第43号(2003年3月)






議員の口聞きをチェック

文書化し公表する制度を

議員が役所の担当職員に「この業者を入札に参加させろ」だとか「あの業者を外せ」だとか要求する。
職員採用や市営住宅入居で、特定の人を優先的に入れるように圧力をかける-
このような不公正な闇取引を、議員はしてはならないし、住民も依頼すべきではありません。役所の職員もこうした裏口要求は行政の公平性を歪めることになりますから、大変迷惑です。
全住民の利益を損なう「不当な口利き」を排除するために各地で作られつつあるのが、「議員の要求・要望を全て文書にし、それを公表する」ことです。
この「議員」には、市会議員だけではなく、県会議員、国会議員及びその秘書も含まれます。
鳥取県や佐賀市では、文書が一方的な内容にならないよう議員の確認をとったり、言い分を添えて公表することにしています。尼崎市でも必要な制度です。
この改革は、しがらみのない白井市長なら出来ることでしょう。早期に制度導入するよう望みます。

  「議員の口利き対策制度」を導入している自治体
    鳥取県・長崎市(試行中)・佐賀市・熊本市・広島市(検討中)など



内部告発者を保護する制度の策定へ

行政の不祥事を根絶するために

尼崎市当局における「問題ある内部行為」が、ここ数年間にいろいろとあばかれています。前市長などが官官接待を行っていたこと。市築地土地区画整理事務所において定価1本1万円のボールペンやレターケースなどが大量に買われていたこと。市幹部職員がタクシーチケットを不正使用していたこと。斎場で働く市職員が心付けを受け取っていたことなどです。
これらは、いずれも丸尾まきが情報公開制度等を活用し、その事実をつかみ議会で問題提起し市民に知らせて、市民から大きな声が上がることによって改善されてきました。
本来ならば、これらは行政内部の自浄能力により正されなければならないことです。
推測すれば、ある市職員が上司に対して「そのようなことをするのは違法(不当)だ。」と正義の発言をすると、発言した職員は昇進の道が閉ざされ別の部署に飛ばされる、ということが起こっていたのではないでしょうか。
「内部告発者保護制度」とは組織内部での不正や不当な行為の発見者が、その事実を上司や第3者に正義の通報することで告発者自身が不利益をこうむらないように保護する制度です。
尼崎市においてこの制度ができれば、先程のような問題は改善され、今後は行政内部での違法・不当な行為は極めてやりにくくなるでしょう。
告発者を保護する制度は、現在、国で検討されています。尼崎市としても民間からの監査委員を活用するなどして、制度の検討を進めるべきです。



水道水の供給元 阪神水道企業団

水余りなのに水資源開発を画策する

前回の<ほうれん草通信42号>で、尼崎市の水需要計画が過大になっていることを指摘しました。白井市長は市の「過大な水需要計画を見直す」と公約しているので、計画は近い将来見直されるでしょう。しかし、水需要計画が過大なのは尼崎市だけではありません。尼崎市・神戸市・芦屋市・西宮市が出資し、4市に水を供給している阪神水道企業団(以後阪水という)の水需要計画も過大になっていることがわかりました。


【給水実績10年間変わらず】

2001年度の阪水の1日最大給水量の実績は954,000立方メートルで、過去10年ほどの実績と大差ありませ ん。計画では増えるはずの給水量がほとんど増えていません(表1参照)



【低い予測よりなお低い実績】

震災後に阪水が作った水需要予測と2000年度の実績を比較します。水需要予測は高位の推計と低位の推計 を求めており、高位の推計は1,082,814立方メートル/日、低位の推計は1,022,665立方メ−トル/日です。2000年度実績値は953,000立方メートル/日ですから、低位の推計よりも7%も低い数値になっています。(表2参照)

表2 阪神水道企業団水需要予測    単位 立方メートル/日
年度 2000 2005 2010   2011計画値
高位推計 1,082,814 1,187,190 1,249,087   1,289,9OO
低位推計 1,022,665 1,088,164 1,103,882  
実績 953,850 - -  

【適正量を超える水あまり現状】

では現在の状態で考えるとどれくらいの水が適正な水量で、どれぐらいの水が余分なのでしょうか。
2001年度の1日最大給水量の実績値954,000立方メートルから求めてみます。国土庁が作ったウォータープラン21では、近畿圏の水の余裕量を10%程度と見込んでいることから、実績値に10%上乗せしたl,050,000立方メートル/日が、阪水企業団が現在確保しなければならない適正な水量ということになります。阪水は現在、1日最大1,128,000立方メートルの給水が可能で、適正量と比べて8万立方メートル程余裕があります。

【予定される水資源ダム計画】

阪水の今後の計画では、余野川ダム(9万立方メートル/日)、丹生ダム(4万8千立方メートル/日)を作り、2011年度には1日最大給水量1,289,900立方メートルにする予定です。水需要が増えなければ、現在の適正値と比べて24万立方メートルも余ることになります。

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