第62号(2008年3月) |
◆ | 県行革における普通建設事業費(公共事業費)の削減目標について、県民だよりひょうごでは「投資事業費は全国平均水準まで段階的に抑制します」と記載され、行財政構造改革推進方策第1次案では、「平成20年度時点での本県投資水準と全国都道府県投資水準との乖離幅を解消していく」と記載されています。そして、県の普通建設事業費は、現在の年3000億円から、最終的に年1900億円まで削減する予定です。 |
◆ | この見直しについては、大きな問題点が3つあります。 |
◆ | ひとつは、行革案の県の普通建設事業費は、8年間で960億円を投入する経過措置を設け、その水準を高く設定していることです。2007年度予算の兵庫県普通建設事業費3003億円は、全国第4位。行革の最終目標である年1900億円は、2007年度予算で見ると全国第8位。こんな高い水準であるにもかかわらず、多額の税金を投入する経過措置が必要とは思えません。 |
◆ | 2つめは、この計画は全国の普通建設事業費の削減推移が反映されていないことです。 過去6年間における全国都道府県の普通建設事業費の平均削減割合は10%程で、その削減割合は減る傾向ですが、国の構造改革や総務省が作成する2008年度の地方財政計画においても、公共事業費は年3%削減されています。本来なら、この削減推移を計画に反映しなければ、全国の普通建設事業費は削減されるのに、兵庫県の普通建設事業費だけが、高い水準のまま支出され続ける可能性が高くなります。そこで私は、過去の削減推移を反映させた試算をしました。その試算では、県の計画と比べ、総額で2475億円、一般財源は530億円安くなります。 |
◆ | 3つめは、意図的な計算間違いをし、恣意的に金額が高く設定されていることです。 先ほど示した普通建設事業費の最終目標は年1900億円なのですが、県の説明どおり計算すると年1830億円になります。この計算を正しく行うだけで、11年間の計画期間中の普通建設事業費総額は計画と比べ330億円、県の一般財源は80億円節約できます。 この意図的な計算間違いは、正す必要があります。 |
◆ | 以上のように県の行革案の普通建設事業費は、恣意的に高く設定されています。その影響もあり、結果として必要以上の福祉等の見直しが行われることになります。 |
Q | 丸尾:県の行革案について、詳しく内容を知る人はほとんどいない。その状態でパブリックコメントを求めても、県民の意見は出てこない。対策は、各地で誰でもが参加できる行革案の説明会を開催すること。行革案の説明会の開催について知事の見解を聞く。 | A | 知事:県民だよりひょうごなどで、県財政の現状と課題、改革に必要性について訴えてきた。これら情報提供に合わせてパブリックコメントを実施し幅広いご意見、ご提言を募集することとしている。具体的な見直し内容にかかわる市町や関係団体には、詳細な説明を行ってきた。今後とも県民との直接対話の機会等も捉え、多くの人に情報を発信し幅広いご意見をいただくよう努める。 |
Q | 丸尾:普通建設事業費(公共事業費)を全国実績値の推移を組み入れた私の試算では、一般財源を約800億円節約できる。高齢者、障がい者、母子などの医療費助成である福祉医療の削減効果額は11年で362億円。普通建設事業費を減らせば、福祉医療の見直しは白紙にできる。教員削減や交番相談員の削減など住民生活に大きな影響を及ぼすものは原則撤回すべきではないか。 | A | 知事:老人医療費助成事業については全国的に制度廃止が進んでいる中、制度そのものの維持を基本に、給付が必要な低所得者に重点を置き、その範囲を広げようとするもの。重度障害者等の福祉医療については、特別障害者手当等の給付をベースに、医療給付よりも高い水準に設定されていた所得制限を見直して、福祉医療間の制度均衡を図ろうとするもの。県議会特別委員会の調査、審議を初め、幅広く意見や提言をいただき成案を得たい。 |
Q | 丸尾:06年度に実施された県の1億円工事の入札の平均落札率は約84%。但馬高原林道建設事務所の発注した工事入札のように全く競争が働いておらず談合と疑われても仕方のないものもある。指名競争入札を廃止し、一般競争入札等に移行すべき。入札制度改革について知事の見解を問う。 | A | 部長:今後共、公平性、競争性、透明性を確保するため、入札・契約制度の改善に取り組む。 |
Q | 丸尾:ツキノワグマの捕獲や捕殺された経過の公表と住民との連携はどうか。 | A | 部長:出没実績等について、野生動物保護管理運営協議会において公表している。自然保護団体等と意見交換や協力を得ながら、保護管理に努めていく。 |
師走に入ったばかりの12月4日、午後からの兵庫県議会の傍聴に出かけた。 当日の質問者の一人である丸尾まき議員は、昨春兵庫県議に当選され、新人議員として初めての一般質問の日であった。 丸尾氏は「市民オンブズマン兵庫」「市民オンブズ尼崎」の発足当初からの世話人であるが、尼崎市議としても在任中の熱心なオンブズマン活動によって、尼崎市政の改革度は兵庫県下でも突出していた。また、以前から「市民オンブズマン兵庫」や「オンブズ尼崎」「オンブズ西宮」が丸尾氏の主導の下に関わってきた阪神水道企業団や兵庫県議の費用弁償問題、政務調査費の不正使用の追及の結果、何れも減額や一部返還、領収書添付の義務付けなどの成果を得たことは、新聞でも報道されたとおりである。従って、丸尾氏の県議への転進は自然の流れであり、県民やオンブズマンの期待に応える相応しい選択をされたと言えよう。 4日の丸尾氏の質問は、オンブズマンらしく全国的視野と資料をもとに、県の逼迫した赤字財政の是正について、質問や提言などが真摯に訴えられた。行政側の答弁を聞くほどに、丸尾氏が示された具体的な、且つ詳細な数字のすべてにわたって、当局や議員がどれほど理解されたか心許ないが、それにしても、県議は4年任期中に貴重な一般質問の機会が1〜2回しか与えられないということは、県民として、納得しがたい思いである。 〜中略〜 このたび、漸く市民オンブズマン県議が誕生したことで、これからの県議会に新しい風が吹くことを期待すると共に、高齢化してきた市民オンブズマン兵庫の活動がより活性化することを願っている。 当日は平日で寒さのせいか、オンブズマン仲間の傍聴が少なかったのは残念であったが、市民派の議員の活躍を期待するためには、市民の温かい支援が何より必要なことを私たちは認識すべきである。 |
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