第44号(2003年5月)






阪神水道企業団の改革
議員報酬や費用弁償を20%減額決まる

 神戸市、芦屋市、西宮市、尼崎市の市長や議員が阪神水道企業団(以下阪水という)議会の議員として選出され、各自治体からの給与・報酬とは別に、議員報酬月額65,000円を受け取っています。
また阪水議員は会議に出るごとに1日14,000円もの費用弁償(会議に出席するための実費弁償で主に交通費と考えられる)を受け取っています。[ほうれん草通信43号参照]

昨年7月、丸尾まきは議員になって初めて阪水議員に選ばれました。そこで判明したことは、議員報酬の根拠や、費用弁償額の根拠が曖昧であること。したがって、それらの受け取りを保留する旨を阪水企業長に通知しました。
また、全員協議会等出席者に支払われる費用弁償は違法 の疑いがあり受け取りを拒否しました。
その後、市民オンブズ尼崎などからの追求もあり、阪水議会において、違法性が高い費用弁償の支出中止が決まり、費用弁償額についても見直し議論が続いていました。
最終局面において、阪水議員の過半数を占める神戸市選出議員の中で意見がまとまらず、見直しは絶望的な状況になりました。
土壇場の巻き返しで、報酬・費用弁償・旅費を減額し、議会費(監査費含む)を約20%削減するとの案がまとまりました。
今回の案は、丸尾まきが考えていたものと比べてまだかけ離れていますが、過半数を占める神戸選出議員が合意できる内容でなければ改革は進まないこと。今まで聖域化されていた阪水議会の報酬費用弁償が一定見直しされることは、評価に値することだと判断しました。
今後も阪水議会の報酬、費用弁償等の見直しについては追求していきます。なお、今まで受け取りを拒否していた違法性の高い費用弁償については、引き続き受け取りを拒否し、受け取りを保留していた報酬・その他の費用弁償については一定の見直しがされたので受け取ることとします。

阪神水道企業団議会議員報酬等見直し内容
項 目 当初金額 見直し額 03年度削減額 削減率
議長報酬(神戸市長) 月額7万5千円 月額6万円 4,469,000円 20%
副議長報酬(尼崎市長) 月額7万円 月額56,000円 20%
議員報酬 月額65,000円 月額52,000円 20%
監査委員 月額67,000円 月額54,000円 19%
費用弁償 日額14,000円 日額11,000円 1,905,000円 21%
2003年度予算額(旅費) 6,017,000円 3,277,600円 2,739,400円 47%
議会費及び監査費絵額 45,374,000円 36,260,600円 9,113,400円 20%
                             ☆見直し期間は「当面の間」


阪神水道企業団 大規模工事の落札率97.1%

入札制度を改革して談合を排除せよ

2001年度の阪水が発注した250万円以上の工事の総額は、約48億9900万円です。
2001年度1千万円以上工事の入札の平均落札率は95.6%。1億5千万円以上工事11件の入札の平均落札率は97.1%。
市民オンブズマンの弁護士は「過去の刑事事件の記録を見ても落札率が90%以上の入札は談合と見るべき」と述べていますが、阪水の入札結果はこれを大きく超えるだけではなく、阪神間4市と比較しても突出して高い落札率になっています。
また、阪水が発注した250万円以上の工事77件の入札結果を見ましょう。
1回の入札では決まらずに複数回入札が行われた9件について、常に同じ業者が最も低い金額の札を入れる「一位不動」という現象が、9件とも起こっています。この「一位不動」現象は談合の状況証拠のひとつです。
阪水の入札では日常的にかなりの割合で談合が行われている可能性ありです。

阪神水道企業団と阪神間4市の入札制度を比較 2002年2月現在
  阪水企業団 尼崎市 西宮市 芦屋市 神戸市
制限付一般競争入札 × 3億円以上 1.5億円以上 1.5億円以上 22.2億円以上
公募型指名競争入札 土木、建設3億円以上 6千万円以上〜3億円未満 × 8千万円〜1.5億円 土木、建設3億円以上
見積もり内訳書提出義務 × 1億5千万円以上 5千万円以上 ×
入札予定価格の事後公表 1千万円以上 250万円以上
入札予定価格の事前公表 × 2千万円以上 5千万円以上 1.5億円以上 ×
入札前の入場参加業者名非公表 2千万円以上 1千万円以上 8千万円以上
入札会場の公開 × ×(まもなく実施の方向) × × ×
現場説明会廃止 ×(一部説明会あり)
談合時の損害賠償請求 × 契約額の10% × 契約額の20% 契約額の10%
1999年度平均落札率 1千万円以上96.7%※ 86.77% 1千万円以上97.43% 91.4% 83.21%
2000年度平均落札率 〃 98.6% 87.46% 〃 96.06% 91.8% 84.08%
2001年度平均落札率 〃 95.6% 89.00% 〃 93.15% 85.8% 82.33%
落札率の算定方法 落札価格/設計金額 落札価格/設計金額 落札価格/予定価格 落札価格/予定価格 落札価格/予定価格
※1999年7月以降の落札率。
注:予定価格は設計金額から数%引いて決められる。設計金額から落札率を求めると予定価格から
求めたものと比べ若干落札率が低くなる。阪神水道企業団は設計金額と予定価格は同じ額。



阪水は入札制度改革をきっちりと行ってきたのでしょうか。上表をみれば、阪水ダメ印×がたくさんあり、入札制度改革に本気で取り組んでこなかったことがわかります。これは、山本第四郎企業長のやる気がないだけではなく阪水議員が十分チェックをしてこなかったことが原因です。
今後は、早急に入札制度改革を行うべきです。改革ができれば、最低でも平均落札率は10%以上さがり、年間予算で約5億円(2001年度予算参考)の節約ができます。
阪水の財政状況が悪化すればそれはただちに4市の水道料金等に跳ね返ります。阪水及び阪水議員へ、皆さんの厳しい監視をお願いします。
<阪神水道企業団 Tel078−431-4351>
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