第61号(2007年冬)






県人事委員会の勧告はおかしい
給与カットの効果を消去する役割

国家公務員の給与水準を決めるために、事業所の規模が50人以上の民間事業所の給与水準等を調査し、人事院が勧告を出します。ちなみに今年の人事院勧告は、民間企業の給与水準等が高かったため、月給を平均0.35%引き上げ、期末・勤勉手当(ボーナス)を0.05ヵ月分引き上げ、4.5ヶ月にするよう求めました。
兵庫県においては、人事院と同じ機能を持つ人事委員会があり、兵庫県内の50人以上の事業所1902のうち無作為抽出した344の事業所の給与等を調査し、兵庫県職員の給与水準と比較した上で、県に勧告を行っています。
今年10月に出された県人事委員会の勧告は次の通りです。給与については、民間が0.03%安いが、較差が小さいので改定は見送る。期末・勤勉手当については、過去1年間の民間事業所のボーナスと比較して、県職員の方が0.04ヵ月分少ないため、国や他都道府県の状況も見て、0.05ヶ月分アップ。扶養手当についても、民間や国の状況を考慮し、6000円から6500円に500円アップするように勧告しました。
人事委員会は、民間との純粋な給与幅の違いについて、調査・検討する役割を担っているのですから、その仕事を公平・中立な立場で粛々と行う機関です。今回は、県財政が厳しい時期にもかかわらず手当てなどのアップを求めています。この勧告により、知事が職員給与をどうするのかを、私たちは問わなければなりません。ところが、この人事委員会勧告が、おかしな内容であれば大変です。そうです、まったく変な勧告なのです。



県職員OBが委員長の椅子を占める

2年前の勧告から、県当局は、管理職手当の10%カットを行い、そのカット後の金額で、民間との給与比較を行っています。
県財政が厳しいことから、暫定措置として、管理職手当カットを行っているのですから、カット後の金額を民間と比較するのは、とてもおかしなことです。カットしている意義を消滅させています。
このようなおかしい勧告通りに県職員の給与見直しをすれば、管理職手当をカットしていた財政効果額(05年度決算3.4億円)が、全体の給与額に吸収されて、効果はなくなってしまいます。
住民に向かって、「管理職手当10%削減して頑張っている」との姿は、実はうそ偽りの仮装でしかありません。県職員OBである県人事委員会委員長は、このような手法を改めるべきです。



県議会 政務調査費領収書の公開を議論
最大の自民会派は全額公開に抵抗

民主案は人件費を除外、公明案は小会派いじめ

みどりの風(山田・丸尾)、稲村および共産党県議団が、政務調査費(以下 政調費と表す)の領収書など証拠書類を公開する条例改正案を、9月県議会に提出すると発表しました。それにつれ、民主党県民連合と公明党県民会議からも、改正案が提出されました。
これまで、政調費の制度見直しなどの話は、密室の会派代表者会において、行われていました。今回は3案が公表され、住民に見える場で議論が進んでいくことは、民主的な進歩です。
民主党案は、収支報告書に領収書等のコピーを添付し公開しようとするものですが、人件費については除外です。事務所職員のプライバシーを守るためという理由です。
県議会の情報公開条例によって、領収書等に記載された雇用職員の氏名・住所は非公開になります。しかし民主党は、裁判等で「職員の氏名・住所などの非公開の判断が変わり公開される恐れがある」との理由で、人件費の領収書等証拠書類を提出しなくてよい、としました。
しかし条例を正確に読めば、氏名・住所・給与額が一体となった情報はプライバシー情報であり、その判断が裁判で変わるとは考えられません。
人件費こそ、最も不正がおきやすい闇の部分です。大阪府議会や新宿区議会の監査結果では、政調費の人件費の不正使用が指摘され、公費の返還が勧告されています。民主党案では、人件費の支出の裏づけが不要となり、不正使用の温床となり政治不信を助長するでしょう。
公明党案は、政調費の領収書等の原本を公開し、金額を30%カットするとしています。ただし会派を5人以上に限定、少数会派などには会派分政調費の支給を認めないとするものです。領収書等の原本公開や30%カットには大賛成です。しかし少数会派を排除しようとする公明党の姿勢は、多数の専横を復活させ民主性と公平性を壊すものです。
私たち「みどりの風」などの提案は、領収書等のコピーを全面公開するものです。他の自治体に足並みを合わせ、他の会派が合意しやすい内容にしました。
自民党は、総務常任委員会で「事務費、事務所費、人件費を除く5万円以上の領収書等公開することを決めて間がなく、この制度の十分な検証ができていない」などと過去にこだわり、早期に領収書等を全面公開する制度改正には消極的です。自民党・公明党の意見により、改正3案は継続審議になり先延ばしされました。


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