場の取水には何の不安もない。
 渇水発生確率は20分の1であり10年に1回の利水安全水準を満足している。農業用水の観点から、与布土ダムの寄与は全くない。

丸尾の評価

2人の評価報告書、朝来市・県土木事務所の説明などから、丸尾も与布土ダムは不要であり、森林整備、河川の浚渫(しゅんせつ)、堤防強化などで対応ができると判断しました。
そこで、鳩山由紀夫首相、前原誠司国交相などに、見直し対象143事業(ダム等)に新年度予算をつけないよう求める申し入れ書を、井戸敏三知事に与布土ダムの建設中止を求める申し入れ書を提出し、併せて二人の評価報告書を申し入れ書に添えました。
今後、他のダムについても、現地視察等を行い、二人にダムの評価報告書を作成してもらう予定です。
なお、民主党国会議員には、ダム推進派がかなりいるようで、与布土ダムについても、地元民主党国会議員はダムを推進しています。また、井戸知事、自民党県議団も強硬なダム推進派であり、予断を許さない状況です。  ダム問題に関する今後の政府の動き、県の動きが注目されます。
なお、ダム問題について、衆議院議員の田中康夫さんと連携をとりながら、取り組みを進めていきたいと思います。


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