第51号(2005年1月)






尼崎市 阪神水道企業団からの受水量削減を計画
なお年4億2千万円の過払い続く

受水量さらに削減し水道料値上げ抑制を!

<1973年策定の尼崎市の水需要計画>では、2011年に尼崎市の人口は約58万人になると予測し、1日382,650立方mの水が必要としました。そのうち阪神水道企業団(阪水)から1日289,000立方mを受水する予定でした。
昨年11月、尼崎市公営企業審議会は、水道料金の値上げを容認。しかし将来の値上げを抑制するため、水道局の経営内部努力を求めるとともに、<2011年計画>による阪水からの受水量のうち35,000立方mを、5年後を目標に削減する答申を出しました。この答申をそのまま市当局の判断として、住民のパブリックコメントを募集しました(1月初旬の原稿作成時点)。
いままで計画が実際の需要量と大きくかけ離れていたにもかかわらず、市当局は計画水量を削減しなかったのです。現在の尼崎市と阪水との契約水量は1日265,400立方mで将来の計画は1日289,000立方m。中期目標では、35,000立方m減らし1日254,000立方mにすべきとしました。削減の方針は画期的ですが、これでは見直しの幅が小さく、将来の水道料金の値上げの抑制策としては不十分です。
阪水との契約水量の7割(1日185,800立方m)は「責任水量」とされ、受水量が責任水量より少なくても、責任水量に見合う代金を支払わなければならない仕組みです。2003年度の尼崎市は、受水量1日159,400立方mですが、責任水量との差約26,000立方mの代金を阪水に余分に支払っています。その金額は年間約6億円に及びます。
水道水不足の事態を招くことがあってはならず、契約水量の削減は慎重であるべきですが、無駄な出費は許されることではありません。



市当局の提案通りに、受水量を1日35,000立方m下げたとすれば、年約1億8千万円の過払いが解消され、まだ契約していない計画水量を含めると約5.5億円を節約できます。しかしそれでも、見直された責任水量と受水量1日177,800立方mとの開きが1日18,400立方mもあることから、その後も年約4億2千万円の過払いは続けなければなりません。このことは数年後、水道料金値上げに間違いなくつながります。
丸尾まきの提案は、「市当局の提案よりさらに1日34,000立方m下げ尼崎市の1日最大配水能力を306,000立方mとし阪水との契約水量を1日22万立方mにする」というものです。
この契約にすれば、責任水量は1日154,000立方mになり、現時点における阪水への過払いはなくなります。尼崎市当局は、阪水の他に市浄水場(1日84,650立方m)と県営水道(1日1,400立方m)を持っているので、阪水との契約水量を1日22万立方mにしても1日約306,000立方mの水は確保できます。この数字は、審議会の2025年度の高位推計(1日288,000立方m)を若干上回るもので、将来の水使用量増加にも十分対応できると考えられます。
こんご市当局は、受水量の見直しのために、阪水および阪水を構成している神戸市・芦屋市・西宮市と調整を進めることになります。4市間での水需要の過不足を融通しあえる調整会議もできたと聞きます。そういう仕組みがあれば市当局はもっと思い切った受水量の見直し提案ができるはずです。さらに現在、国交省が淀川流域の周辺自治体の水需要量の見直し協議をしていますが、いま尼崎市の受水量の見直しができれば、淀川流域自治体の枠で水利権の調整ができ、ただちに尼崎市の受水量が削減できる可能性が出てきます。
12月議会において、丸尾まきの[阪水との契約水量のさらなる削減を求める提案]に対する市当局の答弁は、「現時点では答申を尊重していくべきと考えている。今後も水需要予測については確認、検証を行っていく」というものでした。
市当局は、将来に水道料金値上げしないよう努力を続けるべきです。






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