第42号(2002年11月)






水道問題特集

市当局 でたらめな水需要の予測
過大開発で水道料金アップの予定

2011年度における尼崎市の上水道の計画人口は578,600人。この人口に対応するように作られた2011年度の尼崎市水需要計画では、1日最大配水量(尼崎市が阪神水道企業団などから受け取る水が1年のうち最も多い日の水量)を382,650立方メートルとしています。
過去に最も配水量が多かった1973年(当時の人口約547,000人)でも、1日最大配水量は304,600立方メートルでした。しかしその後、人口減とともに1日最大配水量は減り続け、2001年度の人口は約463,000人1日最大配水量約220,000立方メートルまでに減少しました。
国の計画にあるように、水の安定供給のための余裕量を10%とすると、必要な1日最大配水量は約242,000立方メートルにしかなりません。市当局の計画との開きは140,000立方メートルにもなります。これだけの水量は将来的にも不要なものでしょう。

ゼネコンを潤すだけの無駄な水源ダム開発!

「国立社会保障人口問題研究所」の予測では、2007年度を境に全国的に人口が減少し、現在1億2700万人いる人口が2050年には中位推計で約1億人、2100年には6,400万人になると予測しています。
尼崎市当局が作った人口推計でも、2011年には42〜43万人になると予測しています。
経済が低成長時代に入り、バブル時のような高成長時代が到来することが考えられない現状では、これからの尼崎市の水需要量は減少こそすれ長期的に増えることはないでしょう。
にもかかわらず、宮田良雄市長、そして吉井恵一水道事業管理者は、合理的な説明も無く「現在の計画を見直す必要は無い」と強弁しています。「阪神水道企業団」幹部と結託した過大な計画は、業者をうるおす一方、住民には水道料金の 値上げをもたらすものです。


尼崎市の給水人口と一日最大配水量
年度 2011計画 1973 1979 1985 1991 1997 2001
給水人口(人) 578,600 546,610 527,477 507,468 495,942 477,945 463,082
1日最大配水量(立方メートル) 382,650 304,600 278,300 273,400 276,100 242,600 219,826
2011年計画との差(立方メートル)   78,050 104,350 109,250 106,550 140,050 162,824
<注>阪神水道企業団は、神戸市、芦屋市、西宮市、尼崎市によって構成される特別地方公共団体。
水資源の安定供給を効率的に行うために作られた一部事務組合。




阪神水道企業団が関わる建設計画余野川ダムと丹生ダム

不要な巨大ダムが自然を破壊する

尼崎市に水を供給している阪水は、国土交通省と水資源公団に新たな水資源確保を要求しています。それに応え、国土交通省は箕面市に余野川ダムを、水資源公団は滋賀県に丹生ダムの建設を予定しています。
阪水が確保する水量は余野川ダム建設により1日90,000立方メートル、丹生ダム建設により48,000立方メートルです
尼崎市では、1日140,000立方メートルの水が将来は不要になるので(1頁参照してください)尼崎市当局が水需要計画を適正な数値に見直せば、阪水としては余野川ダム、丹生ダムを建設する必要はなくなります。
不要な水資源確保のために余野川ダム、丹生ダムの建設を進めるなら、その費用は全て、神戸市、芦屋市、西宮市、尼崎市に跳ね返り、水道料金が大幅アップすることになります。また不要なダム建設は大規模な自然破壊にもつながります。
宮田市長・吉井水道事業管理者は、尼崎市の過大な水需要計画を適正な数値にただちに見直すべきです。



阪神水道企業団

議員への費用弁償は一部違法の疑い

阪神水道企業団(いご阪水と省略します)には「議会」があり、議員総数は29名、神戸市、尼崎市等の市長や水道事業管理者(水道局長)と、各市議会で選ばれた議員が阪水議員になっています。尼崎市議会から阪水議員に選ばれるのは6名ですが、その報酬等が高額なことからポストの奪い合いになり、少数会派や無所属議員は阪水議員に選ばれることは滅多にありません。今年は例外的に丸尾まきが6名の阪水議員の1人に選ばれました。

丸尾まきは報酬など受け取りを留保

阪水議員になってわかったこと。阪水では市選出の議員が協議会を開いた場合や、議員全員で協議会を開いた場合に、交通費などの実費弁償として「費用弁償」が会議1日毎に14,000円支給されます。これらの議案を審議しない会議への出席は、法に基づく正当な職務とは言えず、費用弁償の支給は問題があります。
地方自治法の解説等にも述べられていますが、「費用弁償」が支給できるのは、条例で規定された常任委員会等の公式な会議において議案審議される時だけです。他の地方自治体や他の一部事務組合を調べてみましたが、このような支出は全くありません。阪水の全員協議会等への出席に支給される「費用弁償」は、違法性が大です。



住民基本台帳ネット 今年8月から、国民全員に番号がついた。政府が一元的に管理するシステム。行政や業者による大切な個人情報プライバシーの漏洩が心配される。通知番号の返却、異議申し立て、接続記録の開示請求など住民抗議が続く。住民意思を尊重する選択制が望まれる。


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