第40号(2002年5月) |
市長等特別職の退職金について1979年12月以前は、一般職の退職金制度を適用し、それに功労加算金制度で上乗せ支給していました。現在、市職員が4年働いて退職したときの支給額は月額給与の4カ月分。これが老後の生活保障等のための手当です。 4年勤めた市長の退職金は月額給与の28.8カ月分、これから4カ月分を差し引いた24.4カ月分は功労報奨金と考えられます。 財政が余裕がある時期には多額の功労報奨金を払うこともできますが、現在のように財政状況が厳しい状況では、功労報奨金を下げるのは当然でしょう。 |
1982年の非常に厳しい財政状況の中で、当時の野草市長は、市長等退職金の引き下げを提案。具体的には、当時の市長退職金約3135万円を2687万円にし、約448万円を引き下げました。この引き下げ額が現在の価値基準で見ると必ずしも妥当ではありませんが、自らの退職金を引き下げたことは立派です。 |
彼に比べて宮田市長はどうでしょうか。給与の20%滅を提案しましたが、市長任期は今年12月までなので期末手当を含む約267万円減は大したものではありません。市長という職にある者は、市財政が厳しく市民に負担を強いるとき、市民生活を守るために退職金は全て返上するという気概が欲しいものです。(参考までに市長年収は約2260万円です) |
そもそも「市長退職金はいくらが妥当か」というのは市民が判断すること。しかし、宮田市長は市民に対して退職金に関する情報を知らせしたことは一度もありません。市長退職金額やその根拠などに市民の理解を得ようという気が全くないようです。 多額の市長退職金を受け取る宮田市長は、謙虚に顧みて市民の声に耳を傾けるべきです。 |
市民オンブズ尼崎から出ていた「市長等退職金の廃止及び見直しを求める陳情」の審査で、各会派の姿勢が明らかになりました。新政会・公明党・市民グリーンクラブの議員は「市長が決めることだ」などの理由で、議会として市長退職金を見直す必要はないとの態度でした。共産党・市民自治クラブは退職金を減額すべきだと主張しました。 |
■ | 市会議員は「政務調査費」として、市政の調査研究のために一人当たり年90万円の費消枠を受けています。これは公費であり、使途は領収書を付して公開されるべきものです。 この領収書公開を求める陳情が再び議会に提出されたました。しかし新政会、公明党、市民グリーンクラブ等の反対により、公開を制度として行う(議員全員が必ず公開する)ことが再び否決。公開を主張したのは、共産党と市民自治クラブのみです。 |
■ | 全国市議会議長会によると2001年6月末において、全国自治体で政務調査費条例を制定した607市のうち331市(54.6%)が領収書を公開しています。当然なされるべき公開が尼崎市議会ではできないのです。政務調査費の過去の支出内容をいくつか見てみましょう。 |
【新政会】は、毎年会派の議員全員に1セットづつ住宅地図を購入しています。この支出は市政の調査研究のための適切な使い方とは思えません。 | |
【ある無所属議員】は、人件費を支出していますが、誰をどこで雇っていたのか定かではありません。 | |
【市民自治クラブを除く全会派】が、政治宣伝活動と区別のつかない会派広報の作成、郵送経費を支出しています。 | |
■ | 「政務調査費」については、支出内容を市民に明らかにして、市民の理解が得られるものにしなければなりません。しかし、公開を否定する極めて閉鎖的な議員が尼崎市議会には多数存在するのです。 |
非公開が妥当とした会派 | 公開すべきとした会派 |
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新 政 会 | 共 産 党 |
公 明 党 | 市民自治クラブ |
市民グリーンクラブ | |
清 風 会 | |
多田 敬治 |
◇ | 市当局が開催した「創生尼崎の会」の総会参加者である国の官僚等の氏名を公開しないのはおかしいと、2年前に丸尾まきは、市長が非公開決定を取り消すよう提訴しました。 |
◇ | 今年2月神戸地裁(紙浦健二裁判長)は、「総会への出席は私人としての行為で個人情報」「公表により出席者との信頼関係を損ね、会の目的が達成されないおそれがある」との理由で、個人名は非公開が妥当と判断しました。 |
◇ | しかし、市幹部は、政府情報の提供を求めて官僚を接待しているのですから、彼らを私人と判断するのは乱暴です。また参加者氏名が公開されなければ他都市で起こっている架空接待などのチェックは事実上できなくなります。 |
◇ | 今回の判決は情報公開の時代情勢を無視するものであり、容認できません。丸尾まきはただちに控訴しました。 |
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