第64号(2008年12月)






あまがさき買い物探検隊
公共施設等の温度調査を実施

尼崎市議会、兵庫県議会は失格?!

国、県、市が夏場の室内の温度設定を28℃にするよう呼びかけていますが、実態がどうなっているのかを検証するため、今年の8月、9月、あまがさき買い物探検隊エコ度調査プロジェクト(隊長 立山裕二さん)が、尼崎市内の公共施設を中心に、室内温度調査を行いました。
その結果、市議会や県議会本会議場は、議員への配慮なのか、26℃台と低くなっていました。公営、私営バスの温度は23〜24℃、武庫元町のスーパーは19℃、環境への取り組みを積極的に宣伝している立花駅北側の量販店は23℃とかなり低い温度でした。
一方、電気屋の(株)コジマでは「省エネのため室内28℃設定を」とチラシで呼びかけ、ローソンでは「店内27℃設定をしているのでご協力を」というポスターを貼っていました。
その結果を受け、あまがさき買い物探検隊は、兵庫県、尼崎市に対し、「公共施設等における夏28℃の温度管理の徹底と民間店舗設等における先進的な取り組みを表彰するなどの誘導策を実施するよう申し入れました。



県立塚口・尼崎病院統合問題
地域住民から公的医療を奪わないで

〜県議会 自民党が異常な審議の提案〜

今年の10月6日、県議会で可決(私たちは反対)した新行革プランは、「2012年度を目途に、県立尼崎病院と塚口病院を統合、小児医療、周産期医療等の充実を図る」という方針を示しました。理由としてあげているのは、県財政のきわめて厳しい状況―現在全国ワースト2位である実質公債費比率、将来負担比率は全国ワースト1位、加えて病院事業の赤字、麻酔科医の不足などです。

塚口病院は老朽化で建て替えなければならないとの理屈
塚口病院は建設から40年近くが経過して老朽化しており、新耐震基準に適合していないので、建て替えしなければならない状況にあるといいます。しかし、鉄筋コンクリート建築であり、補修により維持できるものと思われます。建て替え時期だから統廃合をするというのは、議論のすり替えです。

外部委員会の検討前に7万余人の存続請願を否決した県議会
新行革プランによれば、統合再編について、今後外部委員会を設置し、09年度前半までを目途に「小児医療、周産期医療等の充実に必要な機能をはじめ、両病院の有する診療機能の再編の具体案、再編後の既存施設等の利活用等」について検討が進められることとなります。
 一方、「塚口病院の存続と充実を求める会」は塚口病院の存続を求め、7万4千名(9月30日現在)を超える署名を持って、県議会に請願を提出しました。この請願については、統合問題を検討する外部委員会がこれから開かれるところであり、採否を急ぐべきではありません。しかし、県議会の多数を占める自民党の強引な主張により、直ちに請願の採決が行われ、圧倒的多数で請願を否決してしまいました(私たちは請願に賛成)。兵庫県立病院の数はわずか13、多くの病院が医療水準の維持、医師の確保に苦労しています。圧倒的な否決の事情には、県議会議員に「尼崎市に2つの県立病院があるのは贅沢」という意向があると考えられます。

当初の県当局案ではベッド数は大幅削減
当初の県当局案は、塚口病院を尼崎病院に統合し、尼崎病院の駐車場に、病棟を増築する予定でした。しかし敷地面積の不足のため、案では300床のベッド数を200床程度に減らすことになります。統合による塚口病院の廃止は、ベッド数を減少させ、住民に遠距離診療を強いて、必要な受診ができない状況が起こるでしょう。財政上の理由であろうと、住民を犠牲にする医療危機は止めなければなりません。尼崎病院を塚口病院に統合しても同様の課題が残ります。統合した病院の設置場所は外部委員会で議論されます。なお、尼崎市当局は「小児医療の充実策も見えず、統合のプランがよくわからない。医療水準は従来の水準の確保を」と、統合に反対の意思を表明しています。


小児・妊産婦医療の充実を求める!
問われる県当局の改革プランの中身


塚口病院の現状は、常勤の麻酔科医が不在で、子どもの外科救急患者を受け入れられない状態です。塚口病院のNICU(新生児集中治療室)は6床で、昨年度の利用率は96%に上ります。麻酔科医の確保と併せ、NICUの増床が不可欠の事態となっています。
妊婦が脳内出血等で死亡する事故がありました。塚口病院には脳神経外科がなく、尼崎病院には産婦人科がないというようなアンバランスを解消し、両者は同じ病院に併設しておく必要があります。県当局は小児医療・周産期医療等の充実策を、早急に示すべきです。

地域の医療機関を存続するために
塚口病院の独立行政法人化の検討を


02年度、05年度に県の外部監査委員から出された監査結果において、看護師・事務職員等の給与が民間病院の水準より高く、医師の給与が民間水準より低いことなどが指摘されました。併せて、現在の地方公営企業法の適用による経営形態を見直し、人事などについて柔軟に対応ができる地方独立行政法人化なども検討の視野に入れるよう提言しています。
県当局は、この地方行政独立行政法人化について、まだ十分な実績等が残されていないことから、2013年までは現在の経営形態のまま続けるとしています。他の自治体で、地方独立行政法人化を進めているところは少数ですが、県職員をそのままスライドさせた宮城県立こども病院を除いて、他の地方独立行政法人の昨年度決算は、黒字化しています。医師や看護師の確保についても、問題がないようです。
本来は、塚口病院を公立病院として存続し、給与水準等を柔軟に見直し対応をすべきだと考えますが、それが難しい現状においては、情報公開制度を整備し住民がチェックできる体制を整えた上で、地方独立行政法人化することは止むを得ません。
地方独立法人化しても県当局がバックにあることで、利用者は公的病院として、安心して医療を受けることができ、病院で働く人たちも安心です。

統合を検討する外部委員会を公開し住民との対話を

県当局は、県立病院の統廃合について尼崎市・兵庫県・病院関係者・病院利用者などが参加した外部委員会を開催する予定です。この外部委員会は、当然公開すべきです。
日本の現状は、相変わらず公共事業を積極的に推進する一方、住民には福祉の削減を押し付けています。経済効率が優先されて、社会的弱者への医療サービスが削られます。生命を維持する医療を守るために、県当局は住民と積極的に対話するべきです。

自民党政権は末期症状 次の衆議院議員選挙で政権交代を
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