第61号(2007年冬)






過大な公共事業費が生活を押し潰す

ばらまき新規事業を止め 緊急の優先順位を


焦点としなければならない大きな削減項目は、公共事業費です。地方自治体の一般財源の大きさを表す標準財政規模は05年度において、兵庫県は全国で7番目。いっぽう公共事業費は3番目に高い金額を支出しています。
兵庫県の類似自治体の公共事業費と比較して1460億円高く、全国の標準財政規模に対する割合で比較すると1260億円高くなっています。県財政が極めて厳しい状況であることを考えて、兵庫県の公共事業費は類似自治体の中で低い水準も考慮に入れ、現水準の約半分程度まで引き下げることが必要でしょう。新設の博物館、高速道路などの建設はいったん全て凍結。その上で、もっとも緊急を要する事業から優先順位をつけて実施していくべきです。



県幹部職員OB
基準を無視し ゼネコンに天下り


兵庫県当局の過去5年の調査によって、課長級以上の職員で、天下りをした人が354人(県嘱託・外郭団体48%、民間企業23.2%、公益法人等16.4%、業界団体6.8%、学校・園関連5.6%)になることがわかりました。
OBを受け入れた企業の内、県当局の仕事を受注した企業が少なくとも20社ありました。 また、県当局はゼネコンへの2年間の再就職を自粛し、他の企業には1ヶ月の再就職自粛と2年間の県に対する営業の禁止を口頭で指導しているようです。
しかし、基準に反し、元幹部3人が、退職後約1ヶ月でゼネコンに天下っていたことが明らかになりました。再発防止策として、課長以上の職員の再就職状況を、企業名や氏名と共に公表すべきです。(現在、県当局内部で、どこまで公表するか検討中です)



県財政 全国ワースト2なのに

県職員給与は全国第6位のハイレベル


620億円の歳入不足

財政状況を示す実質公債費比率(過去3ヵ年平均値)によると、兵庫県は全国ワースト2位となり、危機的な状況に陥っています。震災の影響と、その後の公共事業費が過大であったことに加え、政府による地方交付税の大幅減額などが原因とされます。さらに今年度は、法人税の伸び悩みや総務省から地域再生債の発行が一部認められなかったことなどから、620億円の歳入不足になり、新年度に予定していた事業などを一部凍結しなければならない事態に陥っています。
県当局は、聖域を設けず、すべてをゼロベースで見直す方針です。しかし、県の将来像をどう考え、何を見直し、何を守るのかを明確にする必要があります。県の姿勢は明白ではありませんが、丸尾まきが考える見直しの重点を示したいと思います。

特別職の大幅給与カットを

ひとつは、知事など特別職の大幅給与カット、職員給与を削減することです。 知事は、現在給与、ボーナスの10%カットを行い、さらに新行革プランで、給与20%カットを打ち出しましたが、ここまで財政状況を悪化させた結果責任や他の自治体の対応を考えると、その対応は不十分です。(役職加算の見直し検討中)

それでも全国6番目の給与水準

この対応姿勢は、職員給与水準にも連動しています。昨年度の国家公務員と比較したラスパイレス指数(地域手当補正後)を見ると、兵庫県職員は、なんと全国第6番目の給与水準になっています。

給与が低い職員には配慮が必要

財政再建のため大幅な職員給与削減を行っている自治体等も参考にして、最大で10%程度の給与カットは検討すべきでしょう。ただし、新卒の職員の給与水準は、民間より賃金が安いという人事委員会の調査結果も出ているので、新卒職員は給与カット対象から外せばいいでしょう。また、平均給与以下の若手職員には十分な配慮が必要ですし、賃金が安い臨時や嘱託職員の賃金は給与カットの対象外が妥当でしょう。



後期高齢者医療制度は、実施延期ではなく、再検討を


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