第55号(2006年5月) |
尼崎市などが出資する第3セクター「エーリック」。貸事務所を主な事業とし、ベンチャー企業の育成・支援する(株)エーリックが、危機的な財政状況に陥り、市当局はこれまで利率0.1%で貸し付けていた年7億5千万円に、5千万円の貸付を上乗せすることになりました。エーリックには従来から賃料約2千万円の土地を無償で貸し付けています。 そもそも第3セクターは、民の力で、自主自立で運営していくべきもの。このような支援は納得がいきません。土地の無償貸与はただちに止めるべきです。 しかし貸付を止めるとエーリックはつぶれるでしょう。今の時点ですぐにエーリックをつぶすと、建設償還金の処理なども発生し、市税の投入額が大きくなることも考えられます。 市当局によると、エーリックは2年後に建設償還金を返済し終わり、黒字に転換するといいます。2年後、黒字にならなければ、その時点でエーリックを整理すべきです。 |
低所得者対策の必要性は1面でも触れました。10月から実施される移動支援事業など地域生活支援事業では、国が十分な財源手当をせず、市当局も予算不足で、サービスが十分に提供されないことが考えられます。市当局は、政府に対しては現行のサービスを続けるための財源を出すよう求める、市当局としても今のサービス量を落とさないよう最大限の努力をすべきです。 |
武力攻撃や大規模なテロから国民を保護するための国民保護法が制定され、尼崎市でも国民保護計画をつくることになりました。本来、私たちは平和外交を積極的に進め、平和な世界をめざすべきです。ただ、保護法は計画の作成を義務付けています。それならば、人権に十分配慮し実効性のある計画にすべきです。 例えば、兵庫県などの国民保護計画では、自衛隊が避難住民を誘導することなどを想定しています。国際人道法では、軍隊・軍事施設と、住民・民間施設を明確に区分し、住民などが軍事攻撃の巻き添えにならないための原則を定めています。 計画について基本的な問題を押さえ、社会的弱者の人権に配慮した内容にするため、弁護士や障がい者などの公募市民を委員に選任すべきです。 |
今から14年前尼崎市議会不正出張事件の折に、政務調査費について不正使用の疑惑が持たれ、住民から領収書の公開を求める陳情書が、何度も市議会に提出されました。しかし、新政会などの反対により、繰り返しこの陳情はつぶされてきました。 ところが今議会、議長より政務調査費の領収書等を公開する案が出され、議員が全員賛成して領収書等の公開が決まりました。次は兵庫県議会の公開をめざしましょう。 他都市の状況は、30万人以上50万人以下の41市中で領収書等を公開しているのは18市。10年前は改革の先頭を走っていた尼崎市議会ですが、今は中間的な位置でしょうか。 |
大阪で生まれ、軍隊に入り、敗戦を迎え、シベリアに抑留された砂場さんの自伝です。現在、砂場さんは尼崎市に在住し、「阪神間道路問題ネットワーク」「憲法9条を世界に、尼崎市民の会」などの活動で中心的役割を果たしてきました。 本の中では、兵隊になるときの親との別れ、軍隊の中での初年兵への非人間的な扱い、シベリアでの辛く厳しい生活の中で築かれたソ連の人たちとの関係などがリアルに書かれています。 最後に、アメリカのイラク侵略に小泉首相が真っ先に支持を表明したことや、首相の靖国神社参拝問題など、日本の現在の流れに警鐘を鳴らしています。 |
46万人の尼崎市民、一人一人考え方が在ろうかと思いますが、何でもかんでも行政任せにせず、地域住民が自分たちの町を良くする気持ちを持てれば、行政でしか出来ないこと、地域住民自らの責任でやるべき事が明確になり、行政と市民が対等の立場に立った市民参加形の市政が実現できるのではないかと思います。名案を持ち合わせてはいませんが、今必要なことは市民参加の仕掛け作りです。 |
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