第58号(2007年1月)






兵庫県会議員の不正横行

でたらめな政務調査費の使い方

14年前に尼崎市議会において、不正出張事件が発覚しました。現在の兵庫県議会は、当時の尼崎市議会と変らず、不正の温床となっています。
兵庫県議会の政務調査費は、県会議員1人につき会派に20万円、個人に30万円、計50万円が支給されます。2004年度の支給総額は5億4500万円。領収書の添付・公開義務はなく、かなり私的に支出されていたと考えられます。
特に悪質な不正使用を紹介します。自民党の門信雄議員は、車のリース料に使っていると報告書に記載していたにもかかわらず、実際はマイカーローン代を支払っていました。この件は、詐欺罪等の容疑で兵庫県警が検察に書類送検しました。後に不起訴処分が出ましたが、市民オンブズから検察審査会に不起訴不当の申し立てが出されています。
自民党の小林喜文議員と民主党の加藤康之議員は、自己もしくは家族所有の自宅を議員事務所にし、その事務所の賃料を政務調査費から出していました。自己所有の自宅で賃料は発生せず、この件も明らかな詐欺罪であり、兵庫県警が検察に書類送検しています。
自民党の清元功章議員は、無料講演会に参加をしたのですが、講演会主催者に寄付金を支払っていました。その中に、清元議員の選挙区である姫路市内の団体に寄付をしている事例もあり、明らかに公職選挙法違反に問われるものです。



許されぬ! 事後の収支報告書手直し
収支出記載の変更相次ぐ

市民オンブズの指摘などを受けて、事後に変更される例が相次いでいます。一般社会の会計処理ではありえないことが、政務調査費の支出では何件も起こっているのです。


公開すべき視察報告書が出ていない

政務調査費を使って実施された視察報告書が提出されていません。その結果、下表の公費による海外視察が本当に必要だったのか、金額は妥当だったのか、を検証しようがありません。特にC議員は、海外出張旅費62万円を使いフランスに行きながら、政務調査費から9.6万円を使っています。極めて不透明な公費の使い方です。  





県議会 おざなりの領収書公開を可決
全面公開を求めるオンブズ請願を否決

自民党・公明党・ひょうご県民連合(民主党・社民党)は、人件費・事務所費・事務費を除く政務調査費5万円以上の支出についてのみ、領収書を添付・公開をするとの提案を行い、可決しました。一方、市民オンブズ3団体が1908人の署名と共に提出した「政務調査費領収書公開を求める請願」を否決しました。  
可決された内容で公開される領収書の割合を、丸尾牧が所属している市議会会派「虹と緑」の05年度政務調査費の支出198件から調べました。総支出のうち件数では2%、金額では14%にしかならず(下表参照)、公開される費目は出張旅費だけというありさま。 県議会においても、今回の決定では、同程度の公開に止まると思われます。これで「政務調査費の領収書を公開した」とは到底言えません。




県政の抜本改革なしに住民の生活はない

議会関係費の不透明な支出は氷山の一角でしょう。このようなことが起こる最も大きな原因は、議員の公金に対する意識の低さです。あわせて、行政と議会・議員同士のなれ合いがあります。私の知る限り、政務調査費問題の発覚後、公の場において、過去の実態を明らかにしようとした政党、会派は皆無でした。 このような状態では、行政のチェックもまともにできず、財政はますます悪化し、近い将来には、県立病院の廃止、警察派出所のさらなる廃止、少人数学級の見直し、福祉医療制度の改悪など、行政サービスの後退、住民負担の増大が予想されます。 いま、県政・県議会をしなければ住民生活に大きな禍根を残します。



尼崎市焼却炉談合 「市民オンブズ尼崎」勝訴の地裁判決

96年8月、日立造船共同企業体が、尼崎市焼却炉建設工事を106億円で落札。その後、尼崎市の入札で談合があったと公正取引委員会から指摘されました。
市民オンブズ尼崎(丸尾牧も原告として参加)は、日立造船など入札参加業者を相手に、談合により損失を被ったとして、契約額の10%の返還を求める裁判を起こしました。
11月16日神戸地裁は、日立造船などに対して、損害の5%である5億3千万円を市に返還するよう求める判決を下しました。しかし日立造船などは大阪高裁に控訴。



阪神水道議員全員が返還 違法な費用弁償の受取り分

阪神水道企業団議会の「法定外会議」参加者へ支出された費用弁償(1日14000円)について、最高裁で違法であることが確定しました。これにより、受け取った議員(関係者)全員が11月10日までに、受取額全額(時効になっていない金額)154万円を阪神水道企業団に返還しました。前号の記事で、返還日が曖昧でした。関係者にお詫びします。

県議会の不思議=委員会の議事録は発言者名の記載なし。


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